いのち、ときには渗み
池谷 敦子(著)
発売日:2016年10月30日
500円(税込)
装幀
カバー/22世紀アート
デザイン/22世紀アート
発行形態:電子書籍
ジャンル:詩・小説
これまでに発表した新旧作品の中から名作をセレクト
いちじくの実の皮を剥くように 母を剥く?
「それなりの覚悟はできているんだろうね」
と 夜の者は言うのでした
そのとおり今わたしは苦しんでいます 病んでいます
生まれながらに背負っている罪を償うために生きています
一日一日は死の猶予の時間 母を剥くことは わが身を剥くことなのでありました
関連書籍
夜明けのサヨナラ
書籍へのコメントはこちらからどうぞ
三郎 (火曜日, 25 9月 2018 17:20)
「のっけから私にはわからない。これ、どういう意味?」と妻が問う。 『父と母は不運なバスに乗り合わせた若い男女だった……放っておいた歯槽膿漏の歯茎のように 人々が乗り込み発車してしまうバス……地下の回送バス』 同じ内容でも表現を変えれば世界が変わって見える――そのことを妻にどう説明したらいいのか。 「ただね、『この私も同じ路線の循環バスに乗っている』で作者の言わんとしていることが何となく分かるし、共感もするのね」 『そうやって悲しみをくるんでいくしかない すると 欠けたあとに 水が 秋の水が滲み出してくるのだ』 ――そのように滲み出たものを言葉の濾過機のようなものを通して掬い取る。 「何だか、言葉の魔法にかけられている気分。『博物館はきょう休みです』なんてごく普通の言い方でしょ。でも、ギクリとするのよね。何気ない一行の裏に魔術師のような作者の目が光っていて」 妻の評も満更ではないと思いつつ、いつもの晩酌。 こんな無粋な私でも酒は一合で夢見る詩人に、五合で大ぼら吹きの宇宙人にしてくれる。
アレス (火曜日, 25 9月 2018 17:20)
親子の業の作品から始まるところから、雰囲気に圧倒されるような気持ちになりました。単なる親子愛に留まらないところが、凄まじさを感じます。またメタファーも独特で人間関係の部分を歯槽膿漏と表現するなど、オリジナリティーに溢れています。綺麗事にとどまらないところがこの作者の才能だと思います
きゃーり (火曜日, 25 9月 2018 17:19)
ときにはにじみと言う不思議な雰囲気のタイトルと、表紙の美しき退廃的な雰囲気にこころ揺れ動かされ読みました。 不思議な世界観と、ゴシックファンタジーのようなオリジナリティーに圧倒されます。耳や蛙を描きながら、街が樹海に変わるシーンなどこの作者にしか書けないと思います。
カルチャー (火曜日, 18 9月 2018 17:43)
人間の深い心の奥底を描写したような作品が多くありました。決して明るい作品ばかりではありませんがだからこそ心に染みるような作品集だと思います。循環バスの中に閉じ込められた人間の業のようなものを読んだ作品ではとても私も思うところがありました
トワレのパパ (土曜日, 30 12月 2017 14:12)
この著者の別の作品を読んだ後なので、期待をもって読み始めた。出だしの母親のことは、同類な作者の気性の生き写しでもあった。これらの部分は、それなりにも読むことができた。がその後の展開には付いて行けなかった。こんな薄暗い性格には嫌悪感を感じたし、とうてい我慢できなかった。自分の性格が悪いのか、自分の人間性に問題があるのか、考えさせられる作品だった。
トシ子 (木曜日, 07 12月 2017 09:12)
1人の読者の分際で、1つの作品を読んだだけで何を言う!と言われても仕方が無いが悔しかった。胸に突き刺さるものがあった。著者の方に惹かれるものがある。私の表現してみたい事を私には表現出来ない方法でしている著者の事が気になり始めている自分が少し居る。
三郎 (水曜日, 06 12月 2017 12:33)
