山彦の谷の物語

(著) 松田喜好

Amazon

作品詳細

[商品について]
―素朴であたたかくて、ときに切ない人生の物語―
村の真中を流れる千座川の川上にある村落から離れた川の淵に建っている小さな家で、タミ婆、そして犬のマリと棲んでいる鉄砲撃ちの吾作親爺。古新聞がたまると束にして吾作親爺の家まで届けていた少年は、もうすぐ夏休みというある日、吾作が鉄砲を手入れしている様子を目にする。本物の鉄砲に初めて触れた少年は、以来鉄砲のことが忘れられなくなり、吾作のもとに顔を出すようになる。次第に「鉄砲撃ちになりたい」との想いを募らせる少年。しかし年がかわり新学期になって間もなく、吾作親爺が七日前に山へ入って戻らないと知らされる――。鉄砲撃ちの暮らしと少年の日々を描いた「吾作親爺」をはじめ、山形の豊かな自然の中の小さな村を取り囲む「山彦の谷」を舞台に、自然の中で様々な思いを持って生きる人々の姿をあたたかな筆致で描いた短編集。

[目次]
吾作親爺(ごさくおやじ)



ギブ・ミー・かんづめ
三婆(ばば)の物語
第一話――婆たちの風景
第二話――おフユさと簡単服
第三話――喜助宅の風景
第四話――鬼ババと餓鬼共
第五話――奥山の風景
第六話――後家(ごけ)さとエロ親父
第七話――おトラさの懐古
第八話――おキミさと村の風景
解  説
【初出一覧】

[出版社からのコメント]
まだ世間をよく知らない子供だったころ、大人たちの様子をみて何をしているのだろうと思った方もいるかもしれません。大人になるにつれて物ごとが分かるようになり、そうした目線も失われていきますが、実はその目線の先にはその人それぞれの人生があるということも忘れてしまっている様に思います。本書の中にある少年の目線の先にある様々な人生を、ぜひゆっくりと楽しんでいただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
松田 喜好(まつだ きよし)

1945(昭和20)年 山形県村山市に生まれる
元教師
『山びこの谷』(2010年 日本文学館)
『林檎の木』(2011年 地上文学賞)
『卍松寺幻想』(2013年 鼎書房)

新刊情報