作品は何を語ったのか

(著) 中川昇一

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作品詳細

[商品について]
―文学作品を読むのに、テクスト以外に必要なものがあろうか―
高揚した感情で情熱的にヴィーナスへの「愛」を語り、一編の詩とさえ思える清岡卓行の「ミロのヴィーナス」。評論「無常ということ」の中の「思い出す」という言葉に秘められた、小林秀雄読解への鍵。物語の矛盾と破綻、そして改変の中に芥川の生と創作の苦悩が現れる芥川龍之介の「羅生門」。本書は、国語授業で生徒たちが「極めて恣意的で乱暴な解釈」を押しつけられている現状を憂う著者が、国語教材の定番中の定番といえる作品を題材に、従来の研究や指導書の抱える問題を指摘しながら、今いちどテクストに立ち戻り、テクストと対話しながら作品の真実に迫ろうとする「非実証的」読解論である。実証科学と称して安易で誤謬にみちた解釈を量産する文学研究に再考を迫り、教育現場に新たな「読み」の可能性を提示する一書。

[目次]
序にかえて
第一章 評 論
1 山崎正和「水の東西」
2 清岡卓行「ミロのヴィーナス」
3 小林秀雄「無常ということ」
第二章 小 説
1 芥川龍之介『羅生門』
2 村上春樹『鏡』
3 志賀直哉『城の崎にて』
4 中島敦『山月記』
5 夏目漱石『こころ』
6 梶井基次郎『檸檬』
7 安部公房『赤い繭』
あとがき
引用・参考文献
著者プロフィール

[担当からのコメント]
作者がテクストのみを通じて投げかけるその作品の価値をどのように受け止めるのか、作品の「読み」はその自由を味わうためのものでなければならないのだろうと本書を読んで改めて思います。かつて現国の授業に辟易していた方にこそ手に取っていただきたい一書です。ぜひご一読ください。

[著者プロフィール]
中川昇一(なかがわ・しょういち)

昭和29年生まれ。昭和56年3月、熊本大学大学院文学研究科卒。同年、熊本県県立学校国語科の教員となり、4月、熊本西高校に着任。以後、河浦高校、八代南高校、宇土高校、県立教育センター勤務を経て、平成12年4月、熊本高校に着任し、現在に至る。

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