ドーバー海峡を貫通せよ : 大陸を結ぶ海底鉄道トンネルに挑んだ男たち
(著) 宇賀克夫
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[商品について]
1991年5月22日午前11時30分――。ドーバー海峡をつなぐ2本のトンネルの内の1つが開通した。歓喜に沸き立つイギリス側、フランス側それぞれの作業員の中に、このプロジェクトに携わった日本人技術者たちの笑顔もあった。
巨大な「鉄のモグラ」トンネルボーリングマシン(TBM)はドーバー海峡のトンネル開通に大きな役割を果たしたが、中でも柔らかいフランス側の地層の掘削には日本のTBMが大きな貢献をした。本書は、実際にドーバートンネルの開通事業に携わった著者が、トンネル掘削技術の歴史にも触れながら、工事の受注からTBMの設計、機械の稼働、保守まで、困難に直面しながら粘り強く乗り越えた技術者たちを描いた記録である。
トンネル技術だけでなく、日に当たることのない影の努力と創意工夫が詰まった本書は、ビジネスマンを始め一般の読者も楽しめる内容となっている。
「目次]
1 ドーバー海峡の貫通
海底下の喜びの声
二七回目の正直
ヨーロッパ二〇〇年の夢
2 ヨーロッパを一つにする
ドーバーは自然のとりで
飛行機と同じ時間でロンドン―パリを結ぶ
3 青函トンネルとドーバートンネル
「鉄のモグラ」が活躍したドーバー
ドーバーの地層に適した日本の掘削機
注目された日本のシールド掘進機
関門トンネルで活躍した圧気工法
地下鉄有楽町線で力を発揮した泥水加圧式シールド工法
ユニークな泥土圧シールド工法
岩盤用トンネル掘削機
トンネルむかしむかし
あらゆる地層にむくトンネルボーリングマシン
4 ドーバートンネル工事に参加する
リールの地下鉄トンネルをほる
サービストンネル掘削機の受注に敗れる
ホテルで名案を思いつく
ロビンス社との競争と協力
注文をもらっても納期が守れない
5 フランス人技術者とともに
フランス人との会議
難題に取り組んだ設計
テスト・テスト・テスト
機械を運べる道路があるか
機械の完成が近づく
フランスでの製作
一号機のサンガットでの組み立て
6 いよいよ掘削の開始
ECの旗のもとに
安全対策は、しすぎることはない
水との戦い
カッターディスクが割れていた
掘削の再開から貫通へ
7 これからの地下開発とトンネル
地下の川
東京湾横断道路
これからの日本と世界の海峡横断トンネル
あとがき
著者略歴
[出版社からのコメント]
地下鉄工事の映像などで、この「巨大モグラ」を見たことのある方も多いかもしれませんが、本書の舞台である海底は、巨大な水圧のかかる危険と困難を伴う場所です。本書では、誰一人手を抜いても完遂できなかったであろうこの巨大プロジェクトの難しさについて、わかりやすい比喩を用いながら説明されています。本書で語られる、挑戦と失敗の積み重ねで得られた栄光は、何ものにも代えがたいものだろうと思います。本書によって、ものづくりや技術者の魅力を多くの方に感じていただければ嬉しく思います。
[著者プロフィール]
宇賀 克夫(うが・よしお)
川崎重工業(株)産機プラント事業部土木機械部部長。
1937年、兵庫県尼ヶ崎市生まれ。
芦屋市立精道小学校・甲陽学院中学・高校をへて、少年時代からあこがれていた造船技術者をこころざして大阪大学工学部造船学科に進学。
1961年、(昭和36)年、同社に入社するが、セメント機械設計部に配属され、翌年から1年間、神戸大学機械工学科の聴講生となる。
1963年、産業機械開発課で、シールド掘進機の開発とトラブル処理に奔走し、土木機械(鉄のモグラ)屋の道を歩みだす。
1985年、土木機械部部長、1988年より1991年までドーバープロジェクト・マネージャを兼務し、1995年理事に任命され、産機プラント事業部技師長になる。
1997年、川崎重工退職、川崎油工専務に就任、2000年大和産業副社長に招かれ、2001年より同社系列の日本ケーモ(株)の社長を兼務、2005年同社を退職、その後年金生活。
2女の父。
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