[短編集]イタリアからのクリスマスカード:心のドゥオーモにある9篇の物語
(著) 村野幸紀
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―人生はときにおおらかで、ときに切なく、そしてこんなにも愛おしい―
聖ジョルジョ教会があるイタリア南部の都市サレルノ。その町のある家にホームステイしながら、語学塾でイタリア語を習っていた十数年前のあの三ヵ月間は、今もわたしをひどく懐かしい思いにさせる。塾の同級生の一人が寄宿していた、かつて周遊船のピアニストだったロザリオの家と、陽気で気のいい人々。サレルノ湾が一望できる居間から見える、輝くようなサレルノの家並み。最後の授業が終わった日に見た、少し出しゃばりでクラスでも倦厭されていたカナダ人同級生の後ろ姿。体格がよく迫力があるその風貌から、ひそかにブッファラ(水牛)と呼んでいた語学塾の先生ピーナと、厳しくも人間味のあるその授業やお喋りの中で聞き知った彼女の人生。語学塾の裏手にあり、語学塾の休憩時間や放課後、休日の散歩の途中に立ち寄った店「バール・ローザ」のカフェ・アメリカーノの味――。懐かしいイタリアでの日々を振り返った「サレルノの思い出」をはじめ、『いにしえの歌物語』で古代の歌人の心に迫った著者が、イタリアを舞台に人生の中で出会った人々の風景を小説とエッセイで綴った作品集。
[目次]
真珠
海へ来たれ
アマチュア作家
サレルノの思い出
光の祭
レクイエム
チェック・メイト
フィレンツェのシューベルト
セッティニャーノ
あとがき
著者略歴
[主な著作]
[出版社からのコメント]
生まれた国が違っても、言葉や文化が違っても、そこにはいつも笑ったり泣いたり、少し傷ついたりしながら精一杯いまを生きる人々がいる、だから人生は面白い。閉塞の時代、少し疲れた心にゆっくりとやさしく染みわたる心の情景を、どうぞお楽しみください。
【著者略歴】
村野 幸紀(むらの・ゆきのり)
一九四〇年 東京生まれ
一九六四年 慶應義塾大学卒業
[主な著作]
◆歌集 「花信帖」一九八一年 かまくら春秋社
「変奏曲」二〇一七年 飯塚書店
◆歌文集 「夏の家族」二〇〇〇年 北冬舎
「海について」二〇〇四年 冬花社
「ペンナ・サン・ジョヴァンニの2週間」二〇一三年 冬花社
◆翻訳 スザンナ・タマーロ「マッテオの小屋」二〇一五年 冬花社
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