等深線上の詩人たち──番外編:冨長覚梁から中原中也まで

(著) 藤吉秀彦

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作品詳細

[商品について]
―詩とは、その時代を映す鏡である―
岐阜という風土の息吹を吸いあげ、多面的な詩活動を展開した詩人たちの歩みを詩ノートという形でふり返った「等深線上の詩人たち」シリーズ。その第4弾にあたる本作では、ついに「岐阜詩人」という枠組みを超え、具体的な個人のバックグラウンドにこだわらず、著者の心をとらえた時代も故郷の地もさまざまである詩人たちを幅広く取り上げる。
過疎化によって荒廃した山村の風景を詩的な視点から描き、その喪失の痛みや記憶の再生を試みた山崎啓をはじめ、戦争と貧困の時代を歌ったにもかかわらず、平和な時代を生きているはずの現代人の心を揺さぶり続ける詩を残した中原中也など、10人の詩人を取り上げる。

[目次]
冨長覚梁ノート 幽冥の背離の一刻への呻吟
岩井 昭ノート・詩集『のどかな合図』を通して 日常への内視にゆらぐ不安
山崎 啓ノート・詩集『村は生きている』を通して 崩壊する流離の地平の彼方に
久徳善子ノート・詩集『ビーズの耳飾り』等を通して 幻惑する愛とエロスへの方位
笠木 透ノート・詩集『わたしの子どもたちへ』を通して 風土に根ざす自由と共生を求めて
篠田昭二ノート・遺稿詩集『愛』を通して 遺稿詩集『愛』からの「わび状」の方位こそたずねて
黙示録ノート 気鋭の方位に集結する同人詩誌の位置を求めて
読書研究ノート 読書研トロッコに乗って
茨木のり子ノート・詩集『詩集』のなかから
谷川俊太郎ノート・詩集『谷川俊太郎詩集』のなかから 灼熱の夏へのことばの裏側に
谷川俊太郎ノート・詩集『谷川俊太郎詩集』のなかから 灼
中原中也 泣きっつら中也
小林一茶ノート 流茫の対極への望歌
あとがき
著者略歴

[担当からのコメント]
詩というと、人々の感情を抒情的に表現する側面が強いものであると考える方も多いかと思います。しかし本書を読むと、詩はその時代や社会を映し出す鏡のようなものなのかもしれないと気づかされます。ただその世界観や言葉の響きを味わうだけでなく、もう一歩踏み込んで詩という芸術を探求したい方におすすめの1冊です。

[著者略歴]
藤吉 秀彦(ふじよし ひでひこ)
昭和九年(一九三四)岐阜市に生まれる
ふるさと文化フォーラム主宰詩誌「無宿」主宰

著書
詩集『にっぽん子守歌』(あんかるわ叢書)/『ゆけ飢餓あぶり街染めて』(あんかるわ叢書)/『やさぐれ』(風淋堂)/『ちまたにうたの降る日々に』(洛西書院)/『さらば柳ヶ瀬』(マナサロワール社)/『山頭火』(砂子屋書房)/『藤吉秀彦詩集』(砂子屋書房)/『寺山修司』(砂子屋書房)/『幻界ゆすり哀号まみれて』(鯨書房)/『風土に根ざした奔念のエコー』等がある
平成十年~二十一年
 岐阜の風土に根ざした「ふるさと手づくり歌づくり 藤吉秀彦作品集」を岐阜放送で四回放映
平成十六年~二十二年
 岐阜の風土やそこに生きる人々をとらえ、写真・絵と詩をコラボレーションし、人間の情念を表現した作品展「詩のある風景」をのべ十四回開く
平成二十一年 岐阜市ふるさと文化賞受賞
令和四年十月 瑞宝双光章受章
令和五年十月 永眠

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