舞妓は2、3年の奇跡のような存在」 

 

瞬間の美というものに拘り、呼吸を形にする 

 

インタヴュー :

宮内 勝廣 (写真家)

 

日本には、舞妓を撮り続けるカメラマンが数多くいる。

 

その中で、舞妓の生活をドキュメンタリーとして撮るのではなく、瞬間瞬間の美というものに拘り、表情だけでなく呼吸を形にする写真家は一握りだろう。

 

千葉県銚子市に日本の美を瞬間芸術として表現する天才がいることをご存知だろうか?

 

舞妓の話となると、誰よりも目を輝かせる写真家、宮内 勝廣氏に舞妓を魅力を伺った。

 

 

舞妓とは、、、


「舞妓」とは、京都の上七軒、先斗町、宮川町、祇園甲部、祇園東の五花街で、舞踊、御囃子などの芸で宴席に興(きょう)を添えることを仕事とする女性のことです。

 

「お茶屋」とは、芸舞妓を呼んで宴席を設けてお客さんを楽しませます。

 

「置屋」とは、芸舞妓を抱えており、料亭やお茶屋などのご依頼に寄って派遣するところ。

※置屋の女将を「お母さん」、先輩の芸舞妓を「お姉さん」と呼びます。

 

 

舞妓になるには、、、


まずは、置屋に住み込みます。

 

はじめは「仕込み」として、お姉さんのお手伝いをしながら置屋の生活や花街のしきたり、舞などを学びます。

 

「仕込み」の次は、「見習い」になります。

 

そして芸が上達したら髪を結い、衣裳をつけてお姉さんについてお座敷へ出ていきます。

※舞妓は、「だらり結びにした帯」が有名ですが、このときは「半だら」といって半分の長さで結びます。半だら帯の見習いを約1カ月程つとめ、晴れて「舞妓」になります。

 

 

舞妓の魅力について、、、


 

舞妓は、舞が中心ですが、同じくらい三味線、笛、太鼓、謡などに時間を費やして稽古に励みます。

 

人知れず励むことがあります。八朔も暑いときなのに汗かかない。がり勉でない優等生みたいな。

 

そのさりげなさが私は好きです。

 

それは江戸の粋にも通じます。

 

江戸の着物は裏地に刺繍がしてあったり、いつも見えるとこでなく、動作によって見え隠れするのが粋といえるものでしょうか。

 

伊達男みたいに。「わかんなくてもいいんだけどわかるとうれしいぜ」くらいに…

 

舞妓もこんな心境になって一人前でしょうか。ただかわいいだけではなく。

 

 

舞妓とは、余計なことは考えず、感性で向き合い感じれば良いのです。

 

まるで美しい絵画に魅せられた時のように。。。

 

 

写真家・宮内 勝廣(みやうち かつひろ)とは


 

千葉県銚子市に生まれる。1995年からフォトコンテストに応募、2000年前後から京都の芸舞妓撮影のほか、欧米はじめ諸国を旅行。

 

(個展) 2005年写真展・写真集「祝祭のトポス ベネチア/ニース」、2012年写真展「チュニス〜青の眩惑」、2015年写真展「舞妓つれづれ」。また、パリ・ジャパンエキスポに 2014年から毎年参加している。

 

<所属> 日本写真協会(PSJ)、東京写真研究会、二科会千葉支部

 

(賞歴) 二科会写真部二科賞(2007)、二科会写真部弘社賞(2009)、同展覧会入選 2回、日本写真家協会(JPS)展入選 3回、個展「チュニス~青の眩惑」、「写真の日」写真展 2015 写真弘社賞、写真集「舞妓つれづれ」出版、第101回研展富士フイルムイメージングシステムズ賞(2016)。

 

(著書)舞妓つれづれ、舞妓つれづれII、舞妓つれづれIII

 

舞妓の伝統をカメラを通して世界へ響かせられる唯一無二の写真家として、貴重な一人である。

 

 

舞妓つれづれ: 宮内勝廣 写真全集

宮内 勝廣 (著)

 

 

