いのち輝く 重症心身障害児〈者〉とともに: 福祉の道を歩むあなたへ

(著) 戸次義文

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作品詳細

ー本文よりー
今、福祉の道を歩もうと考えているあなたに「福祉を実践する上で大切なこととは何か」という疑問を投げかけたら、どう答えるでしょうか。
医学と同様、福祉も日進月歩であり、常に新たな課題をめざして取り組んでいます。知識や技術は実践の中でこそ積み上げられるものであり、その蓄積があって現場技術論が確立していきます。しかし、どんなに知識や実践が豊富であろうと、人間の幸福を追求する福祉であったかどうかは別論です。福祉の見方・考え方が根本的に確立しているかどうか、福祉の心を育んでいるかどうかが重要なことだといえます。
重症心身障害児(者)の福祉業務を仕事とする私自身も、福祉の心とは何かを常に問いかけてきました。重い障害によって言語でコミュニケーションを図ることが困難である重症心身障害児(者)の皆さんに対して、私の支援のあり方はこれでよいのか、食事や入浴など身辺介助の知識や技術など支援の方法論ばかりに目を向けて、その人の気持ちを察する支援の心を置き去りにしてこなかっただろうかと、自問自答し苦しむ日々もありました。
しかし、重症心身障害児(者)とめぐり逢ったことによって、人間のもつ生命力の根強さと、本質的な優しさを教えてもらい、福祉の心のあり様について学ぶことができました。
どんなに重い障害があっても、日々の暮らしの中で嬉しい時があれば笑顔を見せ、悔しい時は怒り、哀しい時は泣き、何かを求めたい時は皆さんと同じ様に訴える力があります。それは人間の無限なる発達を意味しています。重症心身障害児(者)の生活支援、発達支援の技法は生命の輝きと重みを感じ取り、命の尊厳を前提としない限り成り立たないということを今さらの如く知り得ました。
現代はインターネットで調べれば、一定の知識を得ることができます。重症心身障害児(者)に関する医学的管理や発達・指導に関する専門的な知識は、いくつかハンドブックも出ていますのでそれらを読むことで理解できます。しかし、現場で生じる問題や、現場でしか体験できないことは、現場で勤務した人間しか語ることはできません。
この書は私の勤務先である国立病院機構の施設で実際に行われている重症心身障害児(者)の支援の状況や、課題などの概要を簡潔に紹介し、35年間の福祉現場の体験から福祉という概念に対する私の見方や考え方を述べ、福祉の道を歩む人たちが命の重みについて主体的に考えるきっかけになればと願って執筆したものです。
国立病院機構における障害者福祉の支援について関心がある方、はじめて重症心身障害児(者)と接する方、これから福祉現場で勤務しようと志している方、施設実習を予定している学生や障害者ボランティアを希望している方がたなど、幅広い人に読んでいただき、少しでもお役にたてることができるならば幸いです。

著者プロフィールーーーーー
戸次 義文(とつぐ よしふみ)

1954年12月24日生まれ
1978年3月
 同朋大学文学部社会福祉学科卒業
1978年4月
知的障害児施設 新潟県立あけぼの学園
1978年10月
 国立療養所(現国立病院機構)新潟病院児童指導員として採用
 担当:重症心身障害病棟・筋ジストロフィー病棟・小児慢性病棟
2000年4月
 国立療養所(現国立病院機構)下志津病院
 担当:小児慢性病棟
2003年4月
 国立療養所(現国立病院機構)西新潟中央病院
 担当:重症心身障害病棟
2006年4月
 国立病院機構東長野病院
 担当:重症心身障害病棟
2008年4月
 国立病院機構西群馬病院
 担当:重症心身障害病棟
 現在 療育指導室長、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者

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