「大和」逆転の砲撃

(著) 胡桃哲

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作品詳細

(本文より)
フィリピン海。
昭和一九(一九四四)年一〇月二五日。午前八時二〇分。
ひとしきり猛威をふるったスコールは、それがやって来たときと同じく、唐突に洋上の彼方へと去り、天候は急速に回復へと向かっている。分厚く空を覆っていた雲が足早に移動を開始し、その切れ目から、灼熱の日差しがサッと差しこんできた。
まだ波浪の高い大海原を、白波を蹴立てつつ、鋼鉄の意志をみなぎらせた軍団が行く。
艦首をひとしなみに揃え、最大戦速を振りしぼった日本艦隊は、不退転の決意に燃え、皇国の希望を一身に担って、ただひたすら、艦首を一点に向けて突き進んでいるのだ。
めざすはレイテ島・タクロバン。
勝利はすでに我が手にある。

著者プロフィール
胡桃 哲(くるみ・さとし)
一九三八年、東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。時代劇を中心とした映画・テレビドラマの脚本家として活躍した後、戦記シュミレーションをはじめ、数々の作品を執筆する。
おもな著作に、『総統暗殺』『旭日 影の艦隊─転生空母・飛龍』『旭日 影の艦隊─ガ島救出作戦』『旭光の富嶽─ソ連、東京原爆投下計画』『旭光の富嶽─大和「真珠湾」特攻作戦』『ガダルカナルの凱歌』『真珠湾再攻撃』(学研)など。また、城駿一郎の筆名で、「素浪人江戸日和」シリーズ(廣済堂)などの時代小説も発表している。

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