亡き人に逢える―みみらく

櫻井 隆 / 著

発売日:2021/4/17

1,000円(税込)

発行形態:電子書籍



商品解説


[商品について]

―1000年前から続く「あこがれ」―

千年以上の昔から、京都平安朝の貴族・僧侶のあいだで「亡き人に逢える島」として認識されていた長崎県五島市三井楽町(みいらくちょう)。古くは『蜻蛉日記』や『坤元儀』、『散木奇歌集』などに記されていた「みみらくの島」の伝承は、いかにして都びとの間で伝承されるようになったのか――。

本書は、その伝説の舞台を故郷に持つ著者が、『蜻蛉日記』をはじめとして関連する史料・文献を繙きながら、伝説誕生の背景と伝承の系譜を探求しようとする試みである。日本の歴史の一面を知るうえで、示唆に富む内容となっている。

 

[目次]

はじめに

一―――古代における伝承

二―――近世における伝承

三―――現代における伝承

第一編 みみらく伝説成立の背景

第一章 『蜻蛉日記』成立の背景

第一節 作者道綱母(みちつなのはは)の家系

第二節 九条家の御曹司 兼家

第三節 『蜻蛉日記』成立の背景

第四節 『蜻蛉日記』成立の時期

第二章 道綱母の宗教観と古代仏教の影響

第一節 道綱母の宗教観

【付記】陰陽道(おんようどう)の影響

第二節 仏教伝来―法華経(ほっけきょう)と密教―

第三節 弥勒(みろく)信仰と道綱母―みみらく伝説の誕生の背景―

【付記】中国往生伝の将来と道綱母への影響

第四節 天台浄土教と摂関家と道綱母

第三章 天台浄土教家と道綱母

第一節 日延を渡海させた第十五世座主延昌(えんしょう)

第二節 叡山中興の祖 第十八世座主良源(りょうげん)

第三節 初の権門座主 尋禅(じんぜん)

【付記】『多武峯少将物語(とうのみねしょうしょうものがたり)』の影響

第四節 みみらく伝説を伝えた天台僧日延(にちえん)

第四章 念仏を広めた四人の僧と文人貴族

第一節 市(いち)の聖(ひじり) 空也(くうや)上人

【付記】行基(ぎょうき)(六六八~七四九)

第二節 文人念仏者 慶滋保胤(よししげのやすたね)

第三節 学識の人 源為憲(ためのり)

第四節 浄土教を広めた恵心僧都(えしんそうず) 源信(げんしん)

第五章 道綱母が知り得た五島とみみらく情報(正史)

第一節 『古事記』(七一二年撰進)六島生み神話にみえる五島

第二節 『日本書紀』(七二〇年撰進)にみえる五島

第三節 『肥前国風土記』にみえる五島とみみらく

第四節 『万葉集』にみえる五島とみみらく

第五節 『続日本紀(しょくにほんぎ)』(七九七年撰進)にみえる五島

第六節 『日本後紀』(八四〇年撰進)にみえる五島

第七節 『続日本後紀(しょくにほんこうき)』(八六九年撰進)にみえる五島

第八節 『日本三代実録(にほんさんだいじつろく)』(九〇一年撰進)にみえる五島

第九節 『儀式(ぎしき)』にみえる五島

第十節 後期遣唐使の遭難と五島

第六章 道綱母が入唐僧から知り得た五島とみみらく情報

第一節 伝教大師最澄(でんぎょうたいしさいちょう)と五島

第二節 弘法大師空海(こうぼうたいしくうかい)と五島

第三節 慈覚大師円仁(じかくたいしえんにん)と五島

第四節 恵運(えうん)『安祥寺資財帳(あんしょうじしざいちょう)』にみえる五島

第五節 智証大師円珍(ちしょうたいしえんちん)にみる五島とみみらく

第六節 真如親王(しんにょしんのう)の入唐にみえる五島

第七章 古代人の他界観

第一節 「島がくれ」にみる古代の他界観

第二節 古代の死者のゆくえ

第三節 帚木(ははきぎ)伝説と『蜻蛉日記』の同時代性について

まとめ

第二編 みみらく伝説伝承の系譜

第一章 藤原長能(ながとう)の功績

第一節 歌合(うたあわせ)にみる長能の事績

第二節 長能による『道綱母集』撰述

第三節 長能と能因の師弟関係

第二章 能因法師の役割

第一節 能因法師伝

第二節 能因の旅

第三節 源経信(つねのぶ)への影響

第三章 源俊頼(としより)による「みみらく」詠歌

第一節 源俊頼伝

第二節 『俊頼髄脳(としよりずいのう)』にみる長能・能因の影響

第三節「みみらくの島」のみえる『散木奇歌集(さんぼくきかしゅう)』

第四章 学僧顕昭(けんしょう)の役割

第一節 顕昭伝

第二節 『袖中抄(しょうちゅうしょう)』にみる俊頼の影響

第三節 『歌枕名寄(うたまくらなよせ)』への伝承

第五章 木下長嘯子(ちょうしょうし)への継承―近世―

第一節 長嘯子(ちょうしょうし)の生涯

第二節 『挙白集(きょはくしゅう)』の成立とその影響

第三節 下河辺長流(しもこうべちょうりゅう)『林葉累塵集(りんようるいじんしゅう)』への採歌

第四節 貝原益軒(えきけん)『扶桑記勝(ふそうきしょう)』への展開

終章 みみらくの島

あとがき

電子書籍の出版のあとがき

著者略歴

 

[出版社からのコメント]

時代や社会が大きく変わっても、人の生き死にに関わるものはそれほど変わることはないのかも知れません。歴史や古典を今につながるものとして楽しみ、数多く残されている史料を通じて昔の人々と対話する喜びを、本書を通じてぜひ味わっていただければ嬉しく思います。

著書プロフィール


櫻井隆(さくらい・たかし)

 

昭和22年 長崎県五島市三井楽町に生まれる

昭和45年 長崎大学経済学部卒業後住友金属工業株式会社入社

平成20年 同社定年退職 現在に至る

 

著 書 「みみらく雑稿(くさぐさ)」(私費 平成21年)

    「勝宝の遣唐使 私考」(清文社 平成23年)

関連書籍



書籍へのコメントはこちらからどうぞ

コメント: 0