孝子愛日

(著) 梶本孝治

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作品詳細

[商品について]
―昆布を指して「これは何?」と聞くアメリカ兵士の質問に対し、乾物店のおじさんは英語で何と答えたでしょうか―
1.シーウィード、2.ジャパニーズスープ・エッセンス、3.シーフード・エキス
正解は、本書『第一章 作文集「子どもたちの思い出」より 進駐軍との出会い』をご覧ください。
石碑に刻まれた百十八年という歳月の中で存在した愛日小学校、そこには忘れてはいけない激動の歴史があり、著者の数年間過ごした小学校での思い出や体験が詰まった一冊。愛日小学校辺りは江戸時代から近代日本の礎を築いた先覚達が向学心に燃えた大阪文化発祥の地でもあり、明治五年に愛日小学校の前身が創立され西日本唯一の学問所である懐徳堂として全盛を誇っていた。敗戦後六年半あまりわが国はアメリカ軍人による『占領下の時代』で、愛日小学校を取り囲む北船場は占領下の街となり近くにはGHQの司令部が置かれていた。本書は多くの歴史を秘めた北船場で子どもたちがGHQの兵隊さんと出会い、伝統を誇る船場の人たちに見守られながら新制度下の愛日小学校で多くのことを学び、体験しながら過ごした船場のなごりを後世に遺すべく著者が編纂した伝記である。

[目次]
まえがき
第一章 作文集「子どもたちの思い出」より
[その1]空爆・疎開・引揚げの記憶
阪神大空襲と酒樽の防空壕  近 江 晴 子
大阪大空襲  山 本   晃
銀のスプーン  西 村 和 子
砲兵工廠の官舎  杏 中 清起子
父が遺した一冊の著書  太 田 醇 子
台湾引揚げの記憶  大 野   直
一人ぼっちの入学式  梶 本 孝 治
[その2]GHQ占領下の街
進駐軍との出会い  森 本 富美子
夢見る夢子さん  大 庭 紀 子
進駐軍の兵隊さん  近 江 晴 子
カイコと進駐軍仕官  梶 本 孝 治
ちっちゃにいちゃんのテスト  藤 田 直 子
御霊さん界隈  西 村 和 子
CIE図書館  太 田 醇 子
地下鉄通学  梶 本 孝 治
ハーシーのチョコレート  大 野   直
淀屋橋周辺  川 端 辰 彦
朝鮮戦争  梶 本 孝 治
[その3]「よく遊び。よく学べ……」
まっすぐに生きた頃  大 庭 紀 子
母との約束・阪大病院にて  梶 本 孝 治
ボクシングごっこ  杏 中 清起子
お楽しみ会  大 島 恵美子
ポツダム中尉  大 野   直
泣きの涙で食べた給食  近 江 晴 子
ぐんかん・ぐんかん・ちんぼつ!  平 井 信 夫
ヤンマ・二題  梶 本 孝 治
中之島での出来事  川 端 辰 彦
高野山の想い出  大 野   直
カンカン  梶 本 孝 治
ある夏、プールにて  西 村 和 子
十人兄弟の長兄  川 端 辰 彦
最後の写生会  平 井 信 夫
[その4]振り返って見れば
未知の世界  梶 本 孝 治
いちょう並木と「福沢諭吉伝」  大 野   直
水都祭の花火  大 島 恵美子
御堂筋とあゆんだ七十年  杏 中 清起子
早く大人になりたかった頃  山 地 義 之
懐かしい通学路  島 田 元 文
わが家の船場三代  山 本   晃
サムエル・ウルマン『青春』  川 島 泰 子
きよしこの夜  森 本 富美子
北船場のご縁  生 駒 和 子
「愛日文庫」夢の中  近 江 晴 子
北船場残照  太 田 醇 子
第二章 伝え継ぎたいこと
卒業後のこと  梶 本 孝 治
堀内克洋君のこと  杏 中 清起子
船場育ち  野 村 眞由美
古田先生の夢  杏 中 清起子
私達の体験を伝え継ぐ  大 野   直
初風(はつかぜ)の大冒険飛行  森 本 富美子
第三章 古田学級「新教育」風景
◇《特別寄稿》
『子どもたちは、今……』
あとがき


[出版社からのコメント]
それぞれの土地には長い歴史があり、時代の変化と共に景観は異なっていき、人々の記憶から薄れてゆくものだと思います。本書は著者たちが思い出深い北船場の土地に思いを巡らせ、百十八年にも及ぶ歴史を振り返り、その時代を生きた人たち、育まれてきた新教育の事実を次世代に語り継ぐ一冊だと思いました。本書を通じて次世代を生きる多くの方が、戦後何が起きていたのかその土地ならではの史実を理解し、昭和の思い出物語に思いを馳せていただければ嬉しく思います。


[著者プロフィール]
梶本 孝治(かじもと・こうじ)
1941年 大阪市にうまれる 
1963年大阪大学工学部卒
オーナー(梶本商店)に従事、サンスター技研、コモライフ、2001年定年退職。
2001年〜5年 JMAMチェンジコンサルティングでカウンセラー

著作歴
『GHQの兵隊さんと船場のこどもたち』(国際印刷出版研究所)
『親子愛日』(ユニウス)
『上海レクイエム』(エピック)
『カンカンが行く—船場二代記』(風詠社)

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