「戦後日本国家」の変態:このまま戦争ができる国家へと向かうのか

(著) 武藤一羊

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作品詳細

―いままさにそこにあるポスト戦後日本―
五十年ほど続いた戦後日本国家は、新日米防衛協力指針を契機として変質し、社会全体に閉塞感と停滞感が漂う中で、憲法改正、そして「戦争できる国家」へと向かおうとする日本。「グローバリゼーション」の嵐が吹き荒れる中で、その変容は何を生み出すのか。戦後日本国家が内包する問題を暴き出し、有事立法から明文改憲へという戦後国家の脱皮プロセスが進行する今、改めて国家の行く末を問う。

[目次]
はじめに
第Ⅰ部 〈戦後日本国家〉という問題
「ねじれ」を解く──戦後国家をどう越えるか
「ネオ国民主義」の陥穽──『敗戦後論』を読む
世界権力に対抗する民衆の自治的連合──「平和基本法」提案と国連の両義性
戦後国家と戦争責任
日米関係の根本的なつくりなおしに向けて──戦後日本国家と民衆の安全保障
第Ⅱ部 新ガイドラインと戦後日本国家
抵抗線をつくるために──新ガイドライン安保と日本国家
「不適切」な日米関係
ペンタゴンと冷戦後の覇権
周辺事態法の詐術
「基本的前提」の詐術──新ガイドラインを読む
周辺事態法の文脈の不思議
新ガイドラインでは何を約束したのか──英文テキストと日本語テキストの異同
「一見明白な憲法違反」に司法審査を
民衆の安全保障
第三の選択肢
第Ⅲ部オルタナティヴな世界へ
新しいアジア像への模索
オルタナティヴ・システムをつくる──ネグロス寄り合いとケララ・ワークショップ
「APEC、ノー、ピープル、イエス!」──マニラ・フォーラム報告
新しいアジア像への模索──開発・近代化の進展の中で
ネオ・アジア主義と人権──チャンドラ・ムザファ氏の人権再考
アジアで英語を使うこと
タイ東北部の有機農業
オルタナティヴな発展への途
〈くに〉と国──国民国家を相対化する
国境を越える民衆運動のネットワーク
点から面へ──オルタナティヴな発展への政治学
風景民主主義──新都庁舎からの連想
中国知識人の新しい息吹き──インター・アジア文化研究会議
瓢鰻亭のからくり
鶴見良行さんのアジア学への軌道
この蛹からどんな蛾が飛び立つのか──〈戦後日本国家〉という問題

[出版社からのコメント]
現在のマスコミの報道からは、日本をとりまく政治的・軍事的環境は厳しいと率直に感じる方も多いのではないかと思います。経済と平和の狭間でバランスをとってきたかの様にも見える戦後の日本が、いまどの様な国家を生みだそうとしているのか、本書を通じて改めて見直すと共に、未来への道すじを考えるための一助として、多くの方にご活用いただければ嬉しく思います。

[著者プロフィール]
武藤 一羊(むとう・いちよう)
1931年東京生まれ。東京大学文学部中退。
初期の原水禁運動の専従、ジャパン・プレス社勤務などを経て60年代ベ平連運動に参加。60年、英文雑誌『AMPO』創刊。73年、アジア太平洋資料センター(PARC)を設立、96年まで代表、共同代表を務め、国際プログラム「ピープルズ・プラン21」を推進。98年「ピープルズ・プラン研究所」を設立、その共同代表をへて、現在運営委員。83年より2000年までニューヨーク州立大学(ビンガムトン)社会学部教員。
著書に『支配的構造の批判』(1970年、筑摩書房)、『根拠地と文化』(1975年、田畑書店)、『日本国家の仮面をはがす』(1984年、社会評論社)、『政治的想像力の復権』(1998年、御茶ノ水書房)、『ヴィジョンと現実』(1998年、インパクト出版会)、『〈戦後日本国家〉という問題』(1999年、れんが書房新社)、『帝国の支配/民衆の連合』(2003年、社会評論社)、『アメリカ帝国主義と日本戦後国家の解体』(2006年、社会評論社)、『潜在的核保有と戦後国家』(2011年、社会評論社)「戦後レジームと憲法平和主義」(2016年、れんが書房新社)など多数。

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