バケツの穴:川柳漫談

(著) 吉岡繁

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作品詳細

[商品について]
―この国は ダメな彼氏の ようで好き―
紅白歌合戦から介護保険まで、小気味よい川柳とユーモア溢れる語りで現代日本をナナメ斬り!「マニフェスト 変換押したら 空手形」「平成の 死なない程度の 生活苦」「出て行った 鬼は去年も 居た奴だ」思わずニヤリと笑い、膝を打ってはまた読み耽る――切れ味鋭い付け句良し、効キも味わい深い抱腹絶倒の川柳エッセイ。

[目次]
大穴を憂う
其の一 *この国はダメな彼氏のようで好き
其の二 この国はゆるんだパンツのはき心地
其の三 紅白を見てると日本が心配だ
其の四 肥大する官僚組織と前立腺
其の五 政治家になると知性の消える顔
其の六 平成の死なない程度の生活苦
其の七 特急がたくさん通過し村さびれ
其の八 橋竣工秘境の狸の渡り初め
其の九 日本海だめならインド洋もだめ
其の十 三十兆使って寿命を引き伸ばし
其の十一 名医だがそば屋の隣ではやらない
其の十二 *パソコンを三台取りかえあきらめた
其の十三 写メールを裏返しても居ない彼
其の十四 Hメール見ながらじいさん日向ぼっこ
其の十五 断絶のアナログ親父デジ息子
其の十六 *出社やめ新幹線に乗ってみる
其の十七 リストラで初めて知った自由の身
其の十八 行列をじっと見ている蟻がいた
其の十九 窓の外喫煙同士でも上司
其の二十 詫び上手買われて社長になったひと
其の二十一 元旦に大掃除するへそ曲がり
其の二十二 艶福な先祖に水をぶっかける
其の二十三 *この墓も入居間近とよく磨き
中穴に咲いた花
其の二十四 出て行った鬼はもしかして女かな
其の二十五 鬼だけが出て行ったきり福は来ず
其の二十六 出て行った鬼は去年も居た奴だ
其の二十七 ふと思う地球は丸くてよかったね
其の二十八 草原に腹這い地球の抱き心地
其の二十九 人類が滅びて地球の大あくび
其の三十 一流の宿で見た夢ふろ掃除
其の三十一 眠れない夢見てよく寝た夢を見た
―その一―
―その二―
―その三―
其の三十二 バラ一輪妻に買い来て怪しまれ
其の三十三 いま知ったあれが夫のマニフェスト
其の三十四 偶然に配られたのか配偶者
其の三十五 驚いた母のメールが顔文字だ
其の三十六 おばあさんいやお母さん代理様
其の三十七 栗の皮むきつつ思う好きな人
其の三十八 花びらを数えておいてスキキライ
其の三十九 *氷雨降る日曜彼女がほしくなり
其の四十 愡れたのはどっちが先かで喧嘩する
其の四十一 ボケてみてまともな頃のアホらしさ
其の四十二 徘徊をしても夕餉に帰ってくる
其の四十三 *この国にも介護保険をかけとけよ
其の四十四 国営の姥捨山だ介護保険
其の四十五 老人会若手で作った青年部
其の四十六 目も耳も遠くてあの世だけ近い
其の四十七 入れ歯とれ口紅つける位置かわり
其の四十八 あの頃の立たされ坊主も寝たきりに
其の四十九 飼い主が犬に似てくることもある
其の五十 へそくりがあるのでベルトが締まらない
小穴のつぶやき
其の五十一 *不二家ではマータイズムが効きすぎた
其の五十二 *自転車というが漕がなきゃ走らない
其の五十三 *妊婦様最敬礼で席ゆずり
其の五十四 汽車賃も出ないと遠くの姉ふくれ
其の五十五 ウォッシュレットビデにワイドの標示あり
其の五十六 精子にはどうしてオスメスないのだろう
其の五十七 男性用トイレはひとり置きに立ち
其の五十八 *正の字で□した記□二□回
其の五十九 *自販機の札を取り込む速さかな
其の六十 大雨の日にも水撒くビニハウス
其の六十一 エアコンの部屋に風鈴下げている
其の六十二 呼び鈴はそっと押しても同じ音
其の六十三 あの野郎よく出て来たなオレの通夜
其の六十四 *陸連が胸なで下ろすみずきの金
其の六十五 退屈で振り込めサギを待っている
其の六十六 *試食品楊枝で食べるからうまい
其の六十七 先生と 呼ぶな 信用落とすから
其の六十八 *隣から禁煙席って意味あるの
其の六十九 メークするために陣取る優先席
其の七十 *高松塚墓穴を掘った文化庁
其の七十一 *食の国毒まで食べるものすごさ

[担当からのコメント]
生きていると世の中ヘンだなあと思うことや世知辛いと思うこと、イロイロありませんか。そんなモヤモヤを諧謔で打ってたたいて言葉の刃にしてしまう川柳。本書には、そんな作品がたくさん収められています。軽妙な語りで魅せるちょっと皮肉でちょっと小粋な風刺世界を、どうぞご堪能ください。

[著者紹介]
吉岡 繁(よしおか・しげる)

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