ゆきあひ - 岩谷征捷の世界

岩谷 征捷/著

発売日:2019/10/10

2,134円(税込)

発行形態:オンデマンドプリント(ペーパーバッグ)

ページ数:286



商品解説


防雪林のポプラが、風に吹かれて白い葉裏を見せた。

 その林と鉄路とのあいだには、小さな墓地があった。あのとき気づかなかったのは、遠景にばかり視線を投げていたからだろうか。

 通りすぎてゆく樹木たちの近景——。かつて自分を取り巻いていたものの中心に存在していた、樹木。その内がわを思考が流れてゆき、ついには熟考する樹木——いっしゅんではあったが、そうした幻影がはしり、それとともに惹かれてゆく私がいた。あるいは、次のように思考が捩れてゆく。——たとえば「死」があってはじめてひとはひとであることを得ているのであり、それはよろこぶことでもなくかなしむことでもなく、各自めいめいの死に向かって時間は進んでゆき、同時に空間そのものをも移動させてゆく。

著書プロフィール


岩谷 征捷 (いわや・せいしょう)

1942年、北海道生まれ。國學院大學文学部文学科卒。

主たる専門領域は、日本文学評論・小説。

 

主な著書

『島尾敏雄論』近代文藝社、1982年

『大江健三郎、イーヨー譚の生成』亜細亜文庫、1991年

『島尾敏雄私記』近代文藝社、1992年

『島尾敏雄事典』(共著)勉誠出版、2000年

『芥川龍之介大事典』(共著)勉誠出版、2001年

『近代文学作品論集成・死の棘』(共著)クレス出版、2002年

『中有の旅・岩谷征捷初期短編小説』亜細亜文庫、2003年

『桜花爛漫羅利骨灰・岩谷征捷自撰短篇小説』晃栄社文庫、2005年

『父と兄の時間 - 戦後小説を読み解く(電子書籍)』株式会社22世紀アート、2018年

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