「継続するには目的を忘れないこと 

 

受賞しても、私は私。いつも通りに生活するだけ─ 

 

インタヴュー :

富田 升藏  (俳人)

 

都心から電車で90分、埼玉県で最も広い市、秩父。

 

名物・芝桜が満開を迎え多くの観光客で賑わいをみせる季節に、満面の笑顔で玄関から姿を現した。

  

近年、埼玉県秩父市の観光事業は、めざましい成長を遂げている。

 

その影には、秩父市役所約500人の知恵と労力があるのは言うまでもない。

 

その中でも、現在の観光事業の中心となる芝桜を数十年前に植えた職員たちの功績は特に大きいといえるだろう。

 

当時の職員の中に、風景を眺めていると、どこからともなく俳句が湧き出てくる男がいることをご存知だろうか?

 

地元秩父の自然の話となると、誰よりも目を輝かせる男の独占インタビュー。

 

 

秩父はつらいよ: 俳句体験記  Kindle版

富田 升藏 (著)

 

農家で生まれましたので、農業を致しておりましたが、地元市役所に入庁しました。

平成二十四年三月いっぱいで退職しました。これを節目に、四季折々に詠み綴った俳句を、一冊の本にまとめました。

俳句への係りを持ったのは、以前からクラシック音楽は、右脳に良いというので、多くのCDを揃えて聴き、鑑賞しておりましたが、たまたま書店で「右脳俳句」という本を見て、深く興味を持ち、実作をするために、歳時記等々、俳句入門書を揃へ始めたのが、二十一年前のことです。それまでは、新聞雑誌等の俳句は見た事もなかったし《俳句》とは、ご縁のない生活を致しておりました。こんな私が独学で、二十一年という歳月をかけて、日々の生活の中、季節の情景や詫び寂びを、「五七五」十七文字という短い言葉に、万感の思いを込めて詠み綴って参りました。俳句は、継続して実作を続けることが大切だと思い「継続は力なり」をモットーに、新聞雑誌、俳句結社等に、投稿を、続けて参りましたが、特に、師系ということに興味はありませんでした。だからこそ、形式や固定概念などに縛られることなく、五感に響いたインスピレーションを「十七文字」に凝縮できました。私の心の風景でもある句集です。 

 

 

富田さんが育てている野菜

 

富田さんオススメの肥料(これがあれば必ず大きくなるという)

 


インタヴュー : 富田 升藏 (俳人)


富田 升藏(とみたますぞう) 65歳

埼玉県秩父市太田生まれ。

農業を営んでいたが、地元市役所に入庁、平成二十四年三月末日退職。

独学で、二十一年間、俳句を詠み続ける。近年は、産経新聞紙面ギャラリーにて作品が紹介される。

「芸術界」掲載。日本文芸大賞受賞。

 

インタヴュー :海野 有見

写真&テキスト:向田 翔一

 

 

これは、富田 升藏がこれまで語ることのなかった俳人としての想いである。


 

— こんにちはー!

 

富田 升藏 (以下、富田):どうもどうも。

 

優しさの中に凛とした芯を持つ目をしていた。  

   

— このあたりは、空気が美味しいですね〜。

 

富田:それしかありませんからね〜(笑)。

 

— 本日はよろしくお願いいたします。

 

ご自宅に入る。

 

さっぱりとしていたが、日本人なら誰しも落ち着くだろう昔ながらの平屋である。

 

席につくとカメラの位置を気にしている。

 

どうやら写真が苦手なようだ。

 

ー 早速ですが、彫刻を始めたきっかけを教えてください。

 

富田:キャリアは全然少ないんですよ。

 

ー そうでした。もともとは、市役所に勤められていたんですよね?

 

富田:そうですね。でも、もともとは、農家で生まれましたので、農業を致しておりました。

 

ー あ、そうなんですね!で、その後に市役所へ?

