医療と震災と闘病に生きた日々―神戸長田で四十年イネさんの看護物語

(著) 久保護

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作品詳細

[商品について]
―患者のための医療を貫いた看護婦の人生―
2003年10月10日、神戸で一人の女性が膵臓ガンで亡くなった。神戸市長田区で看護婦として40年働いてきた彼女は、「イネさん」と呼ばれ多くの人に親しまれた。阪神大震災のときは、自宅から診療所にかけつけ連日泊まり込みで救援活動と安否確認に奔走し、その後は退職するまで日々の診療と共に地域の街づくりと復興に尽力して多くのメディアで取り上げられた。本書は、夫として彼女とともに生きた著者が、イネという一人の女性が人として、看護婦として如何に生き、人生の最後に厳しい病と如何に向き合ったのかを具に語ると共に、彼女が愛した長田の街の再建と復興、そこから見える課題についても言及した作品である。

[目次]
はじめに
第一部 阪神大震災と看護婦・イネさん
(1) 震災直後のイネさんの願い ――NHKラジオ深夜便「シリーズ・私と人権」より
(2) 復興住宅で暮らす人々の思いは
第二部 イネさんの物語
(1) 秋田――中学校時代まで
(2) 神戸で看護婦になる
(3) 番町診療所三代目婦長
(4) 四四歳で高等看護学校入学
(5) 再び、番町診療所婦長となって
(6) 看護集団のリーダーとして活躍
(7) 四〇年働き続けて ――支えたもの、得たもの、失ったもの
(8) イネさんを語る私は
第三部 イネさんのガンとの闘い
(1) ガンの宣告と家族の葛藤
(2) 手術にいたる苦悩
(3) 神戸大学病院受診
(4) 大学病院での手術を前に
(5) 手術、一ヶ月後に退院
(6) 退院後三ヶ月、故郷・秋田へ
(7) 有馬温泉にて「快気祝い」開く
(8) 退院後六ヶ月、肝臓への転移が判明
(9) 新聞記者の書く「生きるものの記録」に出会う
(10) 新しい治療法を求めて
(11) 「ガンは治る患者会」をつくる
(12) 最後の旅――兄弟とともに
(13) 四度目、最後の入院
(14) DICをおこす(多臓器不全)
(15) 退院、在宅で最後を迎える
(16) 別れの日
(17) 生涯の友を失って
第四部 震災から一〇年――長田はどう変わったか
(1) 神戸の下町長田の特徴
(2) 新長田駅周辺の街づくり
(3) 新長田駅南街づくり再開発計画への意見
(一)新長田再開事業計画概要 平成一四年九月末現在
(二)問題点と批判的意見
(4) 長田の地場産業
(5) 長田区の人口と広さ
おわりに
資料編
1、神戸市復興住宅資料等
2、阪神淡路大震災市区町別死亡者一覧等
3、イネさん泉州看護専門学校卒業レポート〔一つの症例報告〕
4、高村光太郎山荘、土門拳について
参考文献
著者略歴

[出版社からのコメント]
東日本大震災が発生しその傷痕も癒えないままに時だけが過ぎていますが、その16年前に起きた阪神・淡路大震災でも復興のプロセスで同じ問題が生じていたことを考えると、忘れてしまうことの代償がいかに大きいのか改めて考えさせられます。本書の中にある一人の女性の生き方と共に、災害や街について考える機会を持っていただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
久保 護(くぼ・まもる)

1940年、兵庫県たつの市に生まれる。
1958年、姫路工業大学付属高等学校卒。
ゴムベルトメーカー勤務3年、団体役員10年、臨床検査所営業職約10年、民間医療機関事務幹部約10年勤務後、
1993年、会社設立。薬局、保育所、訪問介護を運営、現在に至る。

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