オペラ座の弁慶:孫と奏でる旅の調べ

(著) 二宮真弓

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作品詳細

[商品について]
詩人はいつも旅をする。
それは実際の旅のこともあれば、心の風景の旅のこともある。
本書は、著者がフランス、オーストリアと旅をする中で詠んだ句にエッセイを加えた作品集である。
オペラ座で歌舞伎を楽しみ、プルーストの足跡を追い、モーツァルトや島崎藤村に思いを馳せるこの旅の中で、読者はその情景とともに文化への旅も味わうことができる。

「目次]
はじめに
オペラ座に弁慶見ばや春の旅
野田岩が店構へけりパリの春
シャガールの天井画ある春狂言
海老蔵(えびぞう)の飛び六法(ろっぽう)や春おぼろ
春舞台旧友ヴェロニク駆け寄りぬ
リヨン駅ジタンら群(む)れて春の塵(ちり)
モリエール座に荷風(かふう)も見しや春芝居
連翹(れんぎょう)はさらに色濃く異土(ゐど)に咲く
フルヴィエールの丘より俯瞰(ふかん)とち若葉
批評家賞授与す吾子(わこ)あり大試験(コンクール)
メゾン・ラフィットの城青鷺(あおさぎ)は身じろがず
手籠(てかご)には彩卵(いろたまご)あふれ子らの声
羊のもも焼けたる匂ひ復活祭
放駒(はなれごま)部屋の幟(のぼり)や青田風
万太郎の句碑(くひ)見てどぜう鍋とせむ
仲見世(なかみせ)のにぎはひ抜けて夏の寺
インディアンに乗り家出せり立葵(たちあふひ)
病む兄を見舞ふ少年柿若葉
ザルツブルグへのたび
パリで乗りかえミュンヘン空港へ
百花きそふミラベル庭園夏の蝶
祝祭劇場幕間(まくま)に仰ぐ夏の月
オペラ・ナイト
ひょうきんなマリオネットや夏休み
モーツァルトの生まれた家
二度咲きのカンマーグートの紫木蓮(しもくれん)
「サウンド・オブ・ミュージック」の旅
岩屋(いわや)なる僧院レストラン夏の宵
オーストリーの食べもの
ダイアナ妃(ひ)泊りしホテル夏の午後
市庁舎亭(ラーツケラー)の円卓かこみ麦酒(ビール)かな
コンブレーの村こそよけれ夏木立(なつこだち)
すもも採るノルマンディなる友の庭
プルーストゆかりの菓子や花すみれ
シャルトルに巡礼溢(あふ)る夏闌(た)けて
クスクスの馴染(なじ)みの店やプラターヌ
武満(たけみつ)氏へ捧ぐオマージュ終(しま)ひ夏
仙翁花(せんのうげ)咲きて翁(おきな)の偲ばるる
小諸(こもろ)なる義塾(ぎじゅく)のあとや蝉のこゑ
藤村の筆あとを見む夏の果て
虚子(きょし)旧居毬栗(いがぐり)の青たわわなる
タケミツの歌に聞き入る蕎麦(そば)の花
ろうじ茸(たけ)苦きを好む父なりき
先人の墨(すみ)あとやよし霜の庭
あの頃はもんぺで「第九」歌ひしと
古武士(こぶし)のごと散りにし人よ白き薔薇(ばら)
あとがき
あとがき Ⅱ
著者略歴
二宮真弓の作品

[出版社からのコメント]
画家が絵を描くとき、その対象の深いところまで目を向けるように、本書では俳句を通じて目の前の風景の奥底への思いが詰まっています。俳句は奥深いものではありますが、読み手の力量に応じて感じる世界があってもいいと本書は感じさせます。俳句とエッセイを味わいながら、読者それぞの旅を楽しんでいただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
二宮 真弓(にのみや・まゆみ)

1931年、岐阜県土岐郡笠原町(現多治見市)に生まれる。
県立多治見高校をへて、玉川大学文学部英米文学科卒業。
総長・故小原國芳先生のご薫陶を受け、在学中より雑誌『全人』『玉川百科大辞典』の編集にたずさわる。
もと名古屋YWCA新聞編集委員。
1981年「シャトレ座の天井桟敷」が第10回日本旅行記賞佳作。
1983年より15年間、中部経済新聞文化欄にエッセイを執筆。
1997年より名古屋ABCクラブ会員。ABCクラブ俳句会同人。
字佐美魚目先生に師事。
「晨」所属。中部ペンクラブ会員。
2000年より俳誌「園座」所属

著作歴
『たった一週間のヨーロッパ』(1980年/玉川大学出版部)
『パリの空の下 六段の調べは流る』(1994年/近代文藝社)
『アムステルダムの春は自転車に乗って』(1997年/新風舎)
『小説 紫露草の咲く家』(1998年/新風舎)
『俳句エッセイ めうがやの足袋』(2003年/新風舎)
『俳句エッセイ モンマルトルに眠れ』(2005年/新風舎)
『ヴィラ・メディチの庭』(2005年/美研インターナショナル)
『俳句エッセイ ジヴェルニーの虎杖』(2005年/新風舎)
『俳句エッセイ オペラハウスの夏鷗』(2006年/新風舎)
『俳句エッセイ モン・サン・ミシェルの羊達」(2007/新風舎)

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