VIVA O BRASIL!: アミーゴからの贈り物

(著) 桑嶋周次

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作品詳細

日本から最も遠くて近い国、ブラジル。私が最初にこの国を訪れるチャンスを得たのは、1980 年のことであった。
当時鉄鋼会社のエンジニアだった私は、南米に初めて導入された高級鋼製造のための新精錬装置の操業指導を行うと
いうことで、ブラジルに渡った。2ヶ月間の滞在だった。
ブラジルに来るのはこれが最初で最後だと思っていたので、ほんの片言、挨拶程度に覚えた私のポルトガル語もそ
こで中断した。ところが再びチャンスが訪れた。人事異動で、1997 年から海外技術協力の仕事を担当することになっ
たのだ。最初の渡伯から、17 年が過ぎていた。
“時既に遅し!”という感が否いなめなくもなかったが、何度かブラジルに行き、また日本にブラジル人のエンジニアを
受け入れたりしているうちに、私はもう少しポルトガル語の勉強をしたいと思うようになっていた。その矢先、ふと
新聞に入っていたチラシが目に留まった。“太陽の友達の会に入って一緒にポルトガル語を勉強し、ブラジルに行き
ませんか?”というものであった。
私は早速その会に入会した。入会したのは良いが、難しい文法と悪戦苦闘することになる。いまだに文法は苦手で
全然わかっていない私が、それでもなんとか続けられているのは、ブラジル人と接することが楽しいからである。
ブラジル人は我々日本人を尊敬し、親切にしてくれるので、すぐに友達になれる。またきちんとしたポルトガル語
が話せず単語の羅列であっても、一生懸命何を言おうとしているのか、辛抱強く聞こうとしてくれる。このような人
たちと友達になれたなら、ブラジル滞在の楽しさは全く違ってくる。
私の渡伯目的は仕事であったが、結局通算で26 回もブラジルに行った。このチャンスを活用し、休日には各地を
旅行し、また平日の夜はできるだけブラジル人と接触できるよう外で食事をしたり、カフェでコーヒーを飲んだりし
た。おかげで既に500 人を超す知人・友人ができた。これは何物にも勝まさる私の宝物である。
ブラジルには何回行っても、いつも新しい発見があり、興味が尽きることはなく、また何度でも行ってみたいと思
う気持ちがますます強くなってくる。仕事を離れた今は、まだ行っていない観光地をゆっくりと回ってみたいし、い
ままでにできた友人たちとの旧交を温めたいという熱き思いがあり、近いうちの再渡伯を夢見ている。
本書は、私のこれまでのブラジルでの実体験、及び来日したブラジル人たちとの交流のなかで得たものの一部をま
とめたものである。本書を読んだだけでブラジル通になれるかどうかは保証の限りではないが、単なる観光ガイド本
とは異なる何かを、それぞれに感じとっていただければ幸いである。

著者プロフィール
桑嶋周次(くわじま・しゅうじ)
1950年、香川県生まれ。
新日本製鐵株式会社で海外技術協力業務に従事。
渡航した国は約30か国に及ぶ。
特にブラジルには26回超と、ブラジル通を自負する。
2010年に同社を退職し、趣味のテニス、園芸、茶の湯(表千家)、英語・
ポルトガル語学習や、ボランティア活動に忙しい毎日を送る。
君津市国際交流協会役員、太陽の友達の会会員、大江戸骨董市ガイドな
どを務める。

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