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空風（からっかぜ）：激動の昭和をけなげに生きたある若者とその家族の物語

(著) 太田精一

作品詳細

［商品について］
―激動の昭和をけなげに生きたある若者とその家族の物語―
肺癌に侵され、死の淵にあった弟・強司を見舞った伸一の胸に去来するのは、共に過ごした少年時代、戦中・戦後の困難な時代に体験したさまざまな出来事――。江戸の匂いの残る飾り職人で義理と人情を重んじた祖父の厳次郎に、怠け癖と女にだらしのない父・吉雄、それらに悩まされながら嫁としての立場を守り続けた母・さき。家族の狭間の中で、自分を見出して巣立って行った弟妹たち。そして坂の上の雲を求め大学に進学し、友情と恋愛に青春を謳歌しながら社会の矛盾を感じ、学問に魅かれて行った伸一。浜松を舞台に、昭和の激動の波に翻弄されながら、ぶつかり合い融和しあって生きた家族の人間模様を描いた、一つの時代の物語。

［目次］
はじめに
一．兄と弟
（一）病気見舞い
（二）強司の誕生
（三）東南海地震
二．焦土と化した浜松
（一）執拗な空からの攻撃
（二）浜松大空襲
（三）白羽町へ緊急避難
三．終戦・復興
（一）艦砲射撃
（二）玉音放送
（三）復興への息吹
四．厳次郎の秘密
（一）自転車詐欺
（二）背中の刺青
（三）期間限定の甘味処
五．家族の絆
（一）千歳町の女
（二）父帰る
（三）生死を分けた転院
六．厳次郎逝去と伸一の進学
（一）半身不随の厳次郎
（二）伸一の高校進学
（三）厳次郎逝く
七．家族崩壊の危機
（一）吉雄の愛人
（二）さきの相談相手
（三）愛人とその家族
八．伸一の自立
（一）建材店の店員
（二）大学受験
（三）合格通知
九．教養部の二年間
（一）青春の有朋寮
（二）実家の惨状
（三）東八番町を逡巡
十．青葉山公園の姉妹
（一）公園での出会い
（二）雪の日の訪問者
（三）幻の中の真実
十一．専門課程へ進級
（一）念願の社会学科
（二）下宿退去要請
（三）さよなら大工町
十二．卒業、就職
（一）卒業後の進路
（二）卒業論文
（三）仙台からの旅立ち
十三．名古屋の鉄鋼会社
（一）借金返済
（二）急成長を誇る電炉メーカー
（三）東京営業所の設立
十四．ジェトロに入会・その後
（一）名古屋貿易情報センター配属
（二）待望の海外赴任
（三）その後の木本家
著者略歴

［出版社からのコメント］
昭和ほど一つの時代の中で社会が変転した時はないかも知れません。本書の中には、そんな時代を生きた一つの家族の記録が刻まれています。同じ時代を生きてきた人も、後の時代を生きてきた人も、本書を通じて昭和という時代を感じていただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
太田精一（おおた・せいいち）

東北大学文学部社会学科卒。
民間会社を経てジェトロに入る。カメルーン、旧ユーゴスラビア（現セルビア共和国）、チリに駐在。国内外の勤務を通して各国、各地方の歴史、文化を研究。市井の歴史家の集まり「史遊会」に所属。
数々のエッセイを執筆。同人誌「まんじ」の会員として小説や歴史物語を同誌に寄稿。

著書
『遥かなるカメルーン』（彩流社）
『遠い処へ』、『霧の彼方に』（まんじ特集号栄光出版社）
『誠忠の茶園：牧之原の荒地に挑んだ幕臣たち　明治維新によって刀を鍬に替えた幕府精鋭隊』（22世紀アート）