「そうだ京都、行こう」というJR 東海観光キャンペーンに誘われ、四季折々の京都を訪ねてから約15年、祇園界隈で芸舞妓を撮っております。 

 

その端緒は舞台やお座敷での十全なハレの姿より、そこに至る過程や日常の何気ない所作、振る舞いに心惹かれたからです。 

 

 形、音、香り、情緒の中に美を感じられるということは人生の大きな喜び(E・A・ポオ「詩の原理」)です。厳しい稽古・修業を経てそれらの美的要素を身に着け、具現する芸舞妓は、男にとっても女にとっても魅せられる、憧れの存在であり、日本の芸能文化の一端を担い、継承するものと言えるのではないでしょうか。 

 

 

 

舞妓つれづれ II: 宮内勝廣 写真全集

宮内 勝廣 (著)

 

 私は京都の四季折々にふれておよそ15 年余り祇園界隈の茶屋における芸舞 妓の「垣間見る半日常」~化粧、舞稽古時の後先を含む表情・振る舞い、所作 等々の寸景~を主に撮って参りました。 

 舞妓は今までに多くの画家によって描かれていますが、とりわけ速水御舟の 描く妖しい情念を醸す舞妓や土田麦僊の描く素朴なあどけなさが残る舞妓はい ずれもリアルで独特の筆致・構成をした名品と思います。両画伯と比べるべく もないことですが、私の目指すものは客観描写手段としてのカメラで人物や事 物を自然なまま主観的に捉えることにあるので、虚心坦懐というかむしろ心許 無げに臨むよう心掛けています。 

  

 本作品集は、前作の陰影を基調としたモノクロ作品集とは趣を異にして、カ ラー作品で自然な動きや彩かな色調、濃淡を織り交ぜつつ構成しました。前作 同様、何卒ご高覧いただければ幸甚に存じます。 

 

 

 

 

舞妓つれづれ III: 宮内勝廣 写真全集

宮内 勝廣 (著)

 

 私は京都・祇園を訪れるたびに、日差しと町家がつくり出す陰影、それを背 景に舞妓の様式美(季節の移ろい、時節の花があしらわれた着物や帯、さりげない芳香)が織りなす馥郁とした古都の情緒に浸れます。ちなみに舞妓の髪を彩る簪は、月に 1本づつ 13種類(1 本多いのは正月の稲穂)あり、繊細な季節 の移ろいをシンボル化し、現しています。 

  

 「舞妓つれづれ」はこれで三作目~一写入魂~いよいよ佳境に入ります。前述のように舞妓様式の一面には「自然に調和する備え」ともいうべきものがあります。また日頃の修業・鍛錬の成果でしょうか、舞妓域を離れた異質な地域・ 場所でも舞妓としての基本的な有り方を保持し、凛として変わることはありません。一方、オフの時のように普段は見られない芸舞妓の表情や微妙な違和感・ コントラストを読者諸氏に楽しんでいただけることも拙著の意図し期待する一 つであります。 

 

 

 

 

インタヴュー :海野 有見

写真/テキスト:向田 翔一


インタヴュー : 宮内 勝寛 (写真家)

 

 これは、舞妓を撮り続ける写真家・宮内 勝廣 の信念である。


 

宮内 勝廣(以下、宮内):遠い所からわざわざどうもね。

 

写真家ならではの鋭い眼光をしている。

 

— 本日はよろしくお願いいたします。なんだかアーティストな雰囲気がありますね〜。

 

宮内:はい、よろしくお願いします。

 

ソファに腰を下ろすと、取材班のカメラ位置を気にしている。

 

ー やはりカメラの位置、気になりますか?

 

宮内:気になります。普段、撮る方が専門で撮られるのはなれてないですからね(笑)。

 

ー なるほど(笑)。ところで、宮内先生の作品を拝見していると、毎回ドラマがあってずっと見ていられるのですが、写真を撮るときに意識されていることなどありますか?

 

宮内:そうですね、まず舞妓さんが妙に意識していたりすると、不自然な動きになるでしょ。ああいうのは撮らないかな。

 

ー やはり自然体にこそドラマがあると?

