津軽錦石の職人」 

 

-職人気質と芸術家気質との融合- 

 

青森県在住・工芸作家

福田 資(ふくだ たもつ



宇宙の目
宇宙の目

  石は古来より、神秘的な存在として、ことに西洋では王侯貴族の間で大切に扱われてきた。例えば宝石も広義の石として考えると、世界三大美女の一人とされるクレオパトラは、宝石を“美”の対象として珍重し、そこには魂が宿ると信じていた。確かに宝石のあの逡巡なき輝きには、一種の神秘性があるといえる。また、クレオパトラはその熱狂的なまでの宝石愛から、宝石を酢に溶かして飲んだとも言われている。また、博物学者大プリニウスの大著『博物誌』によれば、宝石を食すことは健康に恵まれることとされており、古来、西洋では石という対象は非常に空想的な存在であったということが分かる。

 

 ところ変わって東洋に目を転じてみよう。東洋における石の“美”というものは、西洋に於けるような理念的、分析的な対象ではなく、自然という対象に基づいた普遍性のある事柄である。したがって石には自然物としての“美”が備わっているとして、「石庭」という空間が尊重されたのである。この「石庭」とは東洋的自然の“美”であって、幾何学的・理念的な、西洋におけるような庭園という空間とは全く異なる。つまり、東洋における石とは、自然に基づく純粋な石の“美”だったのである。

 

 このような視点から福田資さんの作品を見てみると、何か日本におけるそこはかとない“美”を純粋に体現したかのような想いに駆られる。「デザインを考えることはしない。頭に降ってくるような感じ。そして頭の中のものが、じかに手を動かす」という言葉からは、石の匠としての気迫を感じさせる。また「ほかの人と同じではいけない。作品には自分そのものが出てくる。見た人に感動してもらえる作品を作りたい」という言葉には、芸術家としての気品が感じられる。

 

 福田さん作品からは、根っからの職人気質と、熱烈な芸術家気質との二種類の気質が感じられるのである。

 

 最後に。「人生で最も影響を受けた作品を教えてください」との質問に対して“岡本太郎”と答えたその気魄には、脱帽である。

 

 

文/菊地 道夫

 

ユリの花
ユリの花
鯛
夏の花
夏の花
茶碗
茶碗


Q & A


 

○ プロフィールについて

 

―生年月日を教えてください。

 

福田:1937年(昭和12年)1月26日生まれで、80歳です。

 

―幼少期はどんな少年でしたか。

 

福田:おとなしい子供だったと思います。

 

―ご家族との思い出のなかで、印象深いものを教えてください。

 

福田:家族で海へ遊びに行ったことですね。

 

―学生時代の得意な科目、苦手な科目を教えてください。

 

福田:図工、工作が得意でした。

 

―学生時代は何を学ばれていましたか。また、現在の活動に生かされていますか。

 

福田:工作などの好きなことで、現在の創作に生かされております。

 

―どんなお仕事をされてきたのか、教えてください。

 

福田:金属に型を流す「鋳物」ですね。

 

―制作活動以外にされている活動があれば教えてください。

 

福田:趣味だけです。

 

 


 

○ 作品について

 

―福田先生のような作品は、他に見たことがありません。ジャンルとしては何と呼べばよいのでしょう?

 

福田:“津軽錦石の美の世界”ですね。

 

―石に手を加えて作品にされているのでしょうか。何がきっかけで思いついたのですか?

 

福田:津軽にしかない珍しい石で、作品に生かされないかと思い……。

 

―芸術方面は昔から得意でしたか?絵を描いたり、陶芸などの土台があったりしたのでしょうか。

 

福田:中学生の時から、何かと作ることが好きでしたから。

 

―福田先生の作風と、地元・弘前の関連性はあるのでしょうか。

 

福田:私の作品で、弘前のリンゴ、ねぶた祭り、岩木山などがあります。

 

―ご自身の作品へのこだわりと、ポリシーを教えてください。

 

福田:石の中の色と模様のバランスを見分けることにこだわっています。

 

―次回作、これから作りたいものなどを教えてください。

 

福田:年齢的に特に考えておりません。

 


 

○ 20代、30代にフォーカスした人生論

 

―人生のターニングポイントを教えてください。

 

福田:いろいろなことに趣味をもってもらいたいです。

 

―人生の教訓を教えてください。

 

福田:向かったことに最後まで諦めないこと。

 

―若者に教えておきたいこと、大切なことを教えてください。

 

福田:夢を持って、何回でも挑戦することです。

 

―人生で最も影響を受けた人物や尊敬している人物を教えてください。

 

福田:中学生の時の美術の先生と出会えたことですね。

 

―人生で最も影響を受けた作品を教えてください。

 

福田:ずばり、岡本太郎です。