天草キリシタン巡礼:歴史と文化をめぐって

(著) 玉木讓

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作品詳細

[商品について]
――1855年にオランダとの間で締結された和親条約によって、長崎奉行が廃止したものは次のどれでしょうか。
1.踏絵、2.宗門改め、3.死刑
正解は、本書Ⅱ「浦上の受難と沈黙」をご覧ください。

2018年6月にバーレーンで開催されたユネスコの世界遺産委員会において、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録が正式に決定した。本書は、その世界文化遺産の一角を占め、禁教期の信仰形態を今に伝える「﨑津集落」の歴史と独自の文化を、資料館に勤務する著者が貴重な天草のキリシタン史を広く一般に知ってもらいたいとの思いを込めて綴った作品である。語り継ぐべき歴史を知る一冊として、示唆に富む内容となっている。

[目次]
まえがき
第一章 天草キリシタン前史
キリスト教の日本伝来
アルメイダ修道士
河内国のキリシタン
薩摩への旅
大村純忠の受洗
アルメイダの上洛
五島布教
第二章 アルメイダの天草布教
天草氏のルーツ
志岐麟泉の受洗
河内浦布教
天草氏の内紛
海賊に襲われる
天草殿親子の受洗
志岐麟泉の棄教
アルメイダ書簡
大村、および天草の集団改宗
第三章 信長とバテレン
信長のバテレン保護
将軍義昭の追放
荒木村重の反乱
耳川の合戦
第四章 日本巡察師ヴァリニャーノ
ヴァリニャーノの来日
有馬晴信の受洗
カブラルとの対立
信長に謁見する
河内浦への来島
天正少年使節
本能寺の変
天草鎮尚とアルメイダの帰天
アルメイダ年賦
ドン・ジョアンの鹿児島幽閉
第五章 秀吉と伴天連追放令
秀吉とキリシタン
コエリョの秀吉謁見
島津討伐
天草五人衆の助命
志岐に二人の指揮官?
島津の降伏
伴天連追放令
高山右近とドン・ジョアン
細川ガラシアの改宗
小西行長の回心
佐々成政はキリシタンだった?
コエリョの軍事計画
大矢野氏の受洗
小西行長の肥後入城
第六章 天正の天草合戦
ヴァリニャーノとの再会
フロイス来島の目的とは?
志岐城の攻防
本渡城の落城
上津浦一族の受洗
第七章 秀吉と天正少年使節
イエズス会全体協議会
ドン・ジョアンと小西行長の和解
天正少年使節の秀吉謁見
加津佐のコレジヨ
第八章 天草のコレジヨ
コレジヨの天草移転
天正少年使節のイエズス会入会
コレジヨの教授と神学生
コレジヨの教育
天草はイチジクの島
コレジヨは河内浦にあった
コレジヨは(河内浦の)どこにあったのか?
朝鮮出兵と梅北の乱
志岐の画学舎
コレジヨの一時分散
キリシタン版「天草本」
伊東兄弟の死去
小西行長の和平工作
フロイスの再来日
第九章 関ヶ原前後
ドン・ジョアンらの一時帰国
二六聖人の殉教
秀吉の薨去
志岐のセミナリヨ
小西行長の布教
細川ガラシアの受難
関ヶ原の戦い
ドン・ジョアンは生きていた!
寺沢広高と天草
第十章 禁教下の天草
コレジヨ神学生らの命運
キリシタン禁教令発布
高山右近らの海外追放
コウロス証言文書集
天草キリシタンの悲劇
コレジヨ出身者らの殉教
天草島原の乱
河内浦の一揆騒動
鈴木重成の天草統治
アルメイダはマラーノ?
天草崩れ
河内浦キリシタンの残照
あとがき
天草河内浦キリシタン史年表


[出版社からのコメント]
江戸時代の切支丹たちが幕府の宗教弾圧と闘い続けたように、その歴史は世界文化遺産となって終わりではなく、人々によって長く語り継がれてこそ意味があるのではないかと思います。本書を通じて多くの方が彼らの歴史を受け継ぎ、語り継いでいっていただければ嬉しく思います。

【著者プロフィール】
玉木 讓(たまき・ゆずる)

1948年、熊本県天草市河浦町新合に生まれる。
現在「﨑津資料館 みなと屋」勤務。
天草コレジヨ館運営委員会副委員長。
天草文化協会副会長。

著書
『天草◎木洩日が照らす』(社会評論社)
『宇宙院英三郎』(熊本日日新聞情報文化センター)
『天草学林・東向寺説の欺瞞を暴く』(天草文化出版社)
『天草河内浦キリシタン史』(新人物往来社、天草出版文化賞)
共著に『天草吉利支丹史探訪』(天草殉教者記念堂)
『保存版 天草今昔』(郷土出版社)

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