大声で産まれ逝くときは沈黙する命、蝶や蜂達で繋がれていく花の命、病床でも欲だけは達者な命……さまざまな命を見つめる確かな目。時には仏様とおしゃべりしながら、日々命がけで生きる心がけ。いちじくの実を割れば、無数の未来も過去も真っ赤な血も見える。
たられば (水曜日, 06 12月 2017 11:08)
繊細な感性が織りあげる言葉のうちに幻想が滲みだし、いつしか読者を稀有の詩的宇宙に染めている。
三郎 (火曜日, 25 9月 2018 17:20)
「のっけから私にはわからない。これ、どういう意味?」と妻が問う。
『父と母は不運なバスに乗り合わせた若い男女だった……放っておいた歯槽膿漏の歯茎のように 人々が乗り込み発車してしまうバス……地下の回送バス』
同じ内容でも表現を変えれば世界が変わって見える――そのことを妻にどう説明したらいいのか。
「ただね、『この私も同じ路線の循環バスに乗っている』で作者の言わんとしていることが何となく分かるし、共感もするのね」
『そうやって悲しみをくるんでいくしかない
すると
欠けたあとに 水が
秋の水が滲み出してくるのだ』
――そのように滲み出たものを言葉の濾過機のようなものを通して掬い取る。
「何だか、言葉の魔法にかけられている気分。『博物館はきょう休みです』なんてごく普通の言い方でしょ。でも、ギクリとするのよね。何気ない一行の裏に魔術師のような作者の目が光っていて」
妻の評も満更ではないと思いつつ、いつもの晩酌。
こんな無粋な私でも酒は一合で夢見る詩人に、五合で大ぼら吹きの宇宙人にしてくれる。
アレス (火曜日, 25 9月 2018 17:20)
親子の業の作品から始まるところから、雰囲気に圧倒されるような気持ちになりました。単なる親子愛に留まらないところが、凄まじさを感じます。またメタファーも独特で人間関係の部分を歯槽膿漏と表現するなど、オリジナリティーに溢れています。綺麗事にとどまらないところがこの作者の才能だと思います
きゃーり (火曜日, 25 9月 2018 17:19)
ときにはにじみと言う不思議な雰囲気のタイトルと、表紙の美しき退廃的な雰囲気にこころ揺れ動かされ読みました。
不思議な世界観と、ゴシックファンタジーのようなオリジナリティーに圧倒されます。耳や蛙を描きながら、街が樹海に変わるシーンなどこの作者にしか書けないと思います。
カルチャー (火曜日, 18 9月 2018 17:43)
人間の深い心の奥底を描写したような作品が多くありました。決して明るい作品ばかりではありませんがだからこそ心に染みるような作品集だと思います。循環バスの中に閉じ込められた人間の業のようなものを読んだ作品ではとても私も思うところがありました
トワレのパパ (土曜日, 30 12月 2017 14:12)
この著者の別の作品を読んだ後なので、期待をもって読み始めた。出だしの母親のことは、同類な作者の気性の生き写しでもあった。これらの部分は、それなりにも読むことができた。がその後の展開には付いて行けなかった。こんな薄暗い性格には嫌悪感を感じたし、とうてい我慢できなかった。自分の性格が悪いのか、自分の人間性に問題があるのか、考えさせられる作品だった。
トシ子 (木曜日, 07 12月 2017 09:12)
1人の読者の分際で、1つの作品を読んだだけで何を言う!と言われても仕方が無いが悔しかった。胸に突き刺さるものがあった。著者の方に惹かれるものがある。私の表現してみたい事を私には表現出来ない方法でしている著者の事が気になり始めている自分が少し居る。
三郎 (水曜日, 06 12月 2017 12:33)
大声で産まれ逝くときは沈黙する命、蝶や蜂達で繋がれていく花の命、病床でも欲だけは達者な命……さまざまな命を見つめる確かな目。時には仏様とおしゃべりしながら、日々命がけで生きる心がけ。いちじくの実を割れば、無数の未来も過去も真っ赤な血も見える。
たられば (水曜日, 06 12月 2017 11:08)
繊細な感性が織りあげる言葉のうちに幻想が滲みだし、いつしか読者を稀有の詩的宇宙に染めている。