齢77歳、突然、エッセイ集を出すことを思いついた。

エッセイ 風の往く道

喜多村 洋子/著 

発売日:2017年9月29日

500円(税込)

装幀

カバー/22世紀アート

デザイン/22世紀アート


発行形態:電子書籍

ジャンル:ライフ



 今年の夏(平成22年)は、記録に残る猛暑日が二か月も続いた。そして今、十月というのに凍えるような雨が降っていて真冬のような寒さである。さすがのわたしも体調をくずし、年齢に逆らってはいけないと肝にまで命じた。

 あと一か月後、わたしは七十七歳の「喜寿」を迎える。昨年、高校同期会の幹事たちが、早々と「喜寿を祝う会」を大牟田市で開催したので、わたしも参加したが、百名ほど集まった仲間たちが交わした言葉は、「とにかく、八十歳までは生きようね」というものであった。わたしは、今年もたくさんの友人知人の死の報に接したが、みんな七十歳代であったことに驚く。平均年齢は年々高くなっているが、やはり八十歳まで生きるのは大変なのである。半年前に一緒にゴルフコースを回った元気な人が、一か月前まで並んで歌っていた明るい仲間が、同じ年齢の優しい従姉妹が、この世から消えてしまうなんて、信じられない思いである。

 特に、たった一人の尊敬する兄の死は、まだ受け入れられないでいる。小さい頃の兄のことはエッセイによく書いた。一緒に遊んだこと、不細工な顔をからかわれたこと、反抗するわたしに拳骨が飛んできたこと、などなど。しかし今、愛する人を亡くした悲しみを、どう表現したらいいのだろう。

 先月のこと。北スペインのサンチャゴ・デ・コンポステラの大聖堂のミサに参加していたら、突然、エッセイ集を出すことを思いついた。その本に、兄の作った最後の「詩」を載せよう。その詩の題『風の往く道』を、兄の筆跡そのままに本のタイトルにしよう……と思ったのだ。

 たまたま今年は、わたしと主人との金婚の年。わたしの喜寿と金婚式を兼ねたファミリーコンサートを、十二月十一日に開く。もう一度、兄の尺八が聞きたかった、という思いが強くある。加えて、このエッセイ集をパーティの記念にしたいと願ったのだ。そこで、前回の『エッセイもカンタービレ』と同じ出版社、日本文学館にお願いすることにしたのである。

 しかし、短期間にエッセイ五十篇をまとめるのは大変な苦しみであった。だが、なんとか金婚式に間に合いそうである。厚くお礼申し上げる。

著書プロフィール


喜多村 洋子(きたむら ようこ)

 

1933年 秋田県生まれ。

1952年 福岡県立三池高等学校卒業

1960年 結婚、一男二女の母。

1989年 「三越」本店・会計管理部を退職。

1990年 「朝日カルチャー・エッセイ教室」へ入会。斎藤信也氏の指導を受け、現在に至る。


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