短歌同人誌「淵」に発表したものが中心になった歌集。
ー本文からの引用ー
この歌集は、以前短歌同人誌「淵」に発表したものが、中心になっております。
ところで、歌集にせよ句集にせよ、それぞれ一首一句の集積で、本としてまとめるには、時間がかかります。その点は、私など高齢者のいささか困るところであります。
よそびとの 縊死したりとふ 林の辺過りて今日は蕗の薹見つ
おのがじし 別れて落つる滝の水 左右に迫りて木の芽吹きそむ
とりどりの 色に咲きたる薔薇の花 塀より出でて影と戯る
葦切りの 耳を聾するとや言はむ 葦の根方に籠もりてぞ鳴く
沼の面を 分けたるごとく白鷺の かたみに別れ三ところに立つ
著書プロフィール
安孫子 十字(あびこ じゅうじ)
兵庫県在住。
■著作
短歌集
『大寺の裏』
俳句集
『木の葉雨』
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書籍へのコメントはこちらからどうぞ
藤野 斉 (火曜日, 25 9月 2018 16:16)
とても素敵で濃密な歌集です。
人生の大先輩の感覚と感性に驚嘆しました。
固い文体に慣れない私には少し読みづらい感じもありましたが、それが、品格となり、美風となり、高潔さとなり、謹直さとなり、優艶さとなっているように思えました。
時代、場所、季節などをあらゆる場面で、心を揺るがされずにはいられない名編集です。
プチ (火曜日, 25 9月 2018 16:15)
日本の四季について詠まれた短歌が多く、趣があり、ひとつずつ足を止めて詠むことができた。また、普段は気づかないことをしっかり拾っていて、新たな気づきがあった。
うーあ (火曜日, 25 9月 2018 16:15)
ときに猫視点や子ども視点に立って詠まれていて、くすりと笑えるものから、大地震や戦争のことなど、シリアスなものまで網羅されていて、しみじみ考えさせられます。
ナフナン (水曜日, 05 9月 2018 17:41)
作者がこれまで詠まれてきた短歌が一冊の本にまとめられていて、どれも味わい深い。作者の身の回りのこと、また身近な風景を詠んでいて、共感できる短歌が多い。じっくり観賞したい短歌集だ。