石が教えてくれたこと:富士山頂からサハラ砂漠まで大地を駆けぬけた技術者のプロジェクト随想
(著) 中尾健兒
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――建築石材でも使用される大理石は、次のどれから変成されてできることが多いでしょうか。
1.火山岩、2.石灰岩、3.花崗岩
正解は、本書「14 大理石」をご覧ください。
本書は、大学で岩石学を専攻し、建設会社に入社して技術者として岩石、岩盤に関連した国内の建設現場、海外プロジェクト、技術研究所、とそれぞれ十数年ずつ身を置いてきた著者が、戦後の著しい高度成長にともなう国内外のプロジェクトに携わってきたその40年に亘る業務の軌跡を、数々の現場で対峙した岩や土の名前とともに追憶した作品である。一人の技術者が石や岩に向き合った記録として建設技術者の方はもちろん、地学や自然科学に興味がある一般の方にもお楽しみいただける内容となっている。
[目次]
まえがき
1 深海性堆積土 DEEP SEA SEDIMENT
○旅立ち
2 火山角礫岩 VOLCANIC BRECCCIA
○東海道五十三次 由比の宿
3 玄武岩熔岩 BASALT LAVA
○富士山、一九六三年
4 沖積砂層 ALLUVIAL SAND
○液状化とは何だ
5 関東ローム層 KANTO LOAM
○工事屋失格の記
6 蛇紋岩 SERPENTINITE, SERPENTINE ROCK
○膨張するトンネル
7 ピート(腐葉土) PEAT
○ジャングルと石油タンク
8 島尻粘土と琉球石灰岩 SHIMAZIRI CLAY & RYUKYU LIMESTONE
○日本の外国
9 変朽安山岩 PROPYLITE
○リンゴとダムと温泉と
10 船津花崗岩 FUNATSU GRANITE
○黒部川に想う
11 片岩 SCHIST
○吉野川を止める
12 濃飛流紋岩 NOHI RHYORITE
○中央アルプスを貫く
13 ラテライト LATERITE
○デカン高原の追憶
14 大理石 MARBLE
○カジノロワイヤル
15 磁鉄鉱 MAGNETITE
○研究余聞
16 両雲母花崗岩 TWO MICA GRANITE
○瀬戸の花嫁
17 断層角礫、粘土 FAULT BRECCIA,FAULT CLAY
○中央構造線にふれる
18 タワーカルスト TOWER CARST
○山水画の古里
19 花崗閃緑岩 GRANODIORITE
○麻薬王に守られて
20 風成砂 AEOLIAN SAND
○サヘル紀行
21 片麻岩 GNEISS
○「星のオジさま」
22 断層 FAULT
○科学と技術の間で
23 神戸層群 KOBE FORMATION
○明石の海底は動いたのか?
24 化石 FOSSIL
○地球環境保護に思う あなたはダーウィンを越えられますか?
25 安山岩 ANDESITE
〇アンデサイト回想
あとがき
「参考資料」
【著者略歴】
【主要著書】
[出版社からのコメント]
プレートテクトニクスに代表されるように、理論は当然ながら建設プロジェクトの現場にも大きな影響を与えますが、そうした理論と現場という実務レベルにある技術の間には、人の営みとしての技術者の無数の思いが込められているのかも知れません。人間と地球の関係や技術とは何かなど、知られることなく埋められた思いを本書を通じて掘り起こす、そんな時間を味わっていただければ嬉しく思います。
【著者略歴】
中尾 健兒(なかお・けんじ)
一九三七年 福岡県に生まれる。
一九六一年 九州大学理学部卒業、大成建設株式会社入社。
建設省土木研究所出向、M.I.T研修生を経て国内、および海外の建設工事に従事。
一九七二年 同社・高松支店配属、本州四国連絡橋瀬戸大橋の基礎、設計施工に従事。
一九七五年 工学博士。
一九八一年 大成建設技術研究所・地盤研究室長を経て同所主幹研究部長・通産省地下原発検討委員(一九七八~一九八一)、文部省学術審議会分科会委員(一九八八~一九九〇)科学技術庁技術士本試験委員(一九八四~一九八八、一九九二~一九九五)などの官公庁、学・協会の委員、大学講師を歴任。
一九九六年 川崎地質株式会社、取締役技術本部長。中央大学兼任教授。
二〇〇二年 中尾地質設計事務所代表。
二〇〇九年 地圏環境テクノロジー 顧問・現在に至る。
【主要著書】
「岩盤分類とその適用」吉中、桜井編 土木工学社・一九八八年
「ダムの岩盤掘削」土木学会編 土木学会・一九九四年
「地質技術の基礎と実務」小島圭二、中尾健兒 共著 鹿島出版会・一九九七年
「地質職人たちのアーカイブス」六連星の会編、郁朋社 二〇一六年 など
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