「空想力の職人」 

 

バスキアを愛し、宇宙を愛し、その先に辿り着いた「コースターアート」─ 

 

静岡県在住・画家

清水 正之(しみず まさゆき)



地底の生物 : 価格 500円 税込み(電子書籍)
地底の生物 : 価格 500円 税込み(電子書籍)

スサマジイばかりの想像力と、溢れんばかりの空想力……。これらの精神が一体となって展開されるコースターアートの魅力とは?

 

 画家、清水正之の魅力がいっぱい詰まった、地底に住むという生き物の世界。みんなが楽しめるような、見て楽しめるような絵が描きたいという信念をもとに、次々と生み出される個性的な生物たちが、ひとつの場所に集まった!

 それはさながら空想動物園であるし、また想像力の地底旅行でもある。そこにうごめく地底生物(地底人)たちの奇抜さ、底抜けの愉快さ!

 

 ……かつて天才科学者とうたわれたニコラ・テスラは「地球2分割破壊法」と称して、地底を真っ二つに割ろうと考えた。このエキセントリックでユニークな理想世界に勝るとも劣らない想像力に与し、画家はペンを走らせる。すると面白いことに、画家の手から、神のお告げの如く呼び覚まされた生き物たちが、キャンバスとしてのコースターのもとに召喚されてゆく。それはさながら、ダーウィンの生物学研究の精華である進化論に基づく、生物進化の未来をも予兆するかのような合理性に基づいて、である。

 

 清水正之は、中央展である一期会において多くの賞を受賞している画家で、1975年、20歳のとき独学で絵画をはじめた経歴を持つ。例えば2014年制作の「ダークマター」におけるような凄まじいばかりの構想力、色彩力は、これを見るものを圧倒させる破壊力を持つ。それは未知の物質であるダークマターの存在を予見するかのような趣きで、まさに知的でさえもあるのだ。

 とにかくまずは、清水のコースターアートを見ていただきたい。そして驚愕してほしい。本書はまさに、感覚的にも知的にも楽しめる一書なのだから。

 

文/菊地 道夫

 



Q & A


 

○ プロフィールについて

 

 

ー幼少期はどんな少年でしたか。

 

清水:下を向いて石を拾うような子でしたね(笑)。

 

ーいわゆる、大人しめな文化系ですか?

 

清水:文化系というよりはどちらかというと運動のほうが得意でしたね。運動神経は抜群でしたよ。ちなみに、陸上で選抜に選ばれたくらいですからね。

 

ー絵に対しての興味はいかがでしたか?

 

清水:絵や図工は好きでしたが、のめり込むほどではありませんでした。理由のひとつとして、自分の作品について先生からまったく評価されなかったからかもしれません。きっと、変わった絵を描いていたんでしょうね(笑)

 

ー先生も変わった絵を描く子だと思ったのでしょうね。

 

清水:でもね、小学5年生の時に一人の先生が声をかけてくれたんです。「君は面白い着眼点を持っているね」と。それが、小学校5年生の時です。おそらくそのときの気持ちが、面白い作品を創りたいという今の自分のスタイルに繋がっているのだと思います。

 

ー画家を目指したきっかけは?

 

清水:19歳の学生の時、伊豆に行ったんです。その時、女学生がスケッチをしていた姿に何故か感動をしまして。その時何故か画家になりたいと思い、直ぐさまスケッチブックを買いました。

  


 

○ 作品について

 

ーはじめて清水さんの絵を見たとき、何故かわからないのですが「子供の頃に図鑑とかで見たような感じだな」というイメージを持ちました。

 

清水:ありがとうございます。私にとって、それはとても嬉しい感想です。

 

ーご家族の方には、この作品集を見せましたか?

 

清水:姪たちにこの話をしたら素直に「オモシロいね」と言ってくれました(笑)。デザインっぽいよりも形があるほうが分かりやすいねって言ってくれてます。

 

ーコースターアートという独特なスタイルはどのようなきっかけで生まれたのですか?

 

清水:私はお酒を飲めないんですよ。で、やることも特になくて。そしたら何気なく見たテーブルにコースターとペンがありまして。ふっと始まったスタイルですね。

 

ー描き始めてから完成迄の製作過程について教えてください?

 

清水:決まっている製作行程というものは特にありません。いきなりで申し訳ないのですが、正直、コースターアートに関して自分は「天才」だと思っています。ペン(全てボールペンで描いている)が勝手に動くんですよ、そう、何を描こうかと意識しなくとも右手が勝手に動くというね。とは言え、単純に描いてて楽しいかどうかなんですけどね。

 

ー何かイメージとなるものが具体的にあるのだと思っていました。

 

清水:しいて言うなれば、イメージは宇宙から降ってきますね。毎日考えるんですよ、宇宙の先には何があるのかって。だって思いませんか、我々地球人だって大きな宇宙から見れば「宇宙人」なんですよ(笑)。ですので、最近二足歩行の犬を描きました(笑)

 

ー自分が創り出す絵やアートに対する信念やテーマはありますか?

 

清水:まず、私見なのですが、デザインぽい絵っていうのは綺麗だなってだけで終わっちゃうということ。そして、絵やアートに完成形は無いと思っています。壊してしまっても途切れることはないんです。破壊と創造といったら大げさですが、単純に子供たちが自分の絵を見て「ナニコレー」って面白がってくれるような作品にしたいんです。そして、日本人の固定観念にない絵を描きたいですね。あそこの国、どこの国の人が描いたってわかってしまう絵はつまらないですよ。

  


 

○ 20代、30代にフォーカスした人生論

 

―人生のターニングポイントを教えてください。

 

清水:24歳の時に開いた個展で、悔しい思いをしましてね。ある人に「展覧会なんてやれる力ないでしょ?」と言われ、とにかく悔しかった。そんな時、村上龍(作家)の同級生と喫茶店で知り合いました。自由でいいんだよ、好きでいいんだよと声を掛かられまして。何か吹っ切れたような。

  

―人生の教訓を教えてください。

 

清水:生きている限り、不思議な事はたくさんある。とにかく全ての事に興味を示してほしい。その先に様々なことがありますので。

 

―20代、30代に教えておきたいこと、大切なことを教えてください。

 

清水:自分というものが何に向いてるかは分からないんですよ。それを探し続けるなと。僕にいたっては、自分に向いているものは「無い」ということに気が付いたんです。

 

―人生で最も影響を受けた人物や尊敬している人物を教えてください。

 

清水:まず、バスキアです。他には、岡本太郎。そして、ミロです。

 

―人生で最も影響を受けた作品を教えてください。

 

清水:ミロの作品です。給料の半分を費やしてシルクスクリーンを買ってました。そして関係ないのかもしれませんが、心理学の本、フロイト、哲学書、ダダイズムに関する美術書、そしてフランスの詩人の貪るように読みました。絵の中に影響が出ていると思います。

 


 

○ 最後に人生の先輩として大志を抱く方へ、メッセージをお願いします。

 

清水:僕にとっての絵は、たぶん暇つぶしなんです。ただ、友達から言われるのは40年間それを継続しているのはすごいなと。フランス料理よりも、飽きのこない即席麺と言いますか。シンプルさを持って、それを継続する事のほうが大事だという事です。