 

宮内:そうだね。大切なのは、演出ではなく、内面を探ることとだよ。表面だけをなぞれば良いわけじゃない、えぐるように、メンタルを削るようにってやつだね(笑)。

 

宮内:心の中を撮るのが私なんだと、いつも思ってるよ。

 

その言葉の陰には、誰よりも舞妓を思ってきた自信が伺える。 

 

 

撮った分だけ見えてくる


 

宮内氏は、1949年、千葉県に生まれた。

 

ー カメラをはじめたのはいつ頃からですか?

 

宮内:はじめたのは、高校生くらいでしたね。

 

ー 最初は、やはり苦労されましたか?

 

宮内:そりゃあ最初は色々悩みましたよ。海外での撮影は特に難しかった。

 

ー なるほど。それが徐々に追い求めている形が見えてきたと?

 

宮内:そうですね。2005年に個展・写真集「祝祭のトポス ベネチア/ニース」を行いました。これは一つの大きな出来事だったと思います。この頃から徐々に私自身が本当に撮りたいもの見えてきましたね。

 

ー おー。

 

宮内 : そして、次のターニングポイントは、2007年ですかね。

 

ー 二科展ですか?

 

宮内 : そうですね。二科展において二科会写真部二科賞を受賞しました。作品もそうですが、その頃から徐々に周囲の反応も変化していったように感じます。

 

※二科展(日本を代表する展覧会 : 国立新美術館)

 

ー この頃より世間的にも広まりはじめたように思いますね。

 

宮内:いやあ、どうだろうね。広まってるならば、ありがたいですけど(笑)。

 

 

瞬間芸術としての写真の撮り方


 

ー 素敵な写真を撮るコツのようなものがあれば教えてください。

 

宮川:写真を撮る上で、構成やバランスは本当に大切です。被写体だけを追ってしまわないように、全体をよく見まわそう。分かりやすくいえば、絵を描くことと同じなんじゃないかな。描くことと撮ることは、作品を作るという意味では変わらないのかもしれないしね。

 

ー 本日はありがとうございました。 

 


 

最後に一言頂いた。

 

「そうだ京都、行こう」というJR 東海観光キャンペーンに誘われ、四季折々の京都を訪ねてから約 15年、祇園界隈で芸舞妓を撮っております。その端緒は舞台やお座敷での十全なハレの姿より、そこに至る過程や日常の何気ない所作、振る舞いに心惹かれたからです。

 

 形、音、香り、情緒の中に美を感じられるということは人生の大きな喜び(E・A・ポオ「詩の原理」)です。厳しい稽古・修業を経てそれらの美的要素を身に着け、具現する芸舞妓は、男にとっても女にとっても魅せられる、憧れの存在であり、日本の芸能文化の一端を担い、継承するものと言えるのではないでしょうか。

 

 22世紀アートから出版しました「舞妓つれづれ」、ぜひ読んで頂ければ幸いです。         

 

 よろしくお願いいたします。

 

 

プロフィール



宮内 勝廣(みやうち かつひろ)

 

千葉県銚子市に生まれる。1995年からフォトコンテストに応募、2000年前後から京都の芸舞妓撮影のほか、欧米はじめ諸国を旅行。

 

(個展) 2005年写真展・写真集「祝祭のトポス ベネチア/ニース」、2012年写真展「チュニス〜青の眩惑」、2015年写真展「舞妓つれづれ」。また、パリ・ジャパンエキスポに 2014年から毎年参加している。

 

<所属> 日本写真協会(PSJ)、東京写真研究会、二科会千葉支部

 

(賞歴) 二科会写真部二科賞(2007)、二科会写真部弘社賞(2009)、同展覧会入選 2回、日本写真家協会(JPS)展入選 3回、個展「チュニス~青の眩惑」、「写真の日」写真展 2015 写真弘社賞、写真集「舞妓つれづれ」出版、第 101回研展富士フイルムイメージングシステムズ賞(2016)。

 

(著書)舞妓つれづれ、舞妓つれづれII、舞妓つれづれIII

 

舞妓の伝統をカメラを通して世界へ響かせられる唯一無二の写真家として、貴重な一人である。