長崎市三重地区の郷土誌 / どこにでもある村のどこにもない歴史: キリシタンの里

(著) 江越弘人

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作品詳細

長崎――歴史的に考えれば「鎖国政策」と切っても切り離せないこの土地の郷土とはどのようなものであったのか。著者の、長崎市三重地区に関する郷土愛に満ちた史的考察を通じて、考古、歴史、民俗を縦横無尽に横断しながら、この土地の成り立ちを明らかにする。
本書は、平成22年に三重村長崎市編入40周年記念の記念行事として企画されたもので、以来、13回の編さん委員会を開催しながら、ここにようやくの発刊となった労作である。そのため、ある意味では長崎市三重地区の郷土文化史としても読むことが可能である。例えば、キリシタン文化や、神社・寺院、方言などの調査を通じて、単なる歴史の枠組みにとらわれない「歴史文化」の形成に大きく寄与している。
つまり、長崎市三重地区の通史の様相を呈しており、また多くの史料を通じて著者の知った「無名の人も挫折した人も、どれも素晴らしい人だった。特に成功者が決して立派な人物であったわけではないことに気が付いたことが大きかったでしょう」という言葉に感動する読者も多いことだろう。
歴史は決して有名な人物のみで構成されているわけではない。無名の、それも郷土のなかで培った「愛」に基づく、決してフェイク歴史とは成り得ない歴史の真の姿を明らかにした本書は、著者の真実を見つめる視点と合致して、後代の世にも多大なる影響を与えることだろう。

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