隠れクリスチャン、知られていなかった政宗の一面について記述する。 

隠れキリシタンと政宗

栗村 芳實/著

発売日:2017年6月13日

500円(税込)

装幀

カバー/朔間 達治

デザイン/22世紀アート


発行形態:電子書籍

ジャンル:教養



 昔は「国史」と言っていたわが国の歴史(ここでは日本史と呼ぼう)の中でもとりわけ興味深いのが近世史である。特に江戸時代の文化史となると、民衆史を考慮に入れなければ理解不可能なある事情があって、それというのもそこには“鎖国”という政治的策略に則った幕府と、それに対して密かに抵抗を示した民衆との間に敷かれた緊迫の時間が脈々と流れているのである。日本史における文化史的視点は、日本を理解する上で必要不可欠な要素を内包している。

 栗村芳實著『隠れキリシタンと政宗』における民衆史的要素は、鎖国の時代にあって、カトリック教会と幕府との対立によって激化した土俗的な、あるいは民俗学的な大衆文化を、歴史という壮大な時間の流れの中に置き、フランシスコ・ザビエルのキリスト教布教からペリー来航までのおよそ200年間に起こった禁教令(バテレン追放令)を中心にした史実に基づき、政治史における“鎖国”の裏に隠された「隠れキリシタン」という歴史の闇に着目し、その事実を明らかにしようとした意欲作である。

 

 しかししばし立ち止まって考えてみよう。隠れキリシタンにおける創作物とでも言ってよい子安観音や子安地蔵の土俗的・習俗的な文化もさることながら、これがのちの日本におけるキリスト教文化の原点であったということが19世紀初頭から明治初期に至る「マリア像礼讃」の文化に繋がってゆくということは、こんなことを書いたらお叱りを受けるかも知れないのだが、日本における聖母マリアって、けっこう土俗的だったのかも知れないという事実が、栗村氏の『隠れキリシタンと政宗』を読むことで理解できるということになるなのだ。このことに私は、はなはだオドロクのである!

 

 また『隠れキリシタンと政宗』という書名にあるように、伊達政宗と那珂川河川史との関連性についても言及されており、本書を読むと「日本史って、ロマンだな!」と感嘆するより他にないのである。

 

 これは実に、面白すぎる!

著書プロフィール


栗村 芳實(くりむら よしみ)

 

茨城大学名誉教授 理学博士

1930年東京都生まれ。

東京大学大学院化学研究科博士課程中退

東京大学教養学部助手

茨城大学理学部教授、理学部長

放送大学茨城学習センター所長 


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