埼玉から読む昭和近現代史――記録の中の日本と戦争の時代

(著) 分須正弘

Amazon

作品詳細

[商品について]
―「埼玉」から日本の近代を捉えなおす―
「日満両国の特殊関係を強化し、同昌共栄の理想を実現して東洋平和の確保に貢献」する目的といいながら実際にはソ満国境防備の兵力となることを期待されていた「満蒙開拓青少年義勇軍」、2・26事件に至るまでに発覚した軍人や右翼によるクーデターやテロの未遂事件の1つである「救国埼玉青年挺身隊事件」、重要国策の一つとして満洲への移民が進められる中で、埼玉県送出の「埼玉村」の実態をテーマにした「埼玉県送出満洲移民」など、日本の近現代史の歩みを昭和期の埼玉という視点から取り上げた意欲的な論考集。

[目次]
第一部 日本の対外危機における世論の動向
第一章 日露戦争開戦前における世論の動向
はじめに
一 日清戦争後における対外意識
1 三国干渉の衝撃
2 三国干渉と国民意識
3 北清事変と国民の反応
4 黒龍会の結成と日英同盟の成立
二 七博士事件
1 七博士の桂首相訪問
2 「七博士建議書」の提出
3 「七博士建議書」と新聞報道
三 対外硬派の活動
1 「対外硬」
2 ロシアの第二期撤兵不履行とその反応
3 「対露同志会」の結成とその活動
4 「対露同志会全国大会」
5 活発化する「対外硬」の活動(一〇月~一一月)
6 「対露硬青年会」の活動
四 新聞(一)
1 日露戦争前における新聞界の状況
2 ロシアの第二期撤兵と新聞
3 満洲・朝鮮問題と新聞
4 『萬朝報』と『毎日新聞』の非戦論
五 新聞(二)
1 新聞各紙、開戦論へ
2 沸騰する新聞の開戦論
3 『東京日日新聞』の慎重論と『萬朝報』などの政府批判
4 新聞記者による開戦論の盛り上げ
六 一般民衆の意識
1 日露開戦の反応
2 開戦論のなかの一般民衆と時局上奏
3 一般民衆の意識
第二章 満洲事変前における世論形成――軍部の世論工作を中心に
はじめに
一 事変前における軍部と世論
二 軍制改革と軍縮会議への対応
三 陸軍の世論喚起運動
第二部 昭和期埼玉の諸問題
第三章 救国埼玉青年挺身隊事件と軍部
はじめに
一 吉田豊隆と救国学生同盟
二 栗原安秀中尉とその周辺
三 昭和八年九月クーデター計画
四 救国埼玉青年挺身隊事件
五 救国埼玉青年挺身隊事件と軍部
おわりに
第四章 埼玉県送出満洲移民――「埼玉村」の送出をめぐって
はじめに
一 初期の埼玉県送出満洲移民
二 「埼玉村」計画の発端
三 満洲移民の宣伝・募集
四 「埼玉村」建設に向けて
五 第六次先遣隊の送出
六 指導員の送出
七 「満洲農業移民奨励計画概要」
八 第六次本隊および第七次、第八次移民団の送出
おわりに
第五章 埼玉県における満蒙開拓青少年義勇軍の送出
はじめに
一 昭和一三年度
二 昭和一四年度
三 昭和一五年度
四 昭和一六年度の送出をめぐって
五 昭和一七年度以降
おわりに
第六章 浦和市における国民義勇隊の組織と活動
はじめに
一 国民義勇隊の結成
二 埼玉県における国民義勇隊の組織過程
1 国民義勇隊の組織・運営
2 埼玉県本部の結成
3 職域国民義勇隊と学徒隊
三 浦和市における国民義勇隊の組織と活動
1 浦和市国民義勇隊結成準備大会
2 浦和市国民義勇隊の結成
3 浦和市における職域国民義勇隊
4 大政翼賛会等の解散
5 富士「リ」号演習と浦和市国民義勇隊
おわりに
第七章 忘れられた陸軍大将・浅田信興
第三部 書物のなかの近現代
第八章 『彌榮村史 満洲第一次開拓団の記録』を読む
第九章 文学のなかの浦和
一 吉村昭『長英逃亡』
二 水上勉の浦和時代
三 澤野久雄と佐藤紅緑
四 一色次郎『日本空襲記』
第十章 書物のなかの近現代
1 永井荷風の「日記」にみる関東大震災
2 上前淳一郎『やわらかなボール』(文藝春秋、一九八二年)
3 原敬吾『難波大助の生と死』(国文社、一九七三年)
4 澤地久枝『妻たちの二・二六事件』(中央公論社、一九八〇年)
5 戦火を越えた二つの歌
6 山口淑子・藤原作弥『李香蘭 私の半生』(新潮社、一九八七年)
7 本田靖春『村が消えた』(潮出版社、一九八〇年)
8 児玉隆也、桑原甲子雄『一銭五厘たちの横丁』(晶文社、一九七六年)
9 東郷茂彦『祖父東郷茂徳の生涯』(文藝春秋、一九九三年)
10 澤地久枝『私のシベリア物語』(新潮社、一九八八年)
11 車谷護『進駐軍クラブから歌謡曲へ 戦後日本ポピュラー音楽の黎明期』(みすず書房、二〇〇五年)
12 開高健『片隅の迷路』(毎日新聞社、一九七六年)
13 福間良明『戦争体験の戦後史』(中公新書、二〇〇九年)
14 加瀬和俊『集団就職の時代 高度成長のにない手たち』(青木書店、一九九七年)
15 本田靖春『誘拐』(文藝春秋、一九八〇年)
16 上前淳一郎『狂気 ピアノ殺人事件』(文藝春秋、一九七八年)
17 ピーター・ライト『スパイ・キャッチャー』(朝日新聞社、一九八七年)
18 エレーヌ・アイアンクラウド語り手、菊池敬一書き手『鷲の羽衣の女』(現代史出版会、一九八三年)
あとがき
初出一覧
著者略歴

[担当からのコメント]
学校で習う大文字の歴史は、それぞれの地域で起きている生きた歴史の出がらしのようなものに過ぎないのだと、本書を読んでいると改めて思います。出がらしだけ飲んで歴史は美味しくないというのは勿体ない、本当の歴史の旨味は地域の歴史の中にあるのです。埼玉に所縁のある方はもちろん、そうでない方にもおすすめの一書です。

[著者略歴]
分須 正弘(わけす・まさひろ)

1951年 埼玉県生まれ。
1974年 国学院大学文学部史学科卒業。
      浦和市立図書館(現・さいたま市立北浦和図書館)司書。
2012年 さいたま市立中央図書館定年退職。
現   在 埼玉県地方史研究会会員。

新刊情報

作品の感想

Instagram

代表のインタビュー掲載

第1回22世紀アート短編小説賞受賞作品