江戸の世に大工を目指した男『卯吉』の物語。大江戸時代小説。

風の情花

みむら 毅/著

発売日:2017年10月29日

500円(税込)

装幀

カバー/22世紀アート

デザイン/22世紀アート


発行形態:電子書籍

ジャンル:文学



本文冒頭よりーーーーー

佐渡は金山奉行所のお役人、唐木純一郎さま、お元気でおますか。

風花舞う寒さに加え、地底より冷えが伝わる佐渡の冬の厳しさに比ぶれば、播磨の奥に 在ると言えども、林田とは格段の違いでおます。 

ふるさとは播磨の国、林田に帰して、二年が巡ってきます。因幡街道の宿場町、建部一万石が誇る御殿山の梅の曹もほころびはじめております。

佐渡の島を無事に抜け出すためには、人を信じてはならぬ、人を利用しても、あざむくことになっても、自分ひとりが生きのびねばならぬと、そのことばかりを考えていた卯吉でおました。

その卯吉に、人の心の温かさと、生きることの幸せを教えてくださったのが、唐木さまでございました。

江戸の世に、実直に生きた男たちの物語ー

著書プロフィール


みむら毅(みむらつよし)

 

昭和9年 兵庫県生まれ。

関西大学文学部国文学科卒。

姫路市の公立中学校に32年間勤務。

同人誌「播火」に俳句と小説を発表。

 

既刊書:

雁皮の花(2007年 文芸社刊)

酒林祈願(2008年 文芸社刊)

鬼灯(2010年 文芸社刊)

堀川舟(2009年 日本文学館)


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コメント: 2
  • #2

    せいべい (木曜日, 01 2月 2018 13:09)

    この本には勇ましい将軍や剣豪は出てこない。だけど、心優しくて、真摯で、人間臭い温かみのある登場人物が出てきます。藤沢周平さんの小説にも通ずる世界観があります。ふと自分の周りにいる親戚や友達の姿をあてはめて楽しみました。血の通った時代小説だと思いました。

  • #1

    りょうすけ (木曜日, 07 12月 2017 09:07)

    西吹けば東にたまる落ち葉かな。人の一生は、風の吹くままに流れて行く落ち葉のように、気まぐれなものだと思う。主人公の卯吉の人生も清次という西風に吹かれて佐渡まで流れ着いた。卯吉の幸運は、そこで数々の情けに出会えたことだ。唐木純一郎、龍太、弟子達、そして津夜。彼らの情けが卯吉を育て、今故郷で花を咲かせようとしている。ただし、情けが必ず花を咲かせるわけではないのも事実だ。この作品が教えてくれるのは、情けを受け止める心の大切さだと思う。与えられた情けをしっかりと受け止めてひたむきに励む卯吉の素直さが、次々と幸運を呼び込んでいく。情けという養分と、それを糧に己の夢を育ててゆける豊かな心の土壌。この2つが揃ってやっと花が咲くのだということを気付かされる作品だった。