やがて大河となりて大海原に注ぐ
(著) 佐川政彦
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―戦争とは、家族とは―
信一郎の妹・万理子は、戦争の落し子として米兵との間に生まれた「望まれぬ子」だった。万理子を産んだ母だけでなく信一郎にも世間の風当たりは強く、一家は住み慣れた故郷を離れ新たな地で暮らす。祖母と母、そして妹の4人で貧しいながらも助け合って懸命に生きていた信一郎。しかし祖母と母を相次いで失い、万理子と共に施設に預けられた信一郎は、十二歳を過ぎたら施設から出なければならないと知り、強い兄弟愛で結ばれた二人は一緒に施設を飛び出そうと決心する――。
厳しい少年時代を乗り越え、青年から壮年へと道を切り拓きながら歩んだ一人の男の人生を描いた、別れと出会いの物語。
[目次]
まえがき
第一章 幼児期
米兵の事故
米兵との別れ
民子の妊娠
民子の出産
松尾家の転居
第二章 児童期
信一郎小学校入学(昭和二十三年四月)
二学年進級
弁当盗難事件
日常の奔放な遊び
運動会前日
オヤギ弁当
遠 足
給食費盗難事件
忘却の彼方に
賞品返し
学校帰りの水浴び
間(あい)の子
万理子の入学
万理子の粗相(そそう)事件
黒板拭き
障害児と相撲
清己の褌(ふんどし)事件
障害者からの教訓
先生の話(ホームルーム)
■その一 励まされる文字
■その二 知っておきたい語句
■その三 熟語(じゅくご)&諺(ことわざ)
■その四 生きる姿勢
■その五 指針
■その六 ある看護婦の手記
学芸会
万発の死
祖母の死
納豆売り
冲方さんとの出逢い
戦争の発端
戦時下の日本
平爺さんの話
■その一 俳優の縄綯(な)い
■その二 餓島ガダルカナル
■その三 特攻の選択
■その四 歌手の慰問
■その五 学徒動員
■その六 ソ連軍の侵攻
■その七 シベリア抑留
平爺さんの死
五年次の卒業式
母の死
出 村
施設での生活
上野での放浪生活
上野の生活
電車の寝床
上野の靴磨き生活
辰兄との出逢い
優少年との出逢い
妹との別れ
収容所脱走
再び上野に舞い戻る
優との靴磨き生活
二度目の孤児院収容所
「少年の家」造り
優の死
則本家の養子に
第三章 青年期
麻布高校入学
東大入学
第四章 壮年期
義父の秘書
義父の病(脳梗塞)
信一郎衆議院議員当選
岳父(がくふ)の薫陶(くんとう)
■その一 外山一郎の決断
■その二 帰還兵
妹との再会
国連演説
著者略歴
[出版社からのコメント]
戦争の記憶が少しづつ薄れるようになって久しいですが、親類、縁者の系譜を辿れば未だ戦争の傷跡はそこにあります。名もなき多くの人々が戦争によって狂わされた人生を懸命に生き、今の時間を作り出していったということについて、ぜひ思いを馳せながら本書の物語を楽しんでいただければ嬉しく思います。
【著者略歴】
佐川 政彦(さがわ まさひこ)
本名は佐川勝男。1942年生まれ。茨城県立水戸第一高等学校卒業。㈱日立製作所水戸工場(現㈱日立ビルシステム)入社。1998年、同社定年退職。協力会社を経て現在に至る。
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