「命の職人」 

 

ー人類にとって何が大切かー

 

東京都在住・作家/医師

榎本 昭(えのもと あきら)



人類普遍の原理:電子書籍 800円(税込)
人類普遍の原理:電子書籍 800円(税込)
9月発売予定:人類普遍の原理(英訳):書籍 1500円(税込)
9月発売予定:人類普遍の原理(英訳):書籍 1500円(税込)

 世界は今、資本であふれている。そのため戦争、紛争も解決しない。そのことに関して世界は揺れている。政治は正義であるか否か、法は公正であるか否かで揺れている。つまり、社会システムに対しての懸念が全世界で広がっている。即ち、社会主義に対してのシステムの見直しが必要となっているのだ。

 

 榎本昭氏が主張する「人類普遍の原理」とは、そういった社会に対する既成概念をいったん白紙に戻し、道徳、宗教によって“信じる力”“救われる力”を取り戻そうとする、そういった原理である。これは間違いなく人類の未来にとって必要不可欠な法則として機能するはずだ。何故ならば道徳的尺度とは、榎本氏が本書『人類普遍の原理』で書いているように「人類道徳の尺度は人間の幸福である」からである。

 

 コンピュータが人類を支配するような主客転倒の社会が形成されていることに対して榎本氏は、「どちらが主人で、どちらが従人かの区別が逆になってしまう」と言っている。これはまさに“目から鱗”の見解である。つまり、コンピュータは社会において脇役であったものが、主役に抜擢されるようになり、本来、主役であるべきはずの人間が脇役となってしまっている現行の社会への痛切な批判であろう。人間はコンピュータに支配されている。

 

 つまり、榎本氏が主張していることとはこうだ。即ち、社会システムによって支配されている人類がヒューマニズムを取り戻すためには、“心の広さ”、それも道徳的、宗教的理念によって得た“心の豊かさ”こそが必要不可欠であって、それがひいては人類の幸福や平和へと導く最善の行為なのだ、ということである。世界は機械論的自然観では把握できない!

 

 榎本昭著『人類普遍の原理』は現代人が熟読すべき作品である。本書からは、様々な視点を持って生きることの必要性を教えられるのである。

 

文/菊地 道夫

 


Q & A


榎本 昭(えのもと あきら)

 

1956年

東京医科歯科大学医学部卒業。同年東大病院インターン研修。

1957年

東京医科歯科大学病院第一内科勤務。

1960年

国立国際医療センター内科勤務。

1961年

東大病院第三内科勤務。

1974年

英国ニューカッスル大学留学、勤務。

1977年

東大病院第三内科勤務。

1978年

榎本医院開業、現在に至る。

 

 

 

○ プロフィールについて

 

―生年月日を教えてください。

 

榎本:1931年(昭和6年)1月2日生まれです。

 

―幼少期はどんな子供でしたか。

 

榎本:慎重な性格で、あまり表に出ない引っ込み思案傾向の子供でした。学校ではよく学則を守り、先生の指導によく従って行動し、問題をおこしたことはありませんでした。小学一年の時に麻疹で二日休んだほかは、大学卒業まで無欠席で通学しました。

 

―ご家族との思い出の中で、印象深いものを教えてください。

 

榎本:母はミシンの教師で、プライドの高い人で、夜遅くまで特別授業をしてまわり、母一人、子一人の生活を支えて働いてくれましたのが印象的でした。妻は医師になりたての無給時代の苦境をのりこえるのに苦労したと思いますが、不平も言わず、よく協力してくれました。

 

―学生時代の得意な科目、苦手な科目を教えてください。

 

榎本:得意な科目は算数、理科で、苦手な科目は記憶を必要とする英語、国語でした。妻はちょうど正反対でしたが、互いに長所、短所をおぎなって協力できたのは幸いでした。

 

―これまでどんな活動をされてきたのか教えてください。

 

榎本:最初、物質の本質を研究する原子物理学を勉強しようとしましたが、社会を動かすのは人間ですので、人間について研究することにしました。人間の一番本質と考えられる神経を主要テーマに選んで、神経学の学問を研究されていた東大冲中内科に入れて頂き、神経学を研究しました。神経病はたとえ診断を正しくつけても、治療の点では治りにくいものが多く、この点を考え現在の開業科目として神経内科を入れず、一般内科診療をしております。神経学の知識は身体的調節や各症状の因果関係を理解する上で非常に有益な知識を提供してくれます。

 

―現在の活動について教えてください。

 

榎本:現在は一般内科(生活習慣病、循環器、消化器、呼吸器等の総合内科診療)の患者診療を行っています。よく患者に自分の病気を理解して頂けるよう了解・説明に時間をかけるよう心掛けております。

 

○ 作品について

 

