おしげさんと特攻の海――人間魚雷「回天」をめぐる2つの物語

(著) 古川知明

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作品詳細

[商品について]
―僕が死んだら、毎年お盆には精霊トンボに乗って帰ってきます―
太平洋戦争中、人間魚雷として魚雷による特攻を行った「回天特攻」。航空機による特攻に比べて知られることが少ないが、その戦死者は106名、回天を戦地に運んだ潜水艦の未帰還者を含めると1296名にのぼり、その数は航空機による特攻に引けを取らない。命令とはいえ、国を思い、将来の日本を思い、家族や同胞のことを思って、回天特攻隊員たちはわずか20歳前後の若い命を惜しみなく投げ出した。本書は、回天特攻隊員達が最後の別れを告げた徳山の料亭『松政』の仲居で、大津島回天基地の回天特別攻撃隊員達から「かあさん」「おっかさん」と呼ばれた「回天の母」倉重朝子、通称おしげさんを描いた『回天特別攻撃隊の母』と、回天の隊員として光回天基地に配属された大学生の良介と女子挺身隊として光海軍工廠で働く女学生の安子の悲劇を描いた『終戦前日の空爆』の二つの物語を収めた作品である。戦争という無慈悲な現実の中でも懸命に生きた、名もなき若者たちの足跡を後世に伝える一書として、全ての日本人にお届けしたい作品となっている。

[目次]
「回天特別攻撃隊の母」 はじめに
「終戦前日の空爆」 はじめに
小説 おしげさん物語:回天特別攻撃隊の母
(一)再会
(二)おしげ
(三)回天基地開隊
(四)回天初出撃
(五)回天隊の増強と出撃
(六)徳山空襲
(七)帰還隊員
(八)御仏
(九)終戦と回向
(十)出光進出
(十一)記念碑及び記念会館設立
小説 光回天基地物語:終戦前日の空爆
(一)普賢寺
(二)女子挺身隊
(三)入隊
(四)光回天基地
(五)回天
(六)切迫した戦局
(七)短い逢瀬
(八)出撃
(九)虚脱
(十)空爆
「参考文献」
著者プロフィール

[出版社からのコメント]
戦争という言葉を思い浮かべるとき、そこには必ず赤い血をもつ多くの人々がいるということを、私たちは忘れてはならないと本書は伝えます。戦争を知らない人々が増えた今こそ、頭ではなく心で戦争というものを理解する、その一助として、本書を多くの方にご活用いただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
古川 知明(ふるかわ・ともあき)

1939年 佐賀県生まれ
工業大学卒
山口県在住

著書 「定年挽歌」 文芸社ビジュアルアート出版

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