口語自由律短歌が、現在直面しているものに全身で向き合う、歌集

夾竹桃: 充たして満たされて

光本 恵子/著

発売日:2018年1月30日

500円(税込)

装幀

カバー/22世紀アート

デザイン/22世紀アート


発行形態:電子書籍

ジャンル:ライフ



以前「ルーテル新聞」の依頼で短歌について寄稿したことがありました。その拙文をお読み下さった、当時キリスト新聞社編集局長の米窪博子様から短歌欄の選者を依頼され、数年前から『キリスト新聞』の短歌欄を担当させていただいております。

その選者紹介欄に取り上げたいと、インタビューを受けました折り、短歌に傾倒するようになった大病の回復にまつわる話をしておりますと、米窪様は、「今おっしゃったお話を、自伝風エッセイとして、お書きになってみませんか?」と誘われ、深く考えず簡単にお引き受けしてしまいました。

このエッセイは週一回で一年間連載。執筆は苦しくも楽しい作業でした。急にヨーロッパに行くことになった時も、航空便で原稿を送付したこともあり、今では懐かしい思い出です。

一年が終わってみれば、この作業を通して不確かな自己を問い直すのによい機会を与えられたと思います。

昭和三十年代、中学一年の時、キリスト教に興味を持ち、教会で取り寄せていた雑誌『こころの友』『信徒の友』で佐古純一郎先生に接しました。信仰的にも文学者としても優れた先生の名を、その時、初めて知ったのです。

後に、小林秀雄の序文、亀井勝一郎の跋文になる佐古先生の第一評論集『純粋の探求』を読み、さらに、先生の著『文学はこれでいいのか』に感動し、信仰を心の中心に据えることが、物事の判断基準になることを学びました。特に「危険な没個性論」の中で、私生活と密着し過ぎる私小説を批判しつつも、「作家」と「作品」とは切り離せないものだと言い切っておられる佐古先生の論に共鳴しました。

短歌作りの上で私もそのことにこだわっていきたいのです。創作とはいえ、表現は表現する人の意志から発しているのでしょうから。

著書プロフィール


光本 恵子(みつもと けいこ)

 

京都女子大学文学部国文学科卒業。

18歳のときに口語自由律短歌を知り、宮崎信義に師事。

 

歌集『薄氷』『素足』『朝の出発』(各・短歌新聞社刊・現代女流歌人全集7)『おんなを染めていく』(甲陽書房刊・第12回日本文芸大賞新短歌賞授賞)。

評論集『宮崎信義のうた百首』(短歌研究社刊・第20回日本文芸大賞短歌評釈賞受賞)。評伝『金子きみ伝』(ながらみ書房刊)。

エッセイ集『夾竹桃』(キリスト新聞社刊)。『わたしの骨に止まる蝶』(文芸社)

新短歌賞、第20回新短歌連盟賞授賞。平成11年下諏訪町文化功労賞授賞。日本ペンクラブ、日本文芸家協会、現代歌人協会、日本文芸振興会、各会員。


関連商品



書籍へのコメントはこちらからどうぞ

コメント: 3
  • #3

    ルビー (火曜日, 05 6月 2018 12:57)

    短歌を詠むことで磨かれた言葉のうつくしさなのか、全体的に映像がありありと浮ぶシーンが多々あり、ほのぼのと楽しく読ませていただいた。とりわけ、ご主人様との出会いから結婚するまでのエピソードが甘酸っぱい青春に満ちていて、胸がきゅんとなった。私も短歌で日常を彩り、いきいきと生きていきたい。

  • #2

    はな (火曜日, 05 6月 2018 12:57)

    エッセイとともに短歌も散りばめられている本書。厳かな雰囲気に包まれている作品です。信仰の話もあるためかと思っていましたが、それだけはないようです。「闘病」のなかでは、著者の壮絶な出産の経験が語られているが、私が感じたのは全編を通して命をテーマとしている気がしました。そのため、読んでいてどこか緊張感がある、すっと背筋が伸ばして読まなければという気がしてしまいました。

  • #1

    崘羽蹟 (火曜日, 05 6月 2018 12:31)

    本作の著者の光本氏は求道者である。好奇心旺盛、実行力があり、バイタリティ溢れる女性。生き方100パーセントだ。こう表現すると、なんだか女闘士のようで冒険家やアスリートの書籍の紹介文様になるが短歌を詠んでいる方の随筆である。短歌というと文化系、あぁ国語で習ったなという程度の認識を持つ人が大半であると思う。かくいう私も短歌を詠んでいると聞けば大人しい、あまり人と接することを好まない地味な印象が強い。だが本作を読み進めていくと、冒頭で述べたように真逆の印象が強くなる。考え方、生き様、短歌に対する思想。生きることに挑戦的で、その自らの生きる道を追い求める姿は眩しく映る。忙しく働く女性であり、強い母であり、聡明な教育者であり、熱心な信仰心もある。己が決められた刻を、必死に探り生けねばならぬという意識にさせらて、さながら啓発本のような影響力がある作品であった。