詩ではないかもしれないが、どうしてもいっておきたいこと

矢口 以文/著

発売日:2018年11月4日

500円(税込)

装幀

カバー/22世紀アート

デザイン/22世紀アート


発行形態:電子書籍

ジャンル:



基地周辺の農地にも

空軍の爆弾が落ちて

平屋が一軒入るほどの巨大な穴を

いくつも開けた 水がじわーっと湧いた

 

敵機が去った後 水が

たっぷりたまったその穴に

こっそり 泳ぎに行ったものだ

「危ないから泳ぐな」と言われてはいたが

 

僕らは白い歯を見せて

犬掻きを楽しんだ

真っ青な空が浮かぶその水は

ひんやり澄み切っていた

 

或る時 去ったはずの敵機が一機

戻ってきた

必死に草むらに飛び込んだ僕らに

銃弾の驟雨(しゆうう)が襲い掛かった

 

やがてやっと不気味な静けさが戻って

恐る恐る顔を上げると

一人がうつぶせになって浮かんでいた

背中から血が噴出し 水は真っ赤に染まっていた

(本文より)

著書プロフィール


矢口 以文(やぐち・よりふみ)

 

 一九三二年十一月一日/宮城県石巻市生まれ

 一九五五年/東北学院大学卒業

 一九六二年/国際キリスト教大学大学院修了

 一九六五年/米国インディアナ州ゴーシェン大学大学院修了

 一九六六年/北星学園大学勤務

 一九九九年/退職 同大学名誉教授

 一九九九年/北海道文教大学教授

 二〇〇九年/退職

 

英文詩集『A Shadow』(自家版・一九六六年)

詩集『冬の神話』(自家版・一九六七年)

『シド・コーマン詩集 良い時に』(思潮社・一九六九年)

詩集『にぐろの大きな女』(創映出版・一九七二年)

『ジョン・ホーランダー詩集』(共訳・文理書店・一九七二年)

『アン・セクストン詩集』(創映出版・一九七四年)

『R・S・トーマス詩集』(共訳・創映出版・一九七四年)

『クンツ詩集 20の夢』(創映出版・一九七四年)

ジャン・バニエ『希望にあふれて』

  (共訳・日本基督教団出版局・一九七六年)

『Young American Poets 1976』(北星学園大学アメリカ文学研究室・一九七六年)

詩集『夜の木立』(創映出版・一九八〇年)

英文詩集『How to Eat Loaches』(フィリピン―シリモン大学・一九八四年)

『アメリカ現代詩の一面』(旺史社・一九八五年)

詩集『先祖たち』(響文社・一九八五年)

英文詩集『Three Mennonite Poets』(共著・U.S.A.―Good Press・一九八六年)

『R・バックウォルター詩集 バイバイ、おじちゃん』

  (響文社・一九八六年)

『老いの意味を探るアメリカの詩人たち』

  (岩波書店―『老いの発見』第2巻「老いのパラダイム」・一九八六年)

M・ハットフィールド評論集『良心への服従』

(日本基督教団出版局・一九八七年)

詩集『イエス』(日本基督教団出版局・一九八七年)

英訳詩集『イエス』(ゴーシェン大学・一九八七年)

詩集『呼ぶ声』(響文社・一九九三年)

英文詩集『A FORLORN DOG』(響文社・一九九三年)

詩集『目を覚ましている木』(響文社・一九九七年)

詩論集『響き合う言葉』(響文社・一九九九年)

詩集『周辺の人々』(知加書房・二〇〇三年)

詩集『天国の宴会』(英宝社・二〇〇四年)

英文詩集『The Poetry of Yorifumi Yaguchi』(U.S.A. ―Good Press・二〇〇六年)

英文自伝『The Wing-Beaten Air』(U.S.A. ―Good Press・二〇〇八年)

 

所属

 日本キリスト教文学会

詩誌

 「新現代詩」「Aurora」

 


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