「見えざる手」の痕跡を求めて:市場と芸術をめぐる文化史【電子書籍版】

(著) 塩田眞典

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作品詳細

――蓄音機を発明したエジソン以前に、エジソンと同じ着想で実験を行ったフランスの印刷技師レオン・スコットの発明の名称は次のどれでしょうか。
1.フォノメノン、2.フォノートグラフ、3.テレフォノート
正解は、本書Ⅱ「2 フォノグラフ誕生前後」をご覧ください。
本書は、競争社会といわれる現代で私たちはなぜ競争しなければならないのかについて、効率性と創造性という概念から市場の営みを解明すべく、市場に多様性を生みだす企業者精神と、企業者の活動を「資本主義システムを発展させる原動力」と捉えたシュンペーターに焦点をあてることから始め、フォノグラフやオペラなどを素材に主に芸術にまつわる文化的な諸現象の背後にある市場の隠れた力について考察した論稿集である。隠れた力が働いた「見えざる手の痕跡」が複数の事例に基づいて検討され、経済学だけでなく、文化史的な考察という点でも示唆に富む内容となっている。

[目次]
Ⅰ 市場競争とシュンペーターの企業者論
Ⅱ エジソンのフォノグラフと市場経済 ――蓄音器をめぐる企業者物語――
1 音楽を聴く機械を遡ると
2 フォノグラフ誕生前後
3 フォノグラフが意味したもの
4 ライヴァル登場
5 市場競争
6 企業者エジソンの蹉跌
Ⅲ 舞台芸術をめぐる文化経済学的考察 ――その方法論的基礎――
はじめに
1 文化・芸術と市場経済との遭遇
2 新古典派経済学の不備
3 寓話的方法論
4 台本作家とは何か
5 いくつかの遭遇事例と今後の課題
Ⅳ オペラ《フィガロの結婚》に至るまでのモーツァルト
1 二〇世紀におけるモーツァルトの天才神話と現実
2 ウィーンにおけるモーツァルト ――《フィガロの結婚》に至るまでの事実――
3 これまでに判明した事実とこれからの課題
Ⅴ 普通の人々のオペラ《フィガロの結婚》 ――オペラの政治経済学――
1 ロレンツォ・ダ・ポンテの生涯
2 遭遇と協働作業
3 《フィガロの結婚》出現までの状況
4 《フィガロの結婚》のストーリー
5 改変
6 独自性
7 モーツァルトとチマローザ
8 過剰性あるいはヨーゼフの耳
9 政治
Ⅵ オペラ《カルメン》と制作者たち、およびその後のカルメン像の変貌
1 検討課題
2 小説『カルメン』
3 オペラ《カルメン》
4 その後の《カルメン》
5 オペラ《カルメン》を取り巻く今日的情況
Ⅶ オペラ《エルナーニ》におけるヴェルディ的なもの
1 ヴェルディというオペラ文化
2 オペラ《エルナーニ》のストーリー
3 なぜ《エルナーニ》か?
4 《エルナーニ》に至るまでのヴェルディ
5 ヴィクトル・ユゴーと戯曲『エルナニ』
6 ヴェルディと台本作家たち
7 ヴェルディ的特質の形成
8 オペラと市場 ――むすびに代えて――
Ⅷ 感覚の共有と文化の創造
1 経済活動と文化・芸術活動のタイムラグ
2 都市と芸術家、三つの事例
3 感覚の共有
4 共有と越境
5 共有・越境・総合
あとがき
《著者紹介》

[出版社からのコメント]
教育やビジネスなどの様々な場面で、行き過ぎた競争社会に対して批判的な意見も多くなっている昨今ですが、社会が大きな変革を迎えている今だからこそ、技術や社会の発展を促してきた競争という原理について、改めて考えてみる必要があるのではないかと思います。本書をそのための一助として、多くの方にご活用いただければ嬉しく思います。

【著者紹介】
塩田眞典(しおた・まさのり)

1948年 大阪市生まれ
1981年 同志社大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学
現   在 大阪商業大学名誉教授

主要業績
『マクロエコノミックス入門』(共著、晃洋書房、1986年)
「取引コストの意味と企業者精神」(『大阪商業大学論集』82―83、1988年)
「経済学における2つの市場観」(『経済学論叢』46(2)、同志社大学経済学会、1995年)
「文化企業者ディアギレフの仕事(その文化史的意味と経済的意味)」(『文化経済学』3(3)、文化経済学会〈日本〉、2002年)
『市場・企業・企業者精神』(晃洋書房、2010年)
「近代ヨーロッパ都市社会における感覚の共有と文化の創造」(『大阪商業大学商業史博物館紀要』14、2013年)
「エジソンのフォノグラフと市場経済(蓄音器をめぐる企業者物語)」(『大阪商業大学商業史博物館紀要』16、2015年)

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