感性内観法・人生のどんでん返しは、いつからでもできる!

鬼木 希宗(著)

発売日:2016年8月17日

「感動とは、感性が動くと書く。自分を本心から動かすものは感動である」とは著者の言葉である。

 

 確かにその通りだと思う。しかしこの言葉の中に「感性が動く」とあるから、非常に深みがあるのだ。即ち、単に「感じて動く」と言えば凡庸だが、「感性が動く」としたところに私は、著者の渾身の思いを感ずる。

 

 著者のインタビュー(後述)によれば、感性の対極にある理性とは「手段能力」であり「計算」であり、また「戦略戦術」を考えるための能力であって、それは決して人生の「生き方」「働き方」を、真の意味で理解する能力ではないとする。つまり感性こそが感動を生み出す主体となっているということであろう。こういった議論は本来、哲学という学問が担っている問題であるから、著者はかなり哲学に精通しているということが分かるのである。

 

 もっとも、それもそのはず、著者は単なる理論としての哲学ではなくて、実践的手法を取り入れた「感性内観法」を母体とする思想を本書によって展開しているのであるから。また、感性論哲学の研究によって「心身の病」「人格の病」を癒すことにも着手している、ある意味では精神分析学的な手法によって病と向き合っている素晴らしい方なのである。

 

 確かに現代哲学の世界は、理性という対象に重きを置いて、どちらかというと感性という主体を蔑ろにしている観があるから、著者の主張は至極もっともなのである。例えば「芸術的」「文学的」感性というものが、世界においてもっと主張されるのならば、「生き方」を研究する哲学である「感性論哲学」は重要な思想としての位置を占めるはずなのである。

 

 感動ありき―このことは主張してもしきれることのない重要な精神であって、真の意味での「生き方」を主張する本書の“心意気”を私は率直に感じた。

 

 感性―この対象は重要な事柄が多すぎて、理性を重んじる学問の世界においては忌避されがちなテーマである。しかし私は、決してそうであってはならないと思う。もっと“感性”に基づく学問が主張されてもいいと思う。そんなことを考えさせられる好著である。

 

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