教育と映画のエッセイ集(MIE):教育エッセイ70話と映画70本
(著) 大平美徳
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幼い頃から映画好きになり、学生時代は映画鑑賞サークルの主宰者として年100本以上の映画を観ることのマニアだった著者。大学を卒業し、教師となってからも映画鑑賞の趣味は続き、新作・旧作を問わずに気になった映画は片っ端から鑑賞したようだ。
映画鑑賞のポイントというものは人様々である。まずは出演者、それから監督、マニアックな人になると脚本家やカメラマンを基準に系統だった鑑賞をしていく。その中で、教育者としての著者の心を捉えたのが映画のセリフだった。映画は名言の宝庫であり、含蓄に富んだ言葉の数々は、映画視聴者のみならず、児童・生徒をはじめ、保護者や教師たちにとっても人生の糧となるに違いない。そうした確信に満ちて書かれたのが、今回の「折節の想い」(教育と映画のエッセイ集)である。
この本は、「MIE」=「Movie In Education 」の提唱者らしい、教育と映画の橋渡し的な存在となる本(作品)に仕上がっている。その構成はいたってシンプルである。まずは教育エッセイがあり、その教育エッセイと関連のする映画の基本情報が掲載される。そして基本情報のところでは、映画の名セリフなども併記される。洋画の場合は原文が掲載されることもある。
例えば、ある映画の中に、“It really isn't that important how far we go in life anyway. It's how we get there that really matters.“ というセリフがある。これを直訳すれば、「とにかく、私たちが人生のどこまで進むかは、私はそれほど重要ではないと考えています。 私たちが、そこにたどり着く方法が、本当は重要です。」と翻訳できる。しかし、著者はそのことを、「人生で大事なのはゴールじゃない。大切なのは、プロセスなんだ。」と、この本の中で表現している。
様々な映画は、そしてこの本は、一冊の哲学書にも匹敵する作品なのだと、しみじみ思った。 この本は、以上のような魅力的で示唆に富んだ著作になっている。映画フアンや教育関係者の方々だけでなく、一般の多くの方々にもお勧めしたい著作である。香川大学名誉教授 大平 文和
【著者プロフィール】
大平 美徳(おおひら・よしのり)
昭和27年1952年香川県で生まれる。
昭和46年3月 香川県立丸亀高等学校を卒業
昭和46年4月 信州大学に入学(この辺りから, 年間100本以上の映画を観るようになった大学時代は, 映画観賞同好会を主宰。)
昭和50年3月 信州大学を卒業(化学工学科・粉体工学)
昭和50年4月兵庫県公立中学校の理科・数学の教諭として赴任
昭和53年4月 故郷の香川県の教員として帰る。坂出市立の小・中学校に勤務
平成元年 指導主事を拝命, 指導行政を4年間経験
平成4年 教頭を拝命, 6年間(2校), 教頭職としての経験
平成11年 教育事務所の管理主事・所長補佐を3年間, 管理行政を経験
平成14年 公立学校の校長を拝命, (1校目), 4年間在籍,
平成18年 (2校目)公立校校長で異動, 4年間在籍,
平成22年 (3校目)公立校学校の校長, 3年間在籍, 校長を3学校:合計11年間,
平成25年(2013年)3月, 38年間の教職を退く(60歳)。
役職として, 市の校長会長を2年間, その他, 市理科部会長, 市学校図書館部会長など, また, 県理科部会・副部会長, 香川県小学校校長会・副会長などを歴任。
定年退職後、平成25年(2013年)4月から、市教育委員会に、4年間勤務
平成29年(2017年)3月:市教育委員会・学校教育課長を退職
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