わらべ歳時記: 絵と文で振り返る昭和の子ども時代

(著) 稲積幸男

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作品詳細

あの頃の子どもたちは、実によく頑張った。一日中家の手伝いに追われた。水汲み、子守、農作業と大人顔負けの仕事ぶりだった。我慢もした。辛抱もした。貧しくても満たされていた。どの子も明るかった。自信と責任感があった。仲間思いで涙もろかった。昭和三十年前後の子どもたちは、こんなだった。
昭和四十年に上京した私は、以来そのまま東京で生活する身となり、三十七年間が過ぎてしまった。この間、教員として多くの児童たちと接触する機会に恵まれ、日々彼らと共に喜怒哀楽を共感することができた。が、過去の自分たちが味わったそれには、まだもの足りない何かを感じつつ、時間だけが過ぎてしまった。そして、退職、帰郷して、つぶさに見る子どもたちの姿に昔のそれはなかった。時代が変えてしまつた。五十年足らずで、こんなにも変わるものか。私が体験した生活は虚像ではなく、実像だったということを伝えたい…こんな気持ちにかられた。絵心を奮い起こして、どうにか描き上げることができた。画面の中で動く子どもたちの姿は、二度と実像になることはないだろう。昨今の社会事情を鑑みる時、今の子どもたちにこんな時代の日本があったことを知ってもらえれば、幸いである。また、私と同世代の中高年には、しばし童心に戻れる癒しとなれば本望である。

【著者プロフィール】
稲積 幸男(いなずみ・さちお)

1946年(昭和21年) 3月 鹿児島県曽於郡末吉町に生まれる
1958年(昭和33年) 3月 末吉町立檍(あおき)小学校卒業
1961年(昭和36年) 3月 末吉町立南之郷中学校卒業
1964年(昭和39年) 3月 鹿児島県立末吉高等学校卒業
1969年(昭和44年) 3月 東京学芸大学卒業
1969年(昭和44年) 4月 東京都公立学校教員となる

以下、赴任した学校は次の5校
瑞穂町立瑞穂第二小学校
青梅市立新町小学校
青梅市立霞台小学校
奥多摩町立氷川小学校
青梅市立第5小学校
この間、挿絵、切り絵を独学で始める

2002年(平成14年) 3月 東京都公立学校教員を退職
2002年(平成14年) 6月 宮崎県都城市へ移住

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