漢詩で繙く西郷像:歴史のはざまを駆け抜けた人生

(著) 松尾善弘

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[商品について]
――明治維新の立役者・西郷隆盛の人生訓として知られるのは次のどれでしょうか。
1.天声人語、2.敬天愛人、3.旭日昇天
正解は本書「第三章 西郷どんをめぐる漢詩文」をご覧ください。
明治三傑の一人に数えられ、生地鹿児島においては時としてある種の信仰の対象となり、そのイメージが県民性を形作るほどの威光を放っている西郷隆盛。西郷はまた、いくつもの優れた漢詩を残したことでも知られている。本書は、長く漢文の研究に携わってきた著者が、前著『西郷隆盛漢詩全集: 増補改訂版』に続き、西郷隆盛という人間を知るうえで第一級資料である西郷漢詩を読み解きながら、史実と詩実の狭間にあるその実像に迫った作品である。西郷の人生を知る一書として、また漢詩を深く楽しむための入門書として、お楽しみいただける内容となっている。

[目次]
序 言
第一章 漢詩で辿(たど)る西郷(せご)どんの窮通人生
1 絶筆漢詩に見る西郷どんの人生回顧
2 「感懐」詩の詩眼は何か
3 征韓論と「遣韓」論
4「西南の役」決断の詩「除夜」
5 私学校生教育の漢詩
第二章 西郷どんともと盟友及び黄興の漢詩
1 大久保漢詩(『大久保利通漢詩集』)に見る西郷像
2 川路漢詩(『大警視川路利良漢詩集』)に見る西郷像
3 黄興漢詩にみる西郷像
第三章 西郷どんをめぐる漢詩文
1 【敬天愛人】考
2 「書懐」は果して西郷作か
3 西郷墨書漢文に見る西郷どんの思想
結語

[出版社からのコメント]
詩はそれ自体の美しさや技巧を楽しむことももちろんですが、それは余白や行間に作者の人間性を滲ませるものであり、その意味では詩の鑑賞はより真実に近い人間像に寄り添うことに繋がると言えるかも知れません。詩の読解を通じて見えてくる西郷隆盛という人間の実像を、ぜひさまざまな漢詩と共にお楽しみいただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
松尾 善弘

1940年 台湾・台北市にて出生。
1946年 鹿児島県出水に引き揚げ、小・中・高時代を過ごす。
1959年 東京教育大学文学部漢文学科入学。
1963年 同大学院中国古典科修士課程入学。
1967年 同博士課程入学。
1971年 日中学院講師・法政大学・駒沢大学・早稲田大学の中国語非常勤講師。
1975年 鹿児島大学教育学部助教授。
1981年 同教授。
1997年 山口大学人文学部教授に転任。
2003年 同学部を定年退官。

《著書》
『漢語入門(発音編)』1989.4 白帝社
『漢語入門(文法編)』1993.3 白帝社
『唐詩の解釈と鑑賞&平仄式と対句法』1993.4 近代文芸社
『批孔論の系譜』1994.2 白帝社
『尊孔論と批孔論』2002.12 白帝社
『漢字・漢語・漢文論』2002.12 白帝社
『唐詩読解法』2002.12 白帝社
『唐詩鑑賞法』2009.12 南日本新聞開発センター
『日中漢字・漢語・漢詩・漢文論』2012.2 斯文堂
『大久保利通(甲東)漢詩集』監修 2012.12 斯文堂
『川路利良漢詩集』監修 2016.11 斯文堂
『増補改定版 西郷隆盛漢詩全集』2018.3 斯文堂
『唐詩正読法』2021.9 斯文堂

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