宮沢賢治とスウェーデンボルグ: 日本仏教の未来を見つめて

(著) 瀬上正仁

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作品詳細

[商品について]
――エマヌエル・スウェーデンボルグを「北方の仏陀」と呼んだ、19世紀フランスの文豪は誰でしょう。
1. ゾラ 2. モーパッサン 3. バルザック
正解は、本書「はじめに」をご覧ください。

『銀河鉄道の夜』や『雨ニモマケズ』で知られる日本の文豪・宮沢賢治(1896~1933)と、霊界に出入りした経験を書き残したという、オカルトの代表とも目されるエマヌエル・スウェーデンボルグ(1688~1772)。並べて語られることの少ない両者であるが、筆者はこの2人に時空を超えた強い共振関係をみる。そして「電子書籍版 あとがき」には、初版から電子書籍版出版までの15年の間に明らかにされた、賢治がスウェーデンボルグの思想に触れていた事実を付す。著者の優れた直観にも感嘆を覚えずにはいられない、希有な一冊となっている。

[目次]
はじめに
第一章 スウェーデンボルグの実像
誤解されてきた神学者
スウェーデンボルグ神学の基本姿勢
スウェーデンボルグの主要教説
バルザックとスウェーデンボルグ
第二章 仏教思想とスウェーデンボルグ神学
釈迦から小乗仏教へ
個人の悟りを重視した小乗仏教
大乗仏教の発生とその展開
大乗仏教の東方伝播
大乗仏教は仏教にあらず?
原始仏教を振り返る
大乗仏教とスウェーデンボルグ神学
第三章 禅仏教とスウェーデンボルグ神学
禅仏教の歴史
「十牛図」に見る大乗禅の思想
スウェーデンボルグが霊的意義で読み解いた「天地創造の七日間」
「仏生譚(ぶっしょうたん)」に見る「新生」の思想
『沙門果経』に見る「新生」の思想
禅僧とスウェーデンボルグ
第四章 鈴木大拙とスウェーデンボルグ神学
スウェーデンボルグ神学との出会い
鈴木大拙の禅仏教解釈
鈴木大拙の「東洋思想」について
鈴木大拙が接した宗教思想
鈴木大拙の心に生きつづけたスウェーデンボルグ
鈴木大拙の仏教解説の特異性
『華厳経』とスウェーデンボルグ神学
偉大な宗教思想家としての鈴木大拙
第五章 宮沢賢治の人と思想
宮沢賢治の生涯
新たな宮沢賢治像を求めて
宮沢賢治と仏教
宮沢賢治と「国柱会」
宮沢賢治と斎藤宗次郎
宮沢賢治とキリスト教
宮沢賢治の知られざる一面
宮沢賢治とスウェーデンボルグ
第六章 『銀河鉄道の夜』再考
遺作『銀河鉄道の夜』の物語
物語に見え隠れする宮沢賢治の影
「銀河鉄道」で起きた不思議な出来事
宮沢賢治の「修羅」
「犠牲の愛」の階層性
宗教を超えた「犠牲の愛」
「本当の本当の神様」とは
宮沢賢治が見つけた「本当の幸い」
「たったひとりの本当の本当の神様」が住む「天上」
「父母神」に導かれる新世界
『銀河鉄道の夜』とスウェーデンボルグ神学
第七章 『法華経』の不思議
『法華経』とはどんなお経か
『法華経』の内容について
『法華経』は「福音書」に似ている
『法華経』と「福音書」の接点
『法華経』とスウェーデンボルグ神学
宮沢賢治と「ニューエルサレム」
第八章 大乗仏教と原始キリスト教
聖バルラームと聖ヨサパトの物語
「仏伝」と「イエス伝」
東西思想の交流
仏教思想とイスラエル
原始キリスト教の東方伝道
東西思想の交流と宮沢賢治
第九章 日本仏教とスウェーデンボルグ神学
日本に渡来した仏教とその変容
「日本仏教」の醸成
「日本仏教」の特徴
日本人の宗教意識とは
鈴木大拙の「日本的霊性」とスウェーデンボルグ
宮沢賢治に見る「日本人の心」
第十章 空海とスウェーデンボルグ
空海の思想に見る「日本人の心」
「マンダラ(曼陀羅)」とは
金剛界マンダラ
胎蔵マンダラ
空海の「十住心論」
空海の密教思想の成り立ち
空海の思想とスウェーデンボルグ神学
空海・宮沢賢治・スウェーデンボルグ
日本人の宗教意識とスウェーデンボルグ神学
あとがき
《補遺》 奇書『瑞派佛教學』について
電子書籍版 あとがき

[出版社からのコメント]
宮沢賢治が好きな人にとって、彼が仏教に強い関心を持っていたことは既知の事実でしょう。実際、賢治作品の研究では宗教的視点は欠かせません。しかし、フランスの文豪バルザックによって「北方の仏陀」と呼ばれたスウェーデンボルグとの関係については、注目されることはありませんでした。本書はその両者の関係に着目した挑戦的な一冊です。賢治をいつもと違う視点から読みたいと考える賢治ファンにとっても、おすすめの一冊となっています。

【著者紹介】
瀬上 正仁(せのうえ・まさひと)

昭和29年に宮城県塩釜市で生まれ、仙台市で育つ。
昭和55年に山形大学医学部を卒業後は、仙台市内で整形外科の診療に従事、専門の脊椎外科手術例多数。
平成25年に仙台市内に「瀬上整形外科医院」を開業、現在に至る。
日本整形外科学会の脊椎外科認定医。
高校時代から神道家の勝又正三師に師事し、師亡き後は師の「魚と水の会」を継承。医業の傍ら、神道を主体とした東洋思想とスウェーデンボルグ神学との関連について研究を重ねている。
日本スウェーデンボルグ協会(JSA)創設当時の運営委員。

〈著書〉
『知られざるいのちの思想家 新井奥邃を読みとく』(分担執筆、春風社、2000年)
『明治のスウェーデンボルグ─奥邃・有礼・正造をつなぐもの』(春風社、2001年)
『魚と水─ある天才宗教家 霊的体験の記録』(編著、著者は勝又正三師、春風社、2001年)
『仏教霊界通信─賢治とスウェーデンボルグの夢』(春風社、2003年、初版)
『スウェーデンボルグを読み解く』(分担執筆、春風社、2007年)
『宮沢賢治とスウェーデンボルグ─日本仏教の未来を見つめて』(22世紀アート、2018年、電子書籍)

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