 

富田:はい。地元の市役所に入庁しました。俳句への係りを持ったのは、たまたま書店で「右脳俳句」という本を見て、深く興味を持ちました。

 

ー あ、右脳俳句ですか!最近もまた俳句は脳の体操なんていわれて、盛り上がったりしてますよね!脳トレなんかも人気ですし。

 

富田:そう、それですね。もとから脳も含めて健康には気を使う方でした。以前からクラシック音楽は、右脳に良いというので、多くのCDを揃えて聴き、鑑賞しておりました。

 

ー なるほど、実際に俳句作りを始めたのはいつ頃ですか?

 

富田:実作をするために、歳時記等々、俳句入門書を揃へ始めたのが、二十一年前のことです。

 

ー 入門書ということは独学だったんですね。ということは、以前から読むのは好きだったとか?

 

富田:それまでは、新聞雑誌等の俳句は見た事もなかったし《俳句》とは、ご縁のない生活を致しておりましたね(笑)。

 

ー へー、なんだか意外ですね。

 

富田:こんな私でも独学で、21年という歳月をかけて、日々の生活の中、季節の情景や詫び寂びを、「五七五」の十七文字という短い言葉に、万感の思いを込めて詠み綴って参りました。

 

ー いやいや謙虚ですね。正直、日本文芸大賞を受賞されている方なので、もっと怖いイメージでしたが物腰も柔らかく、逆に驚いております。

 

 

受賞しても、私は私。何も変わることはなく、いつも通りに生活するだけ。


 

富田:そうでしたか。賞を受賞した時は、正直驚きましたが、私は私。何も変わることもなく、これまで通り普通に生活していますし、いつもこんな調子ですよ。

 

ー かしこまりました。それでは、独学で日本文芸大賞を受賞されたわけですが、制作にあたり心がけていることなどありますか?

 

富田:そうですね。俳句は、継続して実作を続けることが大切だと思っています。

 

ー なるほど!最近だと資格の取得なんかもそうですが、独学の一番の天敵は、「挫折」ですよね。

 

富田:全くその通りです。私は、「継続は力なり」をモットーに、新聞雑誌、俳句結社等に、何度も投稿を続けて参りました。

 

ー でも、師匠がいたらもっと早く上達するのに、など考えたことはありませんでしたか?

 

富田:特に、師系ということに興味はありませんでしたね。私の場合、上達や受賞よりも実作することに意味があり、目的としていました。

 

ー それが独学ながら継続できた本当の秘訣かもしれませんね。

 

富田:そうかもしれませんね。その結果、形式や固定概念などに縛られることなく、五感に響いたインスピレーションを「十七文字」に凝縮できるようになったとは思っています。

 

ー たしかに富田先生の作品は、対象をそのままとらえる写実的な技法を使っているためか、情景を立体的にイメージできるものが多いですよね。

 

富田:そう言って頂けると本当に嬉しいです。私の作品は、私の心の風景だと思っています。

 

ー では、あえて伺いますが俳句の面白さとはズバリ?

 

富田:俳句というのは、制約された字数の中で、頭を捻り句を捻り、浮かんできた言葉をつらつらと書き記していくものです。そのなかで、創造性があり芸術的であり、人をあっと気付かせたり驚かせたりする要素が、また楽しいところだと思いますね。

 

ー ありがとうございました。

 


 

最後に一言頂いた。

 

独学の天敵、「挫折」に勝つには、私利私欲とは全く無縁な真の目的を明確にして、忘れないこと。

そうすれば、継続は本当に簡単なことだと思います。 こんな私でも一つの成功体験を手に入れられました。がんばりましょう!

 

 

プロフィール



富田 升藏(とみたますぞう) 65歳

 

埼玉県秩父市太田生まれ。

農業を営んでいたが、地元市役所に入庁、平成二十四年三月末日退職。

独学で、二十一年間、俳句を詠み続ける。近年は、産経新聞紙面ギャラリーにて作品が紹介される。

「芸術界」掲載。日本文芸大賞受賞。