増補版 大久保利通(甲東)漢詩集

藤田 悠子・松尾 善弘/著

発売日:2018年8月18日

500円(税込)

装幀

カバー/22世紀アート

デザイン/22世紀アート


発行形態:電子書籍

ジャンル:漢文・歴史



回天の大業 ・ 明治維新を成し遂げ、「富国強兵 ・ 殖産興業」のスロ 一ガンを掲げて近代日本建設に邁進した大久保利通。

薩摩藩の輩出した二大偉人は 、征韓論争後、 政治的立場を異にし、西郷隆盛は「西南の役」で酸鼻の横死。 その一年後、 大久保利通も刺客に襲われ無念の最期を遂げた。

生前、 激務の合間を縫って作られた大久保漢詩は50首足らずにすぎないが、 今、 それらを平心に読み解く時、 我われは そこに背筋をピンと伸ばして難局に立ち向かう「東洋の鉄血宰相」一蔵さんの毅然とした姿を眼前に彷彿とするのである。

「西郷さんの漢詩を読む会」(鹿児島国際大学生涯学習講座)を続ける中で、 私は 一昨年『西郷隆盛漢詩全集』を 上梓し、 西郷伝記の諸般にわたる真贋の判定に資せんことを期した。

今回は「読む会」を代表して藤田女史に大久保漢詩を収集し、編訳 ・著述の労を取ってもらった。

大久保さんは詩作の際、 漢詩の根幹をなす「平仄の規則」に忠実に従い、 語法・語義にわたる漢語力を自在に駆使して、 数こそ少ないが西郷漢詩に勝るとも劣らない作品を遺している。

著書プロフィール


藤川悠子

1941年鹿児島市にて出生

1953年鹿児島市立八幡小学校卒業

1956年鹿児島市立天保山中学校卒業

1959年鹿児島県立甲南高等学校卒業

同年日興證券(株)入社鹿児島支店勤務

1964年日興證券(株)退社

同年結婚して主婦業に専念現在に至る


松尾善弘

1940年生まれ。鹿児島大学名誉教授。中国語・中国古典文学専攻。『西郷隆盛漢詩全集』斯文堂2010など著書多数。


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コメント: 3
  • #3

    三郎 (水曜日, 12 9月 2018 15:06)

    二十年ほど昔のことだ。
     私が歴史好きと知った教え子がこう聞いてきた。
    「先生よー、牧野伯爵って知ってるか? 俺の爺はその人のお屋敷に毎朝、野菜を届けてたんだぜ」
    学校一のワルの少し自慢げな表情を見て、にわかに大久保利通のクールな肖像写真に血が通った気がした。
     『死に処すること帰するが如く節清し』――赤穂四十七士に思いをはせての『義臣伝を読む』と題しての詩に、大久保もやはり心は武士かと思う。
    『錦旗、雲の幕 春風に舞い』――『明治元年西郷参謀の従軍して関東に赴くを送る』の詩に、私は人馬のいななきを聞き、街道に舞う砂塵、西郷どんの表情まで目に浮かべる。
     また、『是従隣交 永遠に期す』と、中国との交流は永遠なものになろうと詠んだ大久保に現在の日中関係を憂う。
     大久保の詩の味だけではない。筆者の慧眼にも私はしばしば相槌を打った。
    『月は峯頭に掛かり 影は半ば蔵る』を『月は山の端に掛かり、月光も半分蔵(かく)れている』と訳し、『いくつかの詩で同じ語を使ったり、同一詩内で同じ文字を用いる重字などは、むしろ甲東公の粘着質をしめすものといえようか』の解説など相槌以上、文字通り膝を打ったのだ。
     教え子が口にした『牧野伯爵』は大久保利通の次男牧野伸顕で、彼が晩年を過ごした千葉県柏市の住民である私には興味深い人物だ。
    「太平洋戦争開戦の鍵を握った人物の一人だよ。その人の意見をもう少し尊重していたら、あの戦争はなかったかもしれん」
     私の言葉に、茶髪にピアスが目を丸くした。
    「へえ、そんなエラい人かよ!」
     その教え子も一丁前の大工になって、平成も幕を閉じようとしている今、NHK大河ドラマ『西郷どん』が視聴率で芸人のバラエティー番組に大差で負ける時代を草葉の陰で大久保はどう見ているであろうか?と、ため息をつきつつ本著を閉じた私だった。

  • #2

    藤野 斉 (水曜日, 12 9月 2018 15:06)

    これは至極の漢詩の教科書です。
    学校採用のレベルなのではないでしょうか。
    大久保利通を通して漢詩を学べます。また、漢詩を通して大久保利通を学べます。
    工学部出身の私にもとても分かりやすいと思いました。
    これを契機にいろんな漢詩を読んでみたくなりますね。
    大久保利通は、あまり人気がなく、冷淡で支配的であるような認識ですが、本漢詩では違った一面を見ることができます。
    私としては、洞察力に富んでおり、冷静沈着で、強い信念を持っている人物のように思えました。
    漢詩はもちろんのこと、大久保利通のことも、もっと勉強したくなった次第です。

  • #1

    リリー (水曜日, 12 9月 2018 15:05)

    大久保利通がつくった漢詩がわかりやすく読み解かれています。偉大な人物像が浮かんでくるようであり、彼の思想に触れることができて、味わいがあります。