多くの謎に包まれた活版印刷の祖「本木昌造」に迫る!

逃げる男:活版印刷の祖・本木昌造

江越 弘人/著

発売日:2017年9月11日

500円(税込)

装幀

カバー/Anjum

デザイン/22世紀アート


発行形態:電子書籍

ジャンル:教養



 本木昌造は難しい。たかだか百数十年前に生きた人間であるのに、すでに数多くの謎に包まれている。

 その謎は、昌造の最初の伝記を書いた福地源一郎の筆の滑りに由来したものもあるであろうし、昌造の複雑で屈折した生涯(と私は思っている)から紡ぎ出されたものでもあるかも知れない。ともあれ、その複雑怪奇な人物に挑戦することは、まことに無謀である。

 

 しかし、あえて昌造という人物像を描こうとした理由が二つある。

 

 その一つは、森山栄之助を調べているときに、その対極にある昌造に興味を持ったことである。二つめは荒木昌三という奇怪な人物にであったことである。「本」と「荒」の違い以外は何から何まで同じ人物が同時に存在していたことの不思議さに魅せられたことである。

 この本木昌造と荒木昌三が同一人物か全く別の人物か悩んだところであり、私の浅学非才のために、その疑問を解決する資料を集めることができなかった。そこで二人は同一人物であることを前提として、なぜ本木は荒木昌三を創造したかという小説を構想して『逃げる男』を書いてみた。

 本木昌造という人物が、幕府が倒れようとする生き難い幕末の時代に、自由人として生きるためにあえて荒木昌三という人物を創造してまで己の生き方を貫いた、その苦しみと悲しみをフィクションとして描いてみたかったからである。この試みが成功したとは到底思えないが、幕末の時代に個性ある長崎人がどのように生きたかを知っていただけるならば幸いである。

 『二人の「しょうぞう」』は、たった「本」と「荒」の違いだけで何から何まで同じ人物が存在する不思議さと驚き、二人の共通点と違いを検証してみたものである。

著書プロフィール


江越弘人(えごし ひろと)

 

昭和10年 長崎県野母崎町(旧高浜村)で生まれる。

昭和34年 長崎大学学芸学部卒業

昭和34年 長崎県公立学校教員(小学校)

平成8年 定年退職(最終勤務校・長崎市立鳴見台小学校)

 

主な著書

「子どもが生きる社会科学習」(編共著・明治図書)

「長崎県の歴史物語」(編共著・日本標準出版)

「白帆注進」(共著・長崎新聞社)


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コメント: 1
  • #1

    "三郎 " (金曜日, 08 12月 2017 09:29)

    『逃げるは恥だが役に立つ』――この人気マンガのタイトルを地で行った男の物語。威張っているヤツ程逃げ足速く、関東大震災で家族をおいて真っ先に逃げた自分を許せなかった芥川龍之介、故郷へと一度は逃げる犯罪者などなど逃げ方、逃げる理由にも様々あるが、この男の逃げる背中にあっぱれな爽快感を感じるのはなにゆえだろうかと考える。