いのち: 堀米好美 歌集
(著) 堀米好美
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第一歌集『祈り』(平成二十八年九月発行)に続く、第二歌集である。
平成二十三年から二十八年までの歌の中から、千一首を選び収録した。
私は、この間、「短歌二十一世紀」(選者 大河原惇行氏)・「ヒムロ」(選者 丸茂伊一氏)に出詠する傍ら、「信毎歌壇」(選者 道浦母都子氏・米川千嘉子氏・小池光氏)、それに、地元歌会に出詠を重ねて来た。そのなかで、選歌された作品、入選作品などを中心に、自分として選んだものである。
第一歌集『祈り』とともに、第二歌集『いのち』は、私の八十路のまとめである。合わせてお読みいただければ幸いである。
尚、歌集の題名「いのち」には、いのちの尊厳とその危さ、たくましさ、その永久なることを思い、「いのち燃やさむ」と思う私の心を籠めたものである。
平成二十三年の三・一一の大震災で、多くの「尊いいのち」が失われた。そして、その「いのち」は、残された人々の心に深く「永久なるいのち」として刻まれた。私は、現地を訪れ、被災地を眼の前にして、大きな衝撃を受けた。「明日は吾が身」の思いを強くした。その後、二十八年には、熊本の大地震。それらの悲しみの中で、明日に向って立つ姿に、「いのちたくまし」をいつも思う。それと共に、築き上げたものを皆毀され、肉親を失い、「尚立ち得る吾がいのちか」と思う。「明日は吾が身」「立ち得る吾か」その思いは常にある。地震に、台風に、水害に、噴火にと、災害の前に、余りにも無力な「いのち」である。しかし、逞しい「いのち」である。永久なる「いのち」である。
また、今世界は、国々がナショナリズムの動きを強め、協調から閉鎖へと、紛争の避けられない状況に進んでいる。如何に平和を保持するか、極めて難しい状況にある。その中で、ともすると、国が、権力により、公の秩序や公益を優先し、個々の人権、自由を束縛し、「いのちの尊厳」を侵しかねない状況である。しかし、難しい状況の中であるからこそ、「いのちの尊厳」が侵されてはならないし、「いのちを燃やさむ」と思う今である。
私の作歌に関わって、この間、特にご指導いただいた大河原惇行先生、丸茂伊一先生。それに、歌友の方々、支えて下さった方々に、心から感謝したい。
著者プロフィールーーーーー
堀米 好美(ほりごめ よしみ)
昭和11年2月 長野県伊那市伊那部に生まれる
昭和33年3月 信州大学教育学部卒業
昭和33年4月~ 長野県内各地の小・中学校勤務
(50年4月~54年3月 信大教育学部附属松本小学校勤務)
平成8年3月 伊那市伊那中学校長 定年退職
平成8年4月~13年3月 長野県伊那教育事務所適応指導員
(以後 略)
歌歴
平成14年2月~現在「信毎歌壇」投稿
平成26年7月 期間賞 道浦母都子選
平成15年11月~現在「短歌21世紀」会員
平成20年11月~現在「ヒムロ」会員
他 現在 地元歌会会員 地域歌会助言者
歌集『祈り』(平成28年9月30日発行 現代短歌社)
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