古今短歌エッセイ:名歌に学ぶ人生の知恵

(著) 久米建寿

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作品詳細

[商品について]
―眼と口と、心で味わう短歌の世界―
記紀の時代から日本人の心の在りようを詠い、今も様々な形で親しまれている短歌。
本書は、その短歌について、日ごろ馴染みのない人にも親しんでいただくために、長い歴史の中で詠まれてきた歌の中から、自然や伝統、身近な人生の歌など読みやすいものを選んで、テーマに沿ったエッセイを付した詞華集ともいえる作品です。
言葉の意味や文法など、細かいことは気にせずに、先ずは掲載歌を目で読み口ずさみながら、そこに込められている心を味わい、併せてエッセイをお読みいただくことで、人生と、短歌の持つ奥深い世界に触れることができる内容となっています。
令和の時代に、あらためて日本の文化を知り、その精髄ともいえる短歌と出会う最初の一書として、多くの方にお勧めしたい作品です。

「目次]
凡 例
序にかえて──和歌一三〇〇年の流れ 日本文学史を貫く定型短詩文芸
第一部 名歌人生訓──人生短歌、道歌、教訓和歌にまなぶ
 一 我──この自分とは一体何者?
 二 父母──子を持って知る親の恩
 三 女性──われはをみなと生れつつ
 四 呼吸──一生もこの一息のつみ重ね
 五 太陽──太陽系宇宙の中心
 六 水──この生命の根源物質
 七 夢──夢見る頃を過ぎても
 八 旅──旅は道づれ世はなさけ
 九 橋──異境、異界への通路
 一〇 神仏──絶対的超越者につながる
 一一 地獄・極楽──こころが作り出す境地
 一二 故郷──人生の原風景
 一三 禅の悟り──何物にもとらわれない心
 一四 鏡──天照大神のみたま
 一五 鳥──色とりどりの鳥たち
 風濤抄(一)
第二部 名歌歳時抄──自然の風光、季節、行事
 一六 春──春宵一刻値千金
 一七 夏──陽気の極まる天地躍動の時
 一八 秋──天高く馬肥える爽涼の季
 一九 冬──体力温存をはかる時季
 二〇 正月──年の始めのためしとて
 二一 成人の日──昔は元服の祝い
 二二 建国記念の日──国の誕生に想いをはせる
 二三 青葉若葉──みどり萌え立つ季節
 二四 祇園祭──華麗なる山鉾巡行
 二五 原爆忌──ノーモア・ヒロシマ、ナガサキ
 二六 終戦の日──ああ昭和二〇年八月一五日
 二七 秋に鳴く虫たち──草むらの管弦交響楽
 二八 稲──瑞穂の国の理想的主食
 二九 紅葉──「裏をみせ表をみせて散るもみぢ」(良寛)
 三〇 歳末──大晦日に「時」をおもう
 風濤抄(二)
第三部 類聚名歌抄──歌集抄、辞世、遺詠その他
 三一 万葉女流歌人抄──七世紀の女性たち
 三二 防人の歌──古代日本の兵たち
 三三 挽歌──死を悼む哀傷の歌
 三四 六歌仙抄──『古今和歌集』第二期の歌人たち
 三五 『小倉百人一首』抄──歌がるたの代表格
 三六 『太平記』作中歌抄──動乱の南北朝時代
 三七 長命文人辞世抄──江戸期の高齢者たち
 三八 幕末志士遺詠抄──安政の大獄に散った人たち
 三九 刑死A級戦犯遺詠抄──東京裁判で断罪さる
 四〇 新西国三三所御詠歌抄──昭和生まれの巡礼コース
 風雪抄(一)
第四部 名家名詠抄──歌人と異色歌人の世界
 四一 柿本人麻呂──和歌史上に燦たる歌聖
 四二 額田王──万葉女流歌人の花形
 四三 大伴家持──『万葉集』の編纂者
 四四 桓武天皇──平安の都をきずく
 四五 紀貫之──『古今和歌集』の代表歌人
 四六 小野小町──わが国美人の代名詞
 四七 花山法皇──西国三三観音札所を再興
 四八 西行法師──中世歌人僧侶の第一人者
 四九 一遍上人──遊行の仏教「時宗」の開祖
 五〇 北畠親房──南朝きっての文武両道の公卿
 五一 一休禅師──頓智の一休さん長じて風狂の名僧
 五二 太田道灌──江戸城を築いた武将歌人
 五三 武田信玄──最強の騎馬軍団を率いる
 五四 賀茂真淵──万葉調「ますらをぶり」を提唱
 五五 平野国臣──生野の変を起こした勤王の志士
 五六 乃木希典──日露戦争・二〇三高地を攻略
 五七 正岡子規──近代俳句、短歌の革新者
 五八 与謝野晶子──近代女流歌人の第一人者
 五九 若山牧水──旅と酒を愛した自然歌人
 六〇 斎藤茂吉──大正・昭和歌壇の雄
 風雪抄(二)
あとがき(初版)
文庫化にあたって
著者略歴

[出版社からのコメント]
短歌は、時代と共に様々な様式美を獲得しながら現代に至っていますが、文字通り口に出して読まれるのがその本質であった様に思います。本書では、歌意について詳細な解説を加えるのではなく、テーマ毎に作品を分け、その「テーマに沿った歌」として歌そのものを味わうという形をとっています。興味のあるテーマの歌を口ずさみながら、より深くその歌について知りたくなったら辞書等を使って理解していく――、そんな気軽な気分で、ぜひ短歌の世界を味わっていただければ嬉しく思います。

【著者プロフィール】
久米 建寿(くめ・たけひさ)
昭和11年(1936年)生まれ。神戸市出身。
関西大学文学部新聞学科卒。
明治東洋医学院専門学校(大阪府吹田市)に学び、鍼灸師免許、次いで専門学校鍼灸科教員免許を取得。
人間医学社、松下電工株式会社などの勤務を経て、学校法人・明治東洋医学院専門学校専任教員として教壇に立つ傍ら「月刊・東洋医学」を編集、併せて月間時評コラム、人物評伝、「名歌人生訓」その他を執筆連載。
その後、学校法人・平成医療学園専門学校(大阪市北区)専任教員並びに宝塚医療大学講師を経て現在は相談役。
短歌結社「あけび歌会」「不二歌道会」に所属、歌作に精進中。
著書に『東洋医学の革命児――平田内蔵吉の生涯と思想・詩』(たにぐち書店、1995年刊)、『名歌人生読本――短歌にまなぶ日本の心――』(文芸社、2000年刊)、『名歌人生読本(二)――短歌のこころ 和のこころ――』(文芸社、2009年刊)、編著に平田内蔵吉著『平田式心療法――熱鍼快療術』(たにぐち書店、1996年刊)、平田内蔵吉著『坐の研究』(たにぐち書店、2003年刊)がある。
兵庫県宝塚市在住。 

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