歌集 一管の竹: ダージリン・・レモン匂いて

(著) 仁位義明

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作品詳細

尺八の音を競いし友の訃に一管の竹鳴るを確かむ

戦争や震災の記憶、友の死、赴任先のロンドンでの日々、異国への旅、家族との生活――。
いくつもの季節が匂いや手ざわりとともに、鮮やかによみがえる。
作歌をはじめた2002年から、2015年までの14年間の作品を収録した第一歌集。

(収録作品より)
春きざすサイドミラーに頬白が番いのごとく影と戯る
対馬なる和多都美神社にハングルの絵馬を見たる日 国境は夏
『白鯨』を我にすすめし友老いて呉に巨艦の幻追えり
シベリアの寒波いつしかキッチンに満ちオリーヴオイル白く濁れり
ぬかるみをゆっくりと踏み白犀は一角を立て孤独を歩む
妻のTel.「センターコートに沢松を見てるあなたを日本で見てる」
道きけば一緒にさがしてあげますと日傘の女に夏のきざせり
幼の手がしっかり握るブランコを夏空にむけそっと押したり
日常は夕焼けのごと薄れゆき広がる闇をオペ室に入る
春寒き降車ホームに白マスク目のみ光れる人の群れおり

【著者プロフィール】
仁位 義明(にい・よしあき)

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