「ことば」ほど素敵で不思議なモノはない――日英文化言語学で始める「ことば学」のすすめ

(著) 上地安貞

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作品詳細

[商品について]
――英語のcultureはラテン語のcolereが語源ですが、このcolereの意味は次のどれでしょうか。
1.作る、2.耕す、3.広げる
正解は、本書第5章の「1 文化のイメージ」をご覧ください。
ことばは千変万化する不思議な生き物である。ことばは謎に満ちている。ことばは矛盾する性質を帯びている。ことばは、時に曖昧模糊として我々の理解を妨げる。そして、ことばには様々な顔がある――。本書は、そうしたことば一つ一つのユニークな顔に光を当てて、その実像に迫ろうとする試みである。表裏一体の関係にあることばと文化が、どのように私たちの物の見方や行動様式、生き方等々に深く関わっているか、日英両語を比較文化の視点から観察・分析する。文化言語学研究をライフワークとする著者が贈る、魅力あふれる「ことば学」。

[目次]
プロローグ
第Ⅰ章 すべてはここから始まった
悲惨な交通事故
無銭旅行のドイツ人青年
英語修行と異文化との出逢い
米国留学から研究生活へ
文化言語学事始め
第Ⅱ章 ことばのワンダーランド
「言語」と「ことば」は似て非なるもの
1 ことばの獲得
2 ことばの働き
分ける働き(分析機能)
束ねる働き(抽象機能・統合機能)―ヤサイ・クダモノは実在しない
創る働き(創造機能)
伝える働き(コミュニケーション機能)
3 ことばの特質
恣意性――イヌはネコでもよかった
不可逆性――後戻りはできない
自己増殖性――尾ひれがつく
超越性――ことばは時空を超える
娯楽性――ことばは娯楽の源泉
多義性と曖昧性
真理性と反真理性
4 ことばの価値
5 ことばと人権
6 ことばの危機
7 ことばの障害
8 ことばの変化
ことばは現実と共に変化する(Language changes as reality changes)
英語の語義変化のパターン
9 ことばと沈黙
政治・社会的沈黙
沈黙のことば
形而上的沈黙
10 名前の言語学(命名に隠された文化/名前の由来)
11 標準語と方言
12 言語表現の限界
第Ⅲ章 日本語の心(パトス)と英語の精神(ロゴス)
日本語らしさとは何か
1 言語観形成過程の背景
2 日本的コミュニケーションの負の遺産
3 言語観の基層構造
日本人のコミュニケーションの特徴
日英両語における発想形式の特徴
英語らしさとは何か
1 言語観形成過程の背景
2 言語観の基層構造
第Ⅳ章 聖書と英語
第Ⅴ章 文化とCulture
1 文化のイメージ
2 文化のパターン
高コンテクスト文化と低コンテクスト文化
時間の捉え方
3 両文化に属する民族性の特徴
4 文化とことばのタブー(禁忌語taboo)
第Ⅵ章 ことばの情報ボックス
1 綴り文字と音と意味(イメージ)
2 共感覚表現の日英比較
3 「あッ」と驚く「あ(a)」の世界
4 「くちびる語」は世界共通語
第Ⅶ章 ことばの笑劇場
1 ゲームとしてのことば(ことば遊びの色々)
2 笑う門には福来たる
エピローグ
言葉・ことば・コトバ・言語・言の諸相 ――本書で扱ったことばの鍵概念
資料1 ミシガン・ミッション
資料2 戦後沖縄における米国への留学制度
資料3 聖書に由来する英語表現集
参考文献
・主な論文
・主な著書
・筆者職歴
著者略歴

[出版社からのコメント]
私たちが日常当たり前のように使用している言葉は、つぶさに眺めると実に興味深い存在であることに気づきます。言葉をより深く知ることで、私たちの目の前には更なる文化の広がりが現れることでしょう。魅惑のことばオタクの世界へようこそ。

[著者略歴]
上地 安貞(うえち やすさだ)

1946年沖縄県首里市(現那覇市)に生まれる。琉球大学法文学部英語英文学科卒業(文学士)Saint Michael's College(米国ヴァーモント州)大学院応用言語学科修了(M.A.)。オックスフォード大学、セントマイケル大学、シアトル・パシフィック大学にて客員研究員。琉球大学名誉教授。

・筆者職歴

1972(昭和47)~1973(昭和48)年 沖縄女子短期大学・沖縄キリスト教短期大学にて非常勤講師
1973(昭和48)年 沖縄女子短期大学に赴任(講師)
 ~1977(昭和52)年 琉球大学、沖縄国際大学、沖縄キリスト教短期大学にて非常勤講師
1977(昭和52)年 沖縄女子短期大学を辞職
 同年 長崎外国語短期大学(現長崎外国語大学)に赴任(講師)
 ~1985(昭和60)年 長崎大学、長崎大学商業短期大学、長崎総合科学大学にて非常勤講師
1985(昭和60)年 長崎外国語短期大学を辞職(助教授)
 同年 東京家政大学赴任(助教授)
 ~1990(平成2)年 城西大学、専修大学にて非常勤講師
1990(平成2)年 東京家政大学辞職(助教授)
 同年 駿河台大学経済学部に赴任(教授)
 ~2002(平成14)年 明治大学政経学部、武蔵野音楽大学にて非常勤講師
2002(平成14)年 駿河台大学経済学部を辞職
 同年 琉球大学法文学部国際言語文化学科言語科学専攻に赴任(教授)
 ~2012(平成24)年 専攻主任、学科長、外国語センター長、沖縄外国文学会副会長・会長などを歴任 東京家政大学、沖縄大学、放送大学にて非常勤講師
2012(平成24)年 琉球大学法文学部国際言語文化学科を定年退職(名誉教授)
 同年 東京家政大学非常勤講師(文学部大学院・学部共通科目担当)
2017(平成29)年 東京家政大学 非常勤講師を定年退職

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