自然と倫理ーー地球を救う「環境哲学」のはなし

(著) 山内友三郎

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[商品について]
―近代化というバベルの塔から、人類は下りることができるのか―
人類が目指すべき普遍的な真理として道徳、政治、経済、文化等の基準となってきた西洋近代思想は、地球環境の激変の中で岐路に立たされている。同思想の本家である西洋諸国でも、これまで西洋近代思想が押し退けてきたエコロジー的世界観に接近して脱近代の思想を模索する動きが大きくなっている。本書は、そうした潮流を背景に、環境倫理の視点からいま私たちに求められる思想は何かを、西洋近代主義に代わるものとして注目を浴びる東洋の伝統的な思想をひとつの基軸としながら、西洋思想の本質や人間と科学、日本の近代化など様々なテーマで語った環境哲学覚書である。

[目次]
1.西洋近代主義からエコロジー的世界観へ ―我われに価値の転換は可能だろうか―
2.倫理的思考の三層理論 ―社会倫理と環境倫理の統合的理論に向けて―
3.東西世界観の衝突と三層理論 ―緑の日本思想史、寸描―
4.緑の世界史から見た環境の哲学 ―アメリカ・インド・日本―
5.天賦人権は妄想なりや否や ―加藤弘之の名論「人権新説」の現代的意味―
6.世界哲学の中の二宮尊徳 ―環境哲学から伝統思想を見直す―
7.貝原益軒の「天地大父母」説 環境教育を江戸に学ぶ
8.人間と自然を統合するモラルとその構造 江戸モデルに対する環境倫理的考察

1.人間の利益と自然の福利との対立衝突
2.尊徳に見る江戸時代の国土保全思想
3.人間の利益と自然の福利の総合的理論に向けて
9.脱近代としての脱原発 ―儒教的環境倫理の可能性―
10.人類を統合する思想は可能だろうか
1.三教一致の日本思想と現代
2.現代世界の思想的な混沌状態
3.ヒューマニズムの社会倫理
4. 人類生存の基盤としての自然環境
5.制度と教えのレヴェル
11.今なぜ儒教か
12.環境哲学の三角構造-人類哲学試論-
1.東西思想の違い
2.東西思想の統合は可能だろうか
3.人類哲学の三角構造
4.尊徳の一円融合と弘之の唯一自然
13.西洋近代と日本思想―対立から統合へ―
1.「作る」世界観と「生む」自然観
2.近代日本思想の四大転換
3.世界の江戸化は可能だろうか
4.平和憲法から新しい万国公法へ
14.脱近代から人類哲学へ ―世界平和と環境回復に向けて―
序.西洋近代主義の崩壊
1.和辻哲郎の西洋近代主義批判(「アメリカの国民性」)
2.プラトンの社会倫理と二世界論
3.ヘアによる二世界論批判と社会倫理
4.「自由・平等・人権」の倫理・政治的位置
15.報徳思想から和魂洋才へ -東西一致の道徳は可能だろうか-

1.報徳思想の神髄-三つのレヴェル
2.西洋近代思想と人類哲学の可能性
3.和魂洋才の構造-中村敬宇と内村鑑三
4.新しい修身教科書
5.地球を救う和魂洋才の精神
『自然と倫理』あとがき

[担当からのコメント]
地球環境の問題は全人類が関わる大きな問題ですが、同時に私たち一人ひとりの問題でもあります。その意味で本書は、近代の名の下に社会に深く根付いている思想といかに向き合い、克服していくかを考えるうえで示唆に富む内容となっています。ぜひご一読ください。

[著者プロフィール]
山内友三郎(やまうち ともさぶろう)

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