―英語版が出て海外の方にも読まれるようになりましたが、そのことについてどう思われますか。

 

榎本:人類という同じ人間同志が協力し合えるように、広いグローバルな視点に立った他者を理解できるような思想が広がることを望みます。もしも問題がある時は武力でなく平和な手段により解決できる機構を早くつくるべきでしょう。そのためには日本の明治時代の廃藩置県の改革がよきモデルとなると考えます。

 

―「人類普遍の原理」というタイトルに込めた思いを教えてください。

 

榎本:自国至上主義、排他主義の風潮が台頭し、大国主義をかかげて軍備増強にはげみ、自由な言論を封じてそれでよしとしている国家指導者も未だに存在しています。且つてのソ連が今の東ヨーロッパ諸国に後ろ向きになられているのを見れば、暖かい心で接しなかった結果は決して賢い選択ではなかったことを物語っているでしょう。

 

―この本の中の作品からは、確乎たる強い意思を感じます。このような作品を創るきっかけを教えてください。

 

榎本:自己の利害や、狭い視野に立っての政策は正しいものではなく、広い人類全体を見る視野に立ち、他者を思いやる温かい心をもった判断が正しいことは明白です。地球温暖化に協力的でなかった国も少しずつ全人類で協力して取り組まねばならないことを理解しはじめてきています。

 

―これまで手掛けてきた作品へのこだわり、ポリシー(方針)を教えてください。

 

榎本:広い視野に立った見方が正しいことを正しいといずれ世界の人々が理解する時は来るでしょうか。又それが人類世界の常識となり意見の違い、紛争は平和的手段で「いずれ」解決する世の中になると思われますが、今の世界ではなかなかその正しい方向へと向かう様子が見えません。

 

私の主張の趣旨:特に現在の政治の方向性についての批判

 

自国一国の発展や繁栄しか考えず、他国への影響や意見に目を向けようとしない現在の世界情勢は真に憂慮すべき傾向と考えます。もっと広い視野、即ち人類全体的グローバルの視野に立った対策が必要であり、又そうせざるを得なくなる世界に必ずなると考えます。

 

できうるかぎり早く好ましい方向へ導く必要があります。人類全体を考えての平和的調整により、バランスのとれた協調社会をつくり出す必要があります。人類が高度の発展をなし得た主因は互いの協力にあったという歴史を今一度思いおこしてほしい。

 

 

○ 20代、30代にフォーカスした人生論

  

―人生のターニングポイントを教えてください。

 

榎本:社会に出たばかりの若い方には、社会へ対処で迷われることも多く、又、ストレス過剰で苦しんでおられることも多いですね。人生や社会への対応でも参考意見としてアドバイスすることもあります。ターニングポイントではよく熟慮してあとで後悔しないで人生を送るよう最善をつくすことをすすめます。

 

―若者がターニングポイントを見逃さないようにするためのアドバイスをお願いします。

 

榎本:人生の選択肢はそれぞれ、人によって異なるため、決定的なことは言わず本人の判断の参考になることを話すにとどめます。形式にこだわらず、本質的内容を重視するよう理性的対処をすすめます。

 

―人生の教訓を教えてください。

 

榎本:メッキはいつかはげる。自分を大切にして真の価値あるものを求める努力をすることをすすめます。

 

―若者に教えておきたいこと、大切なことを教えてください。

 

榎本:学校の授業は先人研究者が努力して得られた結果(時には生命をかけて研究した)、よい所をまとめて先生が代弁して教えてくれているのであり、熱心に勉強せねば申し訳ない気持ちで学ぶべきでしょう。礼儀上からもそうするべきと考えます。

 

―人生で最も影響を受けた人物や尊敬している人物を教えてください。

 

榎本:栄養生物学の大家で高校時代、生物を教えて下さった村上進先生。研究者として眞理の探究の意味を理解させ、日常授業の中で実行して下さった先生。後に埼玉大学理学部長になられました。冲中重雄教授は東大第3内科教授で、最終講義で当内科の誤診率を発表される等、医師はどうあるべきかを実行動で実践して下さった先生です。

 

―人生で最も影響を受けた作品(本など)を教えてください。

 

榎本:子供の頃の本で「フランダースの犬」と「母をたずねて三千里」の二冊が好きでした。人では新渡戸稲造先生の人生に共感をおぼえます。太平洋戦争の直前、生命をかけて日米開戦しないよう戦争防止に奔走した理性的献身的努力には頭が下がります。

 

○ 最後に人生の先輩として大志を抱く方へ、メッセージをお願いします。

 

榎本:眞に価値あるものを求め、あとで後悔することのないよう最善をつくすことが大切です。また、広いグローバルな視野をもって判断し、一時的な狭い視野での判断に惑わされないことが必要です。