日本の鉱夫――友子と呼ばれた友愛・自治・互助・技能伝授の職業集団

(著) 村串仁三郎

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作品詳細

[商品について]
―無名の鉱夫たちが生みだした日本独自の独創的な制度に学ぶ―
労働組合とも異なる職人的な鉱夫の同職組合ともいうべき「友子」は、江戸時代末期から存在し、鉱山の中で互いに慈しみ合い、助け合いながら生きていた集団であった。しかしこれまでの研究では友子制度は自助的救済団体あるいは共済組合的な組織と規定され、必ずしもその実態を捉えた正しい理解がされているとは言い難かった。こうした状況をふまえ、本書では先行研究と諸般の史料をもとに、江戸時代から昭和まで続いた友子制度の活動の実態を制度の起源から説き起こしながら明らかにしていく。現代社会が抱える諸問題を考えるうえでも示唆に富む論考となっている。

[目次]
はしがき
第1章 友子とは何か
友子に魅せられて
誤った友子観
友子研究をふり返って
友子の概念
第2章 江戸時代の友子 ─友子の形成─
友子の原型を追って
友子の起源
秋田に幻の古文書
友子の名称もあった
もう一つの友子資料
飛騨の鉱山にも友子が
信州や秩父の鉱山にも
備中の吹屋鉱山にも
友子の墓
友子誕生の秘密
第3章 明治前期の友子 ─成立期の友子の実態─
鉱夫鶴蔵のこと
明治前期の友子の普及
飛騨の鉱山と友子
鹿間銅山の取立面附
長棟鉱山の取立式
友子の共済活動
友子の浪人交際
旅する鉱夫たち
第4章 明治後期における友子制度の確立
鉱山業の近代化
友子制度の発達
友子規約の成文化
磐城炭鉱の友子規約
友子制度の確立
友子制度発達の理由
第5章 明治典型期の友子組織の実態
友子組織の特徴
友子の名称
渡友子と自友子
友子の職業倫理
加入資格と組織率
役員と組織機構
友子の民主的性格
友子の自治的性格
飯場制度との癒着
第6章 明治典型期の友子の活動実態(一) ─友子の技能養成と相互扶助─
友子の熟練養成
取立式
取立面附
取立後三年三カ月
整備された共済活動
傷病手当
葬式と香典
墓の建立
奉願帳制度
和田梅吉の奉願帳
梅吉・奉願帳の分析(一)
梅吉・奉願帳の分析(二)
梅吉・奉願帳の分析(三)
奉願帳制度の広がり
第7章 明治典型期の友子の活動実態(二) ─友子と秩序維持、労働市場、労働組合─
労働と生活の秩序維持
規律と罰則
浪人制度
友子の労働市場への介入
友子による労働争議
友子の労働組合化
再び鶴蔵のこと
夕張炭鉱の友子
足尾銅山の労働組合と友子
足尾銅山の暴動と友子
第8章 大正期の友子(一) ─友子制度の発展と変容─
大正期の友子の特徴
『友子同盟ニ関スル調査』
友子組織の変化
友子活動の変化
尾去沢鉱山の友子活動記録
足尾銅山の企業内友子(一)
足尾銅山の友子(二)
第9章 大正期の友子(二) ─労働組合運動にゆれる友子─
再び友子の労働組合化
友子による「全国坑夫組合」の結成
「全国坑夫組合」足尾支部
千代田炭鉱の「新友子」
友子の精神に帰れ
神岡鉱山の友子争議
夕張炭鉱の友子と一心会
大正大恐慌と産業合理化
友子の基盤喪失と変質
第10章 昭和期の友子 ─友子の変質と消滅─
昭和前期の友子の特徴
三菱の『友子団体調査』
衰退する友子の活動
日立鉱山の友子資料
根強く残存する友子
友子制度の解体
戦後にも友子が残存
復活する日立鉱山の友子
友子の労組支配
登川炭鉱の戦後友子
消える無形労働文化財
友子に学ぶ
友子研究の参考文献目録
あとがき
電子書籍版へのあとがき
著者略歴

[担当からのコメント]
現代社会を考える重要なキーワードのひとつに「共生」がありますが、私たちよりも遥か以前から鉱夫たちは生活の中で理想的な共同体を作り上げていました。温故知新といいますが、改めて歴史を学ぶことと日本人の智慧を信じることの大切さを痛感させられる本書、ぜひご一読ください。

[著者略歴]
村串仁三郎〈むらくし・にさぶろう〉

一九三五年 東京生まれ。
一九五九年 法政大学社会学部(二部)卒業。
一九六三年 法政大学大学院社会科学研究科経済学専攻修士課程修了。
一九六九年 同 博士課程単位取得。一九八二年経済学博士取得。
一九六九年 法政大学経済学部専任助手。一九七〇年同助教授。
一九八〇年 同教授。
二〇〇六年 同学部定年退職(以後法政大学名誉教授)。

主要著書
『賃労働原論―『資本論』第一巻における賃労働理論―』(一九七二年、日本評論社)
『賃労働理論の根本問題』(一九七五年、時潮社)
『日本炭鉱賃労働史論』(一九七六年、時潮社)
『日本の伝統的労資関係―友子制度の歴史―』(一九八九年、世界書院)
『孫育てイギリス留学日記』(一九九五年、崙書房)
『レジャーと現代社会』(編著、一九九九年、法政大学出版局)
『国立公園成立史の研究』(二〇〇五年、法政大学出版局)
『大正昭和期の鉱夫同職組合「友子」制度』(二〇〇六年、時潮社)
『自然保護と戦後日本の国立公園』(二〇一一年、時潮社)
『高度成長期日本の国立公園』(二〇一六年、時潮社)
『日本の国立公園成立史の研究』(二〇二一年、電子版、22世紀アート)

主な論文
「研究回顧・『資本論』から鉱夫の歴史・レジャー・国立公園の自然保護史の研究へ」(上下)(『大原社会問題研究所雑誌』No.565、No.566、二〇〇五年一二月号、二〇〇六年一月号)

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