日本残照物語: 特集十話

(著) 藤井滋生

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作品詳細

「この度の転変地変はかつて無き事。不吉な予感がするわ。神の御怒りかな。」
「強欲な者どもが公の土地を切り取り、私闘に励みおる有様は世も末なれば、神様のお怒りは御尤も」
「如何にせん」
「天威は地に落ち斎宮も荒れ放題、仕える者も僅かなれば、祭祀も途絶えがちな今日なれど、姫様は帝の御名代で有らせられる。ただひたすらに神様へ御祈り下され」
(本書「斎王残照」より)

主に日本の王朝時代を題材とし、対話を中心とした軽快な文章のなか、「栄枯盛衰」「諸行無常」を見事に描き切った短編歴史小説。
殺生禁断の海で罪を犯した漁師と心優しい役人の悲劇的な顛末を描いた「禁断の海」、国宝の壺を守るなかで斎王と乳母が不思議な青年に出会う物語「斎王残照」、壇ノ浦後の源平のあらましを解説した「永遠の生命」などを収録。

【著者プロフィール】
藤井滋生 (ふじい しげお)
昭和十三年(一九三八)三重県生れ。津工業高校卒。近畿大学法学部中退。
NEC大津工場・大阪サービスセンター勤務。発明協会「優秀賞」受賞。
三重ハウスエリア株式会社・代表取締役・社長。
三重歴史研究会・初代理事。「歴史大賞」受賞。全国歴史研究会本部正会員。
主な著作(発行所)
『京の華』(関西文学)。『遠い渚』(山陰文学)。『尾張の竜』(勢陽文学)。
『残照の城』(タカハシ商事)。『宣長残照・山桜の夢』(新風書房)。
『花綵列島一九八三真珠湾』(歴研)。『それからの平家物語』(歴研)。『本田の旗』(文芸社)

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