一線を退き、その中で見えてきたこと、感じたこと、考えたことを綴った随想集。
人はいずれ寿命を迎えなければならない。悩み事の多い中で家庭をもち、家族を養うために仕事に汗を掻き働き続けてきた。そして世のルールに従い定年を迎えることになる。
定年後の生活にルールはなく、自分勝手な生活が基本である。残りを生きる時間は平均的に見て約二十年であるが、この二十年を充実した人生で終わりたい。これが人生の基本的な役割を終えた人たちの共通した願いである。
そのためには健康でなければならないが、健康であるためには何が必要か。精神的な悩みから解放された心の充実も必要である。
そして最後は若い世代、とくに子供たちへの伝言を済ませなければならない。それは、よりよい家庭とよりよい社会を築いてゆくために、先達としての経験を語る必要があるからである。
著書プロフィール
天目石 一也(あまめいし・かずや)
1938年 鹿児島県生まれ
立正大学経済学部卒業
建設省、本州四国連絡橋公団勤務を経て社団法人日本道路協会専務理事
その他、内閣府男女共同参画推進連携会議委員等、各種団体の理事、評議員を歴任
平成20年春 叙勲 瑞宝小綬章
著省 『未来への重ね』(新、改訂)
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雨 (火曜日, 25 9月 2018 16:59)
難儀な人生を楽しく過ごすというサブタイトルが言い得て妙だと思いました。終活と言うブームがありますが、終わりと言うよりも残りをいかに楽しく過ごすかと言うこのコンセプトに皆さんも共感すると思います。楽しくするためにはきちんと計画すること、お金のことを考えること健康のことを考えること、簡単では無いですが、この本から学んで楽しく過ごしてみてはいかがでしょうか?
老マン (火曜日, 25 9月 2018 16:59)
読んでみて自分は歳を取ることに過剰にネガティブになりすぎていたと言うことに気づきました。お金の事や健康のこと、心持ちのアドバイスなど様々な役にたつことが分かりやすく読みやすい文章で書かれています。ひとつ1つ実践して行けたら良いなと思います。
ミント (金曜日, 14 9月 2018 17:44)
主要な役割を終えて、定年後をどう生きるべきか、楽しく長く生きるコツがたくさんのっていて、勇気が出てきます。気持ちの充実をはかって、アグレッシブに生き抜きたいものです。
三郎 (金曜日, 31 8月 2018 17:11)
まずは書名に惹かれた。
『残りを生きる 難儀な人生を楽しく過ごす』――この書名になった言葉に私は沖縄の義母の顔を重ねる。
昭和十九年、アメリカ海軍の潜水艦の攻撃を受けて沈没した疎開船対馬丸に運よく乗り遅れて命を拾い、昭和二十年にはひめゆり部隊の乙女になり損ねた義母。
「戦後の人生は付録、私だけ幸福になるわけにはいかないと決めたんだけどさあ」と女学校時代の仲間の面影を胸の底に秘めつつ、窮地に陥るたび「ナンクルナイサ」と乗り越えてきた義母。
筆者の言う、まさに『難儀な人生』を義母もまた楽しく過ごす人で、定年退職後の『残り』を新聞配達で資金を稼いで、読書に三線と趣味に没頭、琉球舞踊の名取の資格までゲットした。戦時中の話は声高に語ることなく。さらりと流して。
筆者は序文に書く。
『最後は若い世代、とくに子供たちへの伝言を済ませなければならない』と。
戦争を体験した筆者と違って、戦争を知らない子供たちのひとりである私に次の世代に遺すべきどのような伝言があるだろうかと、宿題を課せらてページを